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春で1時間使って駄文書いてみた。「ある日の熱帯夜攻防戦」
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お名前変換可能なので試行錯誤してもらうか、お近くのはちを捕まえてくださいw
かかった時間
60分(ぴったりw)
注意
○この二次創作は書き手の妄想と勘違いの産物です。
○本編読んだけど断片的にしか記憶ねぇもの。
○だからもう適当に書いてる
○春は偽物
○主人公ちゃんも偽物
これ見ても大丈夫?
それならばお暇つぶしにどーぞ!><
熱帯夜。日本の気象庁の用語で、夜間の最低気温が摂氏25度以上のこという。つまり、地獄。眠りは浅くなるし、ヘタすれば寝入りが悪くなって眠れないし。そうなるとイライラするし、その上暑い、ダルい。
ああ、ヤダヤダ。暑いのは本当に嫌だ。そんな夜にまさかラブラブカップルがベッタリとくっついて朝までラブラブとか、もう以ての外、外の外。ありえないしけしからんのである。見てるこちらの身になれって話だ。
クーラーに頼りすぎるのも体に悪いし喉にも悪いのでひとりで寝たいと主張するあい。体温と体温で更に暑くなるなんて非効率極まりない。極寒の地で遭難したら抱き合うけど何も暑い夜に抱き合う必要はない……そんな風に思っていた頃が私にもありました。
「春ぅ……少し、距離を……、私たちには距離が必要ぅ……ッ! 少し離れよ……!」
「必要ない」
あいが必死に訴えるも、涼しげな声でバッサリと一刀両断され抱きしめられたまま。ああ、そんな馬鹿な。これじゃ死ぬ。良くて融ける。
春はあいがスライムになっても愛してくれるのか、と本気で考えてみる。駄目だ、脳味噌が大分融けてる。ああ、でも出来たらレアスライムになりたい、キングとまで行かなくてもメタルスライムくらいの。
スライムになったら恋人にして欲しそうな顔で春を見れば良いのだろうか?それってどんな顔だろう?いやいや、人体は解けないし、よしんば頑張って融かしてもスライムにはなれない。
しかもふたりは衣類を着ていないので肌が重なっていれば当然暑い。春の体温がそのままあいに浸透してくる……と、美しく表現をすればとても素敵。だけど実際は暑くて死にそうだ。
でも、それでもシーツは取らない。暑いけどまだ乙女心は捨てきれない。先ほどの発想は乙女力が低くても、最後の防衛線であるこの乙女の恥じらいだけは絶対に捨てない。
「いやちょっと待って……春、暑くないの!?」
「暑い。これで暑くないなら病気だろう」
シレッと答える春の体温は確かに暑い。それはそうだ。今夜は熱帯夜だから寝入り際はタイマー使って冷房きかせて寝ると良いなんて朝のニュースでアドバイスしてしまうような暑い夜なのだ。
それなのにあいと春は体温を落ち着かせるどころか真逆の事をして一糸纏わずベッドの上。暑い、自業自得で暑い。でも、春が暑いと言った事には少し安心してしまうあい。これなら話は早いかもしれない。
「じゃあ離れよう……! 心はいつも一緒だから少し離れて……、」
「…………断る」
「ちょっ、まぁー!」
先ほどよりも更にぎゅぅ、と抱きしめられあいは更にこの暑い夜を体で感じるようになってしまった。
暑い夜を体で感じると言えば色気を感じる人間も出てくるだろうが、残念ながら「このクソ暑い夜を身を以て思い知っちまったぜ」の意である。本当に残念なお知らせである。
しかも春は意地でもあいを離さない構えで抱きしめてくる。ああ、乙女の悩みの汗とか汗とか汗とかが。これはもう早急に手を打たねば、あいの乙女としての矜持が危険だ。
「春! わかった……じゃあお風呂入ってくる!」
妥協案!とあいが提案するが、春は眠そうな表情で一度深く思案して小さく頷く。
「解った、行こう」
「行こう!?」
「……行かないのか?」
いやいやいや。行かないのかじゃなくてね、という。なんでそんなハンバーガーと一緒にポテトも如何ですか、ばりにセットでついて来ようとしているのか。
否、ポテトなんて生ぬるい。ポテトはこっちに選択権があるじゃないか。これはもう今ならこれも付いて大変お得!こんなにお得でこんなに安い!の通販番組の良くあるあれだ。だって拒否権が無いっぽい。
「春……私、ひとりで行きたいかもな~……」
「……それなら、ここに居れば良い」
居れば良い、と来た。そんな馬鹿な。なんだか今夜の春はとても駄々っ子で絶対に離れたくないモードに入っているような……それもそうだろう。最近ふたり一緒の時間があまり持てなかったのだから。
ニューヨークに来てからつい最近まであいの仕事が無くて家に居た頃とは違い、今はあいもそこそこ仕事があるのですれ違う日も多かった。つまり春は今、猛烈にあいに飢えている。
今日だってもう玄関開けたら抱き着いて、キスをして、そのままずぅっと一緒に居る。トイレと入浴以外ずぅっと。
因みに入浴はあいが先に入っていたから渋々ひとりで行っただけだ。あいもまだなら絶対に連行されていただろう。本当に春を待っている間にお風呂に入っておいて良かったとあいは心から思う。
未だに春とふたりの入浴は緊張する。恥ずかしいと言うより何をされるか……いつも攻防戦の繰り返しなのだ。まして今日みたいなノリで帰ってきた春は絶対に涼しい顔でオイタをする。だから……、
「……今一緒にお風呂行っても何もしない? お風呂だけで済ませられる?」
沈黙。春は沈黙する事でそれは無理だと語っている。言質は取らせない構えである。とても賢い……が、あいだって負けられない。
なんとかこのままどうにか、と彼の顔を見ると……あいの表情が固まる。春がとても困ったような、切ない顔をしていたから。レアな顔を何故こんなどうしようもない場面で使ってしまうのか。
「春……そんなに一緒にお風呂行きたい?」
無言でコクン、と頷く春にあいは盛大にため息をひとつ。この熱帯夜の暑さにも負けずに頑張る春にはご褒美をあげましょう、とあいが脱力して小さく口を開く。
「じゃあ、一緒に入ろう」
喉のためにクーラー回避したのに、結局喉に悪い事をすることになりそうだけど。
春が満足そうに笑うのでそれはもうそれで、それとして。明日休みだからまぁ、いいかと。あいは冷蔵庫の中身を脳内に思い浮かべる。
うん、朝ごはんは簡単に用意出来そうだし。あーあ。私ったらどうしてこんなに春に甘いのかしら。それとも私が我儘なのかしら?、なんて思いながらも春と共に浴室へと向かうのだった。
ある日の熱帯夜攻防戦
私は貴方を永遠に甘やかし続けよう