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信長で1時間使って駄文書いてみた。「80億年独占し続けよう」
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お名前変換可能なので試行錯誤してもらうか、お近くのはちを捕まえてくださいw
かかった時間
120分(ツーライティングぅ……!;)
注意
○この二次創作は書き手の妄想と勘違いの産物です。
○本編読んだけど断片的にしか記憶ねぇもの。
○だからもう適当に書いてる
○信長は偽物
○主人公ちゃんも偽物
これ見ても大丈夫?
それならばお暇つぶしにどーぞ!><
ベガとアルタイルの寿命は約80億年。
1年に1回の逢瀬という事は80億回逢うことが可能なのだから、人間の寿命に換算すると0.3秒に一度は顔を合わせている計算になるらしく。
年に1回だけしか会えない可哀想な恋人たち、というのは人間の価値観に当てはめただけの話。もしかしたらベガもアルタイルもその距離感で十分幸せなのかもしれない。
あいは人間だし、100年しか生きられない脆弱な生き物なので365日片時も離れずにずっと信長の傍に居たいし、話をしていたいけれど。寿命が80億もあったら流石に距離が欲しくなるのかも。
そうなるとふたりを離した天帝はとても優しかったのかもしれない。とかなんとか考えてみる。こんなに星が綺麗な夜は全てを美しい綺麗事で包んで考えた方が勝ち組になれる。きっとそう。
「おい……貴様、いつまで呆けておる」
「……あ、信長様、」
「俺に背を向けたまま星にうつつを抜かすとはいい度胸だな」
天主から張り出した板張りの床に腰を下ろして楽しげに夜空を見上げているあいを欄干に寄りかかりながら暫く見守っていた信長だったが、いつまで経ってもあいの天体観測は終わる様子が無く。
流石に月が動き出した頃には信長は痺れを切らせてあいを引き寄せ、軽々と胡坐をかいた自分の脚の上にあいを乗せる。それに対しあいは特に焦る事はなかった。
まるで路傍にある石のように軽く、信長の意のままに運ばれることに順応してしまったあいは彼の胸に背を預け、無防備にも男の胸の中で夜空を指さし嬉しそうに笑う。当初、ここで信長を恐れて震えていた人間とは思えない程に寛いでいるあい。
「信長様、ほら……星が綺麗ですよ!」
満天の星空、とはこのことを言うのだろうか。あいの居た時代から約500年前、昔はこんなにも夜空は美しかったのかと感心してしまう。
ここにはあいが好きなサーティーワンもカップ麺も無いし、ブルーライトで目が疲れる事もない。陽が落ちると共に辺りが驚くくらい真っ暗になる。
だからこそ月の光や星の光が際立って見えるのだろう。7月7日。こんな夜は特に夜空に魅せられてしまうのは仕方ない。そう、例え後方から威圧的な視線を注がれようと気にならないくらいには。
「……こんなもの、いつも見ているだろう?」
「今日は特別なんです、七夕ですから」
「……ほぅ、成程な」
行儀の良い貴族が香を焚いたり、楽を奏でて楽しんでいるらしいが信長自身は気にもした事が無い。
くだらない、と片す事は簡単だが……腕の中に居るあいがこうも楽しげにしていると言う事は、あいが元居た時代にも七夕はあるのだろう。
「七夕がそんなにも楽しいのか?」
「え……?」
「貴様の世界の話でも良い……話せ。七夕はそんなに楽しい催しなのか?」
自分を放っておいてまで夢中になるその理由を話してみろ、と。
信長が欄干に肘を置き、半眼になって先を促すとあいがポカン、と男を見上げる。
「どうした?」
「……いえ、信長様が珍しい事になってて……驚いてます」
「何が言いたい?」
「だって……信長様なら七夕なんてくだらんな、とか言いそうだなぁって」
「そこまで解っているなら早く言え。これ以上待たせるなら考えがある」
