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ナポレオンで1時間使って駄文書いてみた。「私の四肢は蜜月に患う」
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お名前変換可能なので試行錯誤してもらうか、お近くのはちを捕まえてくださいw
かかった時間
75分
注意
○この二次創作は書き手の妄想と勘違いの産物です。
○本編読んだけど断片的にしか記憶ねぇもの。
○だからもう適当に書いてる
○ナポレオンは偽物
○主人公ちゃんも偽物
これ見ても大丈夫?
それならばお暇つぶしにどーぞ!><
新婚夫婦。そんなふたりがいつもより遅く起きて、いつもよりも濃密な時間を過ごす……筈だったのに。
ナポレオンは微妙な顔で右腕を持ち上げてぎこちなく動かしているし、あいは隣で泣きそうな顔でそれを見守っている。
「ナポレオン、大丈夫?」
「ああ……大丈夫だ。右手が少し震えて物が握れない程度だ」
「それ充分だいじょばないー!」
あいの全く色気のない声が部屋の外まで響き渡るが、そこを通りかかる人間が居なかったのもあり誰かがやってくる気配はない。
しかしあいはそんな事はどうでも良いとばかりにナポレオンの腕を見つめては悲壮な顔をしている。いっそ哀れな程に。
「……お前がそんな顔する事ねぇだろ。お前は悪くない」
「悪いでしょ! だって、一晩中ナポレオンの腕まくらで寝てたの私だもん!」
うー!うー!、と泣きそうに……否、既に泣いているあい。その絶望、という表現が相応しい表情をするあいを抱き寄せようとするのに自分の右腕に違和感を感じる。
それでも左手であいを引き寄せて右腕を可能な限り動かしてあいにそ、と添えるようにすると包み込んだはずのあいがバ!としゃがみこんでナポレオンの腕の中から脱出した。
右手が震えて上手くいう事を利かないせいか、あいの脱出をいとも簡単に許してしまった。あいが何故逃げたか理解が出来ずに、とりあえず視線だけであいを追っていると目の前のあいはその場で拳を握り気合を入れる。
「ナポレオン! 今日は私、全力でナポレオンの事守るから!」
「……は?」
「私、ナポレオンのお嫁さんだし、寧ろ私のせいだし! ご飯もお風呂もぜぇんぶ大船に乗った気で任せて! じゃ、私……今日は休むってセバスチャンに言ってくる!」
それじゃあ待っててね!と、ナポレオンの返事を聞く前にさっさと部屋から出て行ってしまったあいを引き留める事も出来ずその場にひとり。ナポレオンの脳がこの非常事態に追いついた時、漸く大きくため息が零れた。
「……ん?」
今、あいはなんて言った?とても重要な事を言っていたような。
お嫁さん、それはそうだ。自覚ありなら安心した。私のせい、これは違う。ナポレオンがあいの事を手放せなかっただけだ。次は同じ失敗はしない。
ご飯もお風呂もぜぇんぶ大船に乗った気で任せて……と、言ってなかっただろうか?いいや、言っていた。間違いない。
ここ、テストに出るからしっかり覚えておきなさいポイントじゃないだろうか?そうだ。間違いない、間違いない絶対に。
「……腕、痺れさせてみるもんだな……、」
先ほどまでいう事を聞かない右腕にナポレオン自身も憂鬱だったが……若干気分が浮上する。あいがあれこれ世話を焼いてくれる、屋敷での仕事を休んでまで。
つまり今日はあいを全面的に独り占め出来るのだ。堂々と。こいつは事件だ。早速これからのプランを綿密に立ててしまわねば。こんなご都合主義ハッピー共和国状態になるなんてそうそうないだろう。
あいにやって欲しい事、あいにしたかったけど我慢してた事。それは勿論疾しい事も沢山混ざっている。そもそも結婚したばかりの新妻に入浴同行してくれる宣言をされて下心が湧かない男なんてもう男じゃない。
「ん、まぁ……悪くはねぇな、」
ナポレオンはひとりひっそりと、誰にも見せてはいけない笑みを浮かべてベッドに腰をおろしたのだった。
あいが返ってきたら早速色々とイチャつけると思いベッドの上で待機していたナポレオンだったが、先ずは周りに状況報告だと言われズルズルと連れて来られたのはジャンヌの元だった。
先ず、いつもお世話になっている人にご挨拶……と言われここに居る。因みにこの後子供たちの元へ挨拶まで行く予定だ。アイザックに任せようと提案してもあいだけでも行くと言うので仕方ないから着いて行く。
「という訳なので、すみませんジャンヌさん……ナポレオンは今日、お稽古出来ないです」
