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信長で1時間使って駄文書いてみた。「特等席から花火を見よう」
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お名前変換可能なので試行錯誤してもらうか、お近くのはちを捕まえてくださいw
かかった時間
ジャスト60分!!
注意
○この二次創作は書き手の妄想と勘違いの産物です。
○本編読んだけど断片的にしか記憶ねぇもの。
○だからもう適当に書いてる
○信長は偽物
○主人公ちゃんも偽物
これ見ても大丈夫?
それならばお暇つぶしにどーぞ!><
「私の故郷ではこの時期、夜に花火をするんです」
「ほぉ……?」
「空で火花が散るおっきいのもあるんですけど、私は目の前で火花が散る花火のが好きだったなぁ……。自分の家族や友達の家族と一緒に遊んだり……お庭でバーベキューとか、懐かしい、」
なんて、他愛のない会話をしっかり信長が覚えていて……しかもなんとか叶えようと仕事の合間に少しずつ調べてくれるなんてあいは思いもせずに。
ああ、でも彼はあいの一言一句を大事にしてくれる人だった。聞き漏らしてくれて良い事まで詳細に覚えている。
だから彼は西洋の筒状のものから火の粉が噴出すタイプの花火の存在を聞きつけ、それを模倣し数を作るように火薬を扱う者に命ずる。出来ぬなら、殺してやるぞ、今すぐに……と。
勿論流石に命までは取らないが、花火を作れと命じた信長の目が本気だったため、火薬班は必死に作った。筒状の花火はちょこちょことこの国に入っていたためなんとか出来る、出来なきゃ死ぬ。
あいが適当に放った故郷話のせいで酷い目に合う人間がいる事なんて露知らず。あいの知らないところで誰かが悲鳴を上げている頃、あいはのんびりと欠伸をしていたとか。
そしてある日、ある夜、突然に。
「あい、今宵は花火大会とする」
「はいっ!?」
開戦宣言をするようにドドン、と言い放たれた言葉にあいは驚いて声を上げる。しかも信長の後ろにはニヤニヤと食えない笑みを浮かべる光秀が立っている。
よくよく見ると更に後ろで家康や三成が多量の花火を持って移動しているところも見えるし、政宗と秀吉が食事を運んでいるところも見えた。
「え? え?」
「ばーべきゅーとやらの準備も出来た、早く用意をしろ」
「は、はいッ!」
言うだけ言ったら腕を組み、信長はあいが着替えるのを待っているようだ。何が何だかわからない、戸惑うばかりのあいだが……なんだか楽しそう。楽しい事が起きるような気がする。
あいは信長に背を向けてパパっと着替え、なんだか良くわからないながらも一番役に立てそうなのは政宗の手伝いだと判断して小走りで向かう。
しかし首根っこ引っ掴まれて、あいは歩を進めることは敵わず。直ぐに信長の元へと引き戻され、抱き上げられてしまう。お姫様抱っこというものだったが、この状況ではときめくよりも驚くあい。
「な……ッ、!」
「貴様の仕事は俺の興をそそる事だ」
「そんな……! みんなが働いてるのに! 嫌ですっ!」
あいがバタバタと信長の腕の中で暴れているが、男の力には敵わない。
そもそも落ちるのも怖いので思い切りは暴れられない、痛いのは嫌だ。
だがそれでも抵抗を見せているあいに傍に居た光秀がニヤリと笑う。
「やれやれ……相変わらずのじゃじゃ馬ぶりだな」
「光秀さん! 見てないで助けてください」
「断る。俺には何ひとつ益がない」
益が無いどころか寧ろ信長の不興を買うだけの完全なる不利益しかない。損益勘定が出来るならばここは静かにスルーに限る。
口元に楽しげな弧を描いたまま自分を見下ろしている光秀にあいはなんだか悔しくなり、罵倒の言葉を探すが直ぐには思い浮かばない。
光秀の胡散臭い笑みを見てなんとか思い浮かべた言葉をなんとか叩き付けてやらなくては。あいが必死に頭をフル回転させる。
「光秀さんの裏切り者ー! 意地悪!」
