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後藤で1時間使って駄文書いてみた。「どうかこの手を握って」
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お名前変換可能なので試行錯誤してもらうか、お近くのはちを捕まえてくださいw
かかった時間
60分(勢いだけで勝負した結果w)
注意
○この二次創作は書き手の妄想と勘違いの産物です。
○本編読んだけど断片的にしか記憶ねぇもの。
○だからもう適当に書いてる
○後藤は偽物
○主人公ちゃんも偽物
これ見ても大丈夫?
それならばお暇つぶしにどーぞ!><
それはある短い夏休みを謳歌していた日の朝。あいは後藤と共にゴロゴロと惰眠を味わっていた。空はもう一日を始める支度を済ませて強い日差しを室内に届けているというのになんていう体たらく。
後藤が起きる前にご飯を作ろう……そう思ってから20分は後藤の顔を見て過ごしている。なんて贅沢な時間だろう。あいはうっとりとため息を落とす。
暑くてダルい脚を少し伸ばせば後藤の脚にぶつかって、起こしてしまったかと慌てて確認するも後藤の瞼に反応はない。ああ、全身ベタベタするからお風呂にも入りたい、やりたい事は山積みなのに。
「後藤さんもベタベタ、」
くすくす笑って彼の胸板に指でそ、と触れてみる。生まれてこの方、汗などかいた事がありませんよと言わんばかりに涼しい顔をしているのに。
後藤さんも生きてるんだなぁ、とあいは嬉しくなりそのまま彼の胸にすり、と体を寄せる。バカだ、更に暑くなるに決まっている……でも、それでもあいは後藤に触れていたかった。
あいの方を向いて眠る後藤に更にすり寄り、ベッドの柔らかさを利用して後藤の体の下に腕を滑らせ抱きついてみる。それでも乱れない寝息にあいは安心して、そこで深く深呼吸をする。
「んー……、あっつい……」
あいが嬉しそうに暑いと文句を言っている。身から出た錆、自業自得……そして後藤からすればとんだとばっちりな話である。
ああ、でもあと少しだけ。あと少しだけそのまま動かないで。だってあいは今凄く幸せなのだから。恋人の温もりと匂いに包まれて、世界中で一番幸せ。
なんだか世界の隅っこで後藤を独り占めしているような。もうこの世界にはあいと後藤しか居ないんじゃないか、と錯覚してしまいそうな。
溢れて溺れてしまいそうな多幸感。あいは腕を伸ばして彼を包み込もうとするけれど、悲しいかなあいの体では小さすぎる。欲張って必死に手を伸ばすのに、どうしても足りない。
先程まで幸せいっぱいだったあいの機嫌が徐々に悪くなっていく。だって今、恋人は全てあいのものなのにまるで届かない。どうしてもっと大きく生まれて来なかったんだろう。
欲を出して後藤の腕まで絡め取ろうとせずに、腕の下から抱き着けば解決しそうなものなのに。全部持っていこう、全部私のっ!と貪欲なあいは諦めずに必死に腕を伸ばしている。体積の計算がまるで出来ていない。
あいが脚をパタパタさせたり、落ち着き無く蠢き悪あがきをしていると流石に後藤も目が覚める。いい迷惑だという話だが、後藤は起きて直ぐあいが腕の中に居て満足げに目を細める……が、あいは不満足な表情で拗ねている。
「……どうした?」
「後藤さん……おはよございます。起こしてごめんなさい……、」
「ああ、おはよう……大丈夫か?」
「へぇき、です」
後藤は目覚めて直ぐ、自分の腕の中で恋人が世界中で一番不満を抱いている表情をしている事に若干驚きおはようよりも早く、先ずは確認をしてしまった。
あいは後藤を起こしてしまった事に悪びれず、起きたならもっと遠慮なく動いて良いと判断したのかもっそもっそと後藤を自分の腕の中に閉じ込めようとする。
ぎゅうぎゅうと抱き着いて来るあいの意図が掴めない。とりあえず抱き寄せれば良いのか?と。後藤なりに考えて、動き回るあいを抱き寄せると少しだけあいの不機嫌ゲージが下がっていく。