「悪いな、」
「……そうか。わかった」
普段はナポレオンが遅すぎる朝を迎えて、時間が合えば一緒に剣の手合わせをしているジャンヌにこの状態を説明すると、彼は特に表情を変えずに納得したと小さく頷くのみ。
しかし如何にジャンヌの感情の起伏が乏しいと言っても、普段から良く話すナポレオンの右腕が動かないという異常事態に対して何も思わないことはない。
「その腕は……原因は解っているのか?」
ジャンヌが問いかけるとナポレオンは動じなかったが、そのちょっと下にあるあいの顔が爆発する勢いでガっ!と真っ赤に染まる。
「だ、大丈夫です! 病気ではないので! 明日には治るのでっていうか治すので! ちゃんと私が気にしますから! それじゃまた明日ー!!」
自分より大きなナポレオンの背中を必死に押してあいがジャンヌから逃げ出す。しかしそれすら動じずにナポレオンはあいに押されながらもじゃーな、また明日な、と挨拶をしている。
良くはわからないが、問題が無いようならばそれでいい。あいに連れられのんびりと歩くナポレオンを見てジャンヌもまたその場を去るのだった。
子供たちにからかわれ、町から戻れば時は夕方まで進み、あいはナポレオンを連れてキッチンへとやって来ていた。
仕事を休んでセバスチャンに負担をかけているのだからナポレオンとあいの分だけでも自力で作る、とあいが言えばナポレオンもやる事が無いのでついてきたのだ。
あいはふたりの好物のから揚げやサラダ、スープを用意して……出来上がったスープを一口掬い取ってふぅ、ふぅと息を吹きかけ湯気を飛ばす。
「ナポレオン。はい、あーんして」
「あ、」
素直に口を開くナポレオンにあいは溢さないようにスープを運ぶ。近くまで運べばナポレオンが口を近づけスープを迎えに行くので零れることは無かった。
「どう? 美味しい?」
「ああ……、」
「はいはい、ちょっと待って待って。おかしいよネ~? なんでキッチンがこんなラブラブな空気で充満してるワケ~?」
ラブラブカップルにストップをかけたのは突然現れたアーサーだった。しかしあいもナポレオンも気にした様子は無く。
寧ろ何がおかしいと言うのか、とばかりにふたりはアーサーを見ている。
「あれ? 俺がおかしいの? いつもならあいが照れてるのが普通だと思ったんだケド?」
「あ、アーサーには言ってなかったっけ。今、ナポレオンの腕が痺れてて生活するのに不便だから色々と手伝ってるんだよ」
あいが気合十分に言えば、隣のナポレオンはしれぇっと先ほどあいに与えられたものを咀嚼している。しかしどうもアーサーから見てナポレオンは特に不便はしていない様子だが、そこは置いておく。
朝起きたら右腕が……へぇ、ふぅん、なるほどなるほど。アンダースタンアンダースタン。つまりは、
「そっかそっか、よーするにハネムーン症候群ってヤツだね」
「……へ?」
「あれ、知らない? 新婚夫婦が最初はベタベタ引っ付いて寝てるから腕枕してる方の男の腕が圧迫されて痺れるって、良く言うよネ」
言われて直ぐに、あいはまた顔を爆発させる。流石元医者にして知識が豊富な小説家。どうでも良い知識まで身に着けていた。
否、どうでも良くはないのだ。実はこの症状はれっきとした適応症のひとつで、正式名を橈骨神経麻痺と呼ぶ。下手をすれば半年腕が動かなかったり、最悪壊死する中々侮れない症状だ。
ツラツラ、と元医者らしくしっかりと忠告するとまたアーサーはケロ、と軽薄な笑みを浮かべて軽くヒラヒラと手を振る。
「まぁ、ソーいうコトだから程ほどにしとけば~?」
何をだよ、とツッコみを入れる暇も与えずアーサーはキッチンを出ていく。残されたあいは先ほどまで顔を赤らめていたのに今は青ざめている。
まさか、そんな危険な状態だったなんて。今後は絶対に腕枕は避けましょう、そうしましょう……鬼気迫った顔で誓うあいの眼前で左手を翳して左右に振るナポレオン。
「おい、大丈夫だからな?」
「ナポレオン……私、今日頑張るから! お風呂の後はマッサージしよう!」
「お……おう、」
ここからはゆりかごから墓場まで、の勢いであいの手厚い看護が始まる。ナースdeにゃんにゃん、なノリは一切ない。完全に密着ナース24時、実はスゴい! 看護師SPのノリになってしまった。
今からでもどうにか挽回してなんとかちちくりナースやちょっといけないナースさんのノリに運べないのか……ナポレオンはあいに食事を与えられながら真剣に悩んでいたようだ。
私の四肢は蜜月に患う
どうにも手放せないもので