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信長で1時間使って駄文書いてみた。「肝は冷やさず温める」
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お名前変換可能なので試行錯誤してもらうか、お近くのはちを捕まえてくださいw
かかった時間
60分
注意
○この二次創作は書き手の妄想と勘違いの産物です。
○本編読んだけど断片的にしか記憶ねぇもの。
○だからもう適当に書いてる
○信長は偽物
○主人公ちゃんも偽物
これ見ても大丈夫?
それならばお暇つぶしにどーぞ!><
あいはとりあえず今殴りたい存在が2名居る。1名は隣で歩いている涼しい顔をした天下人……あいの恋人様だ。
罪状は何もこんなに怖い肝試しをしなくても安土桃山時代程度の猛暑など、環境破壊まっしぐらの酷暑がマストの現代から来たあいからすれば余裕なのだから肝を冷やして涼む必要なんか全くない。35度越えてからかかって来いと。
因みにあいが殴りたい、後もう1人は誰か?それは……暇を持て余している信長様の前で「私の時代は夏にみんなで肝試しをして楽しかった~」とかなんとか言っちゃった馬鹿な私!という事で少し前のあいである。つまりは殴れはしない、殴れても何も得るものが無い。
「信長様、暗いですね……」
「夜だからな。当然だ」
当たり前のことを言うな、とばかりに言う信長にホントにワンパンダッシュを挑んだろかとあいが拳に力を入れるが後が恐ろしいので止めておく。
多分その辺に隠れている秀吉辺りが飛んできて数時間お説教入るだろうし。この気味の悪い風景でもあい達を驚かそうとしている仲間がいると思えば怖くは……無いワケがない。怖い。
だってあいを怯えさせるために何か仕掛けてこようとしているのだから仲間じゃない、敵だ。信じていたのに裏切りやがって、という。ほんともうヤダ帰りたい、ヤダ。
「……信長様は暗いの怖くないんですか?」
「愚問だな。これしきで怯えていたら俺は今ここに居ない」
「そうですよね……確かに戦場の方が命の危険が危なくて怖いですよね確かに……」
「先程から言葉遣いが怪しくなる一方だが大丈夫か?」
「ああ……大丈夫かどうかで言えば大丈夫じゃない寄りの大丈夫じゃないです」
「……結局どっちなんだ?」
心底呆れた顔であいを見る信長に遂にあいの堪忍袋の緒がぶっちんと音を立てる。あいのために色んな人が動いてくれている、解っている。だから今の今まで我慢してここに居る。
だけどもう限界だ。怖すぎる、戦国の夜道本当に恐ろしい。それなのになんで行燈の光だけが頼りの木々に覆われた真っ暗闇を歩かないとならないのか。
「大丈夫じゃないです!! 肝試しは何もこんなに本格的じゃなくても良いんですよ!! あんまり舐めてかかっておばけが出たらどうするんですかぁー!」
あいが叫ぶ、ここは安土城から少し離れた月の光も届かない獣道。
隣にどんなに愛しい恋人が居たって、周りに仲間がいると知っていたって怖いものは怖い。
おばけなんてないさおばけなんてうそさ、でもほんとにおばけがでてきたらどうしようっていう話だとあいは主張する。
「貴様……まさか怨霊の類を信じているのか?」
「信じてはいないけどいないとも言い切れないじゃないですか! 私見たことないですもん!!」
「……くだらんな」
「あーもう! 信長様にはわかりませんよ! もう良いです!」
いつもの展開であいが信長から走り去ろうとするが、50mも行かない内にピタリ!と体を固め直ぐにUターンをする。
直ぐに信長の隣に戻ってきて、定位置で落ち着く。この状況で信長から離れたらマズイと直ぐに気づいて戻ってきたようだ。
「ほう……今日はじゃじゃ馬も大人しくなって悪くないな」
「なんとでも言ってください……」
いつもなら秀吉辺りに泣きつけば意外と何とかして貰えるだろうが、今は信長しか頼れる人間が居ない。反抗してはいけない。
渋々と信長に寄り添っているとあいの眼前に白い被り物を着た、驚かせる気を全く感じさせない秀吉が現れた。
「んっぎゃーっっっ!!!!!!!」
あいのためを思いあまり驚かない恰好をして出てきた優しい秀吉に対して残念ながら、あいはまんまと驚き叫び散らす。
信長の着物を握り締めて腰を抜かすという醜態を晒しながらも必死に恐怖を振り払おうと叫ぶあい。
あまりに怯えるから秀吉が仮装を解いて地面に座り込んでいるあいに思わず駆け寄り手を伸ばそうとする。彼は今日もとても優しかった、それなのに。
「良い。これは俺が世話する」
「……はっ! 余計な事を……!」
信長に牽制をされ秀吉は直ぐに身を引く。あいには思いっきり怯えられて、信長には牽制されて踏んだり蹴ったりの秀吉である。
未だ地面で腰を抜かして座っているあいを信長が腕に抱き上げるとあいは少しだけ落ち着いたようで浅くなった呼吸を整え始めた。
「おい、大丈夫か? 俺だからもう大丈夫だ」
「……ごめんなさい秀吉さん……私、思いっきり叫んじゃって、」
「いや、俺も怖がらせて悪かった」
肝試しなのだから驚かせるのが当然なのに、秀吉は律儀に謝っている。なんて良い人なんだろうか。もしあいが娘を持ったら結婚するならこんな人にしておきなさいと言っておかないと。
あいは自分を抱き上げて意地悪く笑う男を見上げて、こういう意地の悪い男はやめておきなさいと未来の娘への伝言をもうひとつ増やす。父親に似た男を選ぶとは良く聞くが……そもそも信長クラスのドSは希少だから大丈夫だろう。
「……信長様、ありがとうございました……そろそろ歩けそうです」
「良い。このまま行くぞ」
「はっ!?」
「この先の仕掛けが現れるたびに腰を抜かすぐらいなら運んでやる」
「人を手荷物みたいに……! 大丈、」
口答えをしようとした瞬間、狙ったように強い風が吹いてあいは信長の胸元にしがみ付く。
自ら大丈夫ではないと証明してしまった、無念。
「じゃあせめて行燈は私がもちます……」
「貴様、先程のあの調子では落としかねないだろう」
「……頑張って行燈は死守しますよ」
あいを抱き上げながら行燈を持つという器用な事をしている信長の負担を少しでも減らしたくて行燈だけは受け取る。
結局あいはゴールに着くまで信長の胸元に顔をうずめて、行燈だけはしっかり握りしめる簡単なお仕事となってしまうが……肝は十分冷えたので肝試しは大成功に終わったのだった。
因みにあいはずっと信長の胸元に顔を埋めていたから気づかなかったようだが、あいを運んでいる信長の表情はそれはそれはご機嫌なものだったとか。
肝は冷やさず温める