「あ、そっか」
「ん?」
あいを抱きしめていると、腕の中であいが嬉しそうにまた蠢き出す。良くは解らないが、後藤から離れる意志は感じられないから好きにさせてみる。
後藤が大人しくあいの好きにさせていると、あいは少しずつ下を目指して動き出す。後藤の胸の付近にあったあいの頭がどんどんと腹部の方まで移動していく。
「あい、何がしたいんだ?」
「んー……しょっ、と!」
先程の要領でグイッと後藤の体の下に腕を入れ込み、今度は後藤の腹部に腕を回す。今度はいとも簡単に回る腕にあいは満足そうに笑って後藤を見上げる。
あいの顔に世界中で一番幸せな笑みが戻ってきた。本日2回目の笑顔だったが、後藤にとってはこの幸せの象徴のようなあいの笑顔は本日初だ。
直ぐにでもキスをしたり、抱き寄せたいのにあいは後藤の腹部に抱き着いて離れない。それどころか後藤の腹部に顔を埋めて、スリスリと額を擦り付けて幸せそうに強くしがみ付いてくる一方だった。
「あい……こっちに、」
「もうちょっと、やっと閉じ込めたんだから」
「ん?」
「こっちの話だから気にしなくて大丈夫です」
……気になるに決まっているだろう、という。この状況に陥って、そんな事言われて「はいそうですか」と、言える程後藤はあいに対して関心は薄くない。
気になって気になって仕方ないし、あいと素肌同士で触れ合ってはいるけれど。これでは後藤からあいの顔があまり良く見えず。
色々と不満な後藤は憮然とした表情のままあいを持ち上げようと試みるが、あいはあいで漸く見つけたベストプレイスを手放すまいと抵抗をする。
「あい……」
「もうちょっとだけだから……!」
「駄目だ、」
「やだぁ~~……きゃぁっ!」
後藤の腹にしがみ付いているあいごとグルン、と仰向けになる。驚いて隙だらけになったあいを後藤が一気に持ち上げた途端、ふたりの唇の距離がゼロ距離になった。あいは一瞬だけ酸素もゼロになり慌てふためき固まる。
大丈夫だ、と優しく語りかけるように。後藤に頭を撫でられると直ぐにあいが落ち着き、後藤に教わったキス用の呼吸方法に切り替える。リズムをとるように唇をくっつけたり、離したりを繰り返せばあいの意識がまた混濁の中に沈んでいく。
ぼんやりとキスを与えられるだけの生き物にでもなったあいを今度は優しくベッドに組み敷いて、閉じ込めて。逃げられないように、尋問しやすく。だけどあくまでも優しいままで。
「あい、さっきの閉じ込めたというのは……」
「んー……?」
キスの余韻でぼうっとする。決して惚けている訳じゃない。それは後藤にも解っているから続きを甘く促すように額にキスを落とす。
「さっき言ってただろう、」
「んー……後藤さん、おっきいから……腕の中に入らなくて悔しかったの、」
羞恥心が欠落しているあいは正直に話し出すが……日本語に対して日本語が返ってこない不思議。キスで酩酊しているあいは言語を上手く使いこなせず。
しかしなんとなく後藤は朧げながらもあいの主張を理解する。
つまり後藤を自分の腕の中に抱き寄せたかったが出来なかった、だったら細いところでやれば良いじゃない、という事だったのだろうと。
「……そんな事で満足してないで、もっと独占したら良い」
「あー……でもそろそろ起きないと。人としてダメになっちゃう……」
「問題ないだろう。俺もアンタも明後日まで休みだ……出かけるなら昼からでも良い」
「多分……夏休みを無駄に過ごしちゃう子の発想ですよそれ……、」
なんて言いつつも、あいは両手を広げて後藤の行動全てを受け入れる。これで人間失格になったらあいも同罪だ。
夏休みは大人だってウキウキするもの。ただちょっとダラダラのやり方が大人になっているだけで。
結局ふたりは朝食を食べることなく朝と昼の中間、ブランチを摂る事になる。だがふたりは幸せそうに笑い合っているので、問題などどこにも無いのだった。
どうかこの手を握って
ある夏休みの朝、とある攻防戦