「最初から味方はしていないし、意地悪なのは今更だ。ではな、」
脳内をフル回転させた割には攻撃力がまるでない。そんなあいに対して冷静にツッコみ、飄々とその場を去っていく光秀。
あいは信長の腕の中で光秀の後姿を恨めしく見つめてから上を見上げると、信長の顔にモザイクをかけたいくらいに怒気が浮かんでいる。
「あ、あの……?」
「……貴様、光秀に裏切られるほど関係を密にしていたのか?」
もっと穏やかに嫉妬をしてくれたら良いのに。信長は浮気したら殺すぞ貴様、とばかりに睨みつけている。
「してません!! してませんけどついなんとなくです……!」
「信じて良いのか?」
「良いに決まってるじゃないですか! 私の好きな人は信長様ただおひとりですっ!」
「……ならば良い」
殺気を引っ込め、また上機嫌で歩き出す信長に一度は安堵するあいだったが……あいを抱いたまま歩き出した信長にまた焦りを抱く。
「信長様! 自分で歩くから降ろしてください!」
「断る」
先ほどから断られてばかりのあいはぐぬぬ……!と唸る。そうしている間にも信長はあいを安土城の外へと連れ出してしまい、結局信長に抱かれたまま皆の前まで向かう事になってしまった。
あいは羞恥に耐え切れずに信長の首に腕を回して、彼の胸に顔を押し付け少しでも身を隠そうとしているが……信長の機嫌を急上昇させ、より一層バカップル度が上がって恥ずかしい状態になっている。
「来たか。お前の好きそうなものばかり作ったから遠慮はするなよ」
「本日の宴はあい様を労う意味もあるので、どうか楽しんでください」
「え……?」
政宗と三成に言われあいが首を傾げて、上を見上げると信長がいつも通り堂々と笑っている。
「貴様ら、始めろ」
「はっ、」
信長の声を合図に筒状の花火が派手に火花を散らせる。電光が無い時代だからこそ、花火は特別綺麗に見えてあいはうっとりとその光を魅入ってしまう。
しゅわしゅわとオレンジの光が舞い上がっては落ちていく。あいの時代の花火ほど色とりどりではなくとも、愛しい人と見る花火は格別だ。
「きれい……、」
「あい、」
「はい……、」
うっとりと花火を見つめるあいにキスをしたくなり信長があいを呼ぶが、反応は薄い。先程まで信長の胸に顔を埋めていたくせに。
信長が再度呼んでもあいの目線は花火に奪われたまま。それはそれで愛らしいが、信長の顔を見ようともしないのはいただけない。
「こちらを向け、あい」
「は、い!?」
まるで捕まえるように唇を塞がれたあいは驚いてむぐむぐ言うが、キスは信長の気が済むまで続く。折角目の前で花火がバチバチと音を立てているのに。
火薬班が死ぬ気で作った花火が肝心のあいに見て貰えずに仕事を終えていく。あいとてこの花火がとても貴重である事は解っているのでちゃんと見たいのに。
「ぷぁっ! ……も、何するんですか!」
「貴様がこちらを見ないのが悪い」
「花火をやってる時くらいは花火を見させてください! 後そろそろ降ろしてください!」
そろそろ、降ろしてやっても良い。だけど今手放せばあいは武将たちの元へと駆けて行くだろう。
多分……というより絶対に面白くない展開になる。まだ、もう少し信長があいとの時間を独占していたい。
「我儘を言うな」
「我儘じゃないです! みんなとご飯食べたいし、このままじゃ不便です!」
「ほう……他の男と食事がしたいと言うのか貴様、」
「直ぐやきもち焼かないでください! 無限ループ怖い!」
ぎゃんぎゃんと騒ぎ立てる城主とその嫁を尻目に花火を愛でつつ、宴を開く武将たち。酒だ、飯だととても楽しげに笑っている。
あいが前に言った自分の家族や友達の家族と一緒、という状況をこの時代で作ってくれたのだと思うと嬉しくて胸の奥からジワジワとあったまっていく。
この場に居る全員に対して感謝の気持ちで一杯のあいだったのだが……信長が満足するまで手放して貰えなかったあいがその中に混ざるには……あと少しだけ、時間が必要だった。
特等席から花火を見よう
花火に魅入る君に魅入っている