どうでもいい七夕の話だろうと、あいがこうも夢中になって星を見ている理由は知りたい。この女は自分のものだ。
あいの考えている事は全て知りたい。見透かすだけでは足りない。彼女の口から全てを割らせたい。この女のほんの一部だって信長が独占していたい。毛先一本だって譲らない。
もじもじと恥じらい話し出さないあいは愛らしいが、もどかしい気持ちが先行している。信長は待つことが好きではない。知略を巡らせる戦場ならいざ知れず、あいの事が関わるなら話は別だ。待てなど御免蒙る、いつだって強行突破だ。
「何してるんですか!?」
「話しやすい雰囲気を作ってやろうと思ってな」
するする、とあいの太ももの形を辿ろうとする信長の手を咎め、慌てて阻止するが彼はまるで意に介してはおらず。
飄々と笑い、視線を眇める事で先を話せと促してくる。
「……別に、大したこと考えてませんでしたよ。くだらないから時間の無駄です」
「構わん。話せ……貴様の裁量で決めるな。くだらないかどうかは俺が決める事だ」
話すまでは放さんぞ、とばかりにあいを拘束する手の力を緩めない信長に仕方なさ気にため息を吐く。その吐息が若干甘いのはあいが彼に恋をしている証だ。
ああ、強引な人。だけどあいはそんな彼が好きで好きで堪らずに、自らの意志を持って時を越えてここに戻ってきた。
「織姫と彦星って、寿命が凄く長いんですよ……、」
80億年生きるってどういう感覚なのだろう?100年ですら持て余すのにだとか、ある程度自由は必要だし、80億回会えるのならばあのふたりは結構幸せなのかもだとか。
生っちょろい事ばかりを考えていた事を話すが、信長は最後まで興味深そうにあいの話を聞いてくれていた。時には質問も挟みながら。
「と、愚にも付かない事を考えておりました」
「……くだらんな」
だから言ったじゃないですか、とあいがいつもの通りに反論しようと振り返る。
しかし見上げた信長の表情がとても穏やかで、決してあいを馬鹿にしているような顔はしていないのであいは前に向き直りまた夜空へと視線を戻す。
「80億年生きようとも、貴様は一番近くで共に生きよ。瞬刻だって自由などくれてはやらぬ」
尊大に、横柄に。きっぱりと言い放つ信長に、あいは嬉しくて堪らなくなり口角が勝手に上がってしまう。
ああ、なんて幸せなんだろう。大丈夫です、私は勝手に貴方だけを目指して、貴方だけを愛しています、なんて。
あいはきっと、80億年彼の隣に居ても退屈はしないのだから。
「言われなくてもそうします……けど、引き裂かれたらどうするつもりです?」
悪戯を仕掛けるようにあいは言うが、信長の答えはひとつだけ。
自分からあいを奪おうとするものは全て切り捨てる。
あいがどんなに嫌がろうと、信長の生き方は変わらない。次は絶対ない事を死を持って知らしめてやろう。
だが、そんな穏やかではない本音を珍しく信長は胸中に仕舞い込む。あいと過ごすこの憩いの時間を信長は大切にしている。
「一度天に引き裂かれた時は貴様が自力で戻ってきたからな……次は俺が迎えに行くとしよう。貴様はその場を動かずに待っておれば良い、」
ああ、ぐずぐずに溶けてしまいそう。
あまりにも優しい声で囁くものだから、あいは男の胸の更に深くを目指してその身を預ける。見上げれば満天の星空と、かの愛しい天下人。
どうか80億年……いいえ。未来永劫、私を照らし続けて、そうすれば必ず私はどんな思いをしたって貴方の元へと駈けて行けるから。必ず戻るから。
こうやって貴方を間近で見ていたいから、そうやって生きていきたいから。貴方の隣で笑うばかりじゃない、泣いてしまうかもしれない、また怒るかもしれない……それでも共に生きていきたいのは貴方だけ。
「信長様、」
「なんだ?」
「大好きです、ずっと」
80億年独占し続けよう
貴様は共に生きて、俺の後に死ぬが良い