-
信長で1時間使って駄文書いてみた。「過保護と共に歩くように」
-
お名前変換可能なので試行錯誤してもらうか、お近くのはちを捕まえてくださいw
かかった時間
80分
注意
○この二次創作は書き手の妄想と勘違いの産物です。
○本編読んだけど断片的にしか記憶ねぇもの。
○だからもう適当に書いてる
○信長は偽物
○主人公ちゃんも偽物
これ見ても大丈夫?
それならばお暇つぶしにどーぞ!><
多忙に多忙を重ね、様々な作業を終えて信長は機嫌良さ気に安土城内を闊歩している。そう、目指すは愛しい愛しい恋人の元へ。これが機嫌良くならないはずがない。
いつも通り、意気揚々とあいの部屋へのルートを辿り、あいの部屋の前の廊下に入った瞬間事件は起きる。
「な……ッ!? あい!!」
信長が珍しく取り乱した声を上げて部屋の前まで駆け寄る。信長が走る先には愛しい愛しい恋人、あいが横たわっていた。
荒い足音にあいが反応してピクリ、と体を震わせるがそのまま動こうとする様子はなく。寧ろ更にグデ、と安心したように身を伸ばしたようにも見える。
反応はある、死んではいない。最悪の状況ではないと安堵はするが、様子はおかしいままだ。信長はあいの横に膝を突き抱き上げようとするが、動かしても良いものか悩む。
「あい、意識はあるな?」
「あう……あります、」
「動かしても大丈夫そうか?」
「出来たら部屋の中に運んでくださると……、」
助かります、と言ってあいはまたクテン、と脱力してしまう。抱き上げるといつもよりもあいは発熱しており、力も抜け切っていた。
信長は弱り切ったあいを腕に抱きながら、押しつぶされ、軋むような胸の痛みに耐える。
いてもたっても居られないとばかりに素早くあいが眠れるように準備をして、己がするべき事を瞬時に判断すると立ち上がって出入口へと向かう。
「今、家康を呼んでくるから暫く寝ていろ」
「……あぁ、大丈夫ですよ、これは」
「大丈夫か否かの判断を今の貴様にさせるつもりはない。大人しく寝ていろ」
ズカズカと急ぎ足で信長が出て行ってしまう。ああ、もう。これは絶対に馬鹿にされるのに。
置いてイカナイデ、寂しいからとