-
春で1時間使って駄文書いてみた。「君へと流れる星となろう」
-
お名前変換可能なので試行錯誤してもらうか、お近くのはちを捕まえてくださいw
かかった時間
80分(楽しくなってつい……w)
注意
○この二次創作は書き手の妄想と勘違いの産物です。
○本編読んだけど断片的にしか記憶ねぇもの。
○だからもう適当に書いてる
○春は偽物
○主人公ちゃんも偽物
これ見ても大丈夫?
それならばお暇つぶしにどーぞ!><
今日も音合わせを終えて、家で待つあいに早く会いたくて春はスタジオから真っ直ぐと帰ってきた。
朝別れたばかりなのに、もうじきあいに会えると思うと心が小刻みに跳ねるようで。春が鍵を使い玄関へと足を踏み入れるが……今日はあいからの出迎えが無い。
いつもならば駆け寄って来ておかえり、と言ってくれるあいの姿が見えないだけで少し心がざわめく。あいが直ぐに出て来られない理由があるかもしれないと解っていて尚、だ。
「……あい?」
室内に入ってすぐ、視線だけであいを探すも見当たらず。更にあいがいつも居る場所に足を運ぶもやはり見つからない。リビングと玄関廊下の電気は付いていると言うのに。
現在の時刻は21時を過ぎている。まさかこんな時間に出かけたのかと不安に思い室内を探し回るが矢張りあいの姿は見当たらない。
スマホであいの着信が無いか確認するが、そこにはJADEの関係者からのメールが入っているくらいだ。今は開いている余裕はないので明日、確認する。急ぎなら電話が来るはずだ。
「あい!」
少し焦りを含ませた声で春があいを呼ぶと、遠くから「ひぇ!?」と声が聞こえた。春はあいの声を聞き間違えたりなどしない。これはあいの声だ。
声のした方へと視線を向ければベランダがカラカラ、と開いてあいの姿が現れる。春はただいまだとかこんな時間に何をしていただとか、そんな事はもう全部置いてあいの元へと足早に向かい抱き寄せる。
「春? どうしたの……?」
「……君が、どこに行ったのかと……」
「家で待ってるに決まってるじゃない……電気つけっ放しで出掛けないし、」
玄関のドアを開けるまではあいに会えると浮足立っていたのに。まさか自宅のリビングで迷子の気分を味わうとは思っていなかった、と。
何故こんな時間にベランダから出てくるのか、と恨みがましい気持ちも乗せて。あいの背中に手を添えて、自分の胸の深い場所、奥底にまであいを引き込もうとでも言うかのように。
春に突然ぎゅうぎゅうと強く抱きしめられ、良くはわからないがとても悪くない。気分は上々のあいだが、春の様子がおかしい事が気になりポンポン、と背中を撫でて落ち着くようにと伝える。
「春、今日は日本では七夕なんだよ、」
その一言で春の優秀な脳みそは全てを理解する。あいはベランダで夏の大三角を追っていて春の帰宅に気づけなかったのだろう。
恋人の不安だとか焦燥なんて、小指の第一関節程に理解出来ていないあいの平和な笑顔を見て漸く安堵に息をつく春。一応春の様子がおかしい事には気づけていたのだが……惜しい、あと一歩のところであいは忖度出来ず。
「星が結構綺麗に見えるから一緒に見よう、春」
どうやら春が落ち着いた、良かった良かったと。あいの中で勝手に一件落着して、ベランダを指さし春を誘っている。あいは基本鈍くはない。それなのに自身に対するアレコレが悲しい程に鈍感だ。
それでも無邪気なあいをとても愛しているから。春はあいの誘導に従い一緒にベランダへと向かう。見上げればそこにはくっきりとは見えないが星は沢山見える。
「今年も織姫と彦星は会えたかな~」
のほほん、とあいがニューヨークの空の下で夜空を指さして笑う。先程までささくれていた心がじんわりと蕩けて穏やかになっていく。
あいの発言を聞いた瞬間、春は脳裏に「宇宙空間では天候による影響は受けない」と夢も希望も浪漫も無い事が浮かぶが、空気が読める春は黙ってあいと共に空を見上げている。
「スゴイよねぇ、織姫も彦星も……私なら1年に1回しか春に会えないとか言われたら天の河泳いでだって会いに行っちゃうよ」
例えそうして頑張って決死にもがいて、触れ合えるのが一瞬だとしても……その一瞬のためにあいは命がけで春に会いに行く。
叫びながら、泣いてくじけそうになりながら。それでも春への愛を歌いながら、ここに居るって。春の面影を抱きしめながら生きていける程あいは強くはないのだから。
もう心には決めているのだ。引き返す必要が無いのなら悩まない。あいは天の河に迷いなく飛び込んで春へと突き進んでいく。
春の事が好きな気持ちなら誰にも負けない。そんな、あいが持っている銀河一強い感情だけを武器に、ただただ春の元へと。星なんかかき分けてやろう。
だから無理無理、私に織姫は絶対無理、とあいが笑っている。はたして天の河に対して泳ぐという概念がどこまで通じるのか。
そもそも朝別れたばかりであるあいの姿が少し見えないだけで取り乱した春の方こそ無理だろう。
「大丈夫だ。そもそも俺は、キミを手放したりはしない」
頼もしいあいのアルタイルの発言に一瞬驚いて目を見開くが、直ぐにあいも嬉しそうに笑って星じゃなくて春を見つめる。
そう、夜空に浮かんでいるアルタイルは人様のダーリンだ。あいのダーリンは目の前にいる春だけ。
「春がアルタイルなら今頃七夕は悲恋じゃなくて、天帝に立ち向かって愛を勝ち取ったバカップルの恋物語として語り継がれてるかも」
「ああ……そうだな、」
あいのお茶らけた発言に春は穏やかに微笑み頷く。あいと一緒ならばバカップルの汚名だって名声に代わる。
「じゃあ、七夕はカップルのイベントになるね。春とふたりで仲良く世界中の恋を実らせて歩かないといけないかも」
「……君とふたりでなら、構わない」
あいの前髪をかきあげ、生え際と額の境界線の真ん中に軽くキスを落とす。もし万が一、天帝がふたりの恋を阻んだとしたらあいと共に他の宇宙へと旅に出れば良い。
それでもどうしても、離ればなれになってしまったとしても。あいはきっとどこに居ても輝いているはずだから。いつまでも春を照らし続けるあいは星明り、彼女こそが春の愛しのベガである。
きっと、見たくなくても目につく程抗いがたい光を放っている筈だ。無遠慮に、無自覚に、強烈な引力を持った春の一等星。時折、春以外のものを引き寄せているのは玉に瑕だが。
「あい、」
何万光年先だって、春の向かう道を明るく照らし出してくれているだろうから。
だから、何度だって君を見つけ出そう。愛している、優しく呟いた春は誓いの印として再度あいの額にキスを落とした。
君へと流れる星となろう
キミと紡ぐならば喜劇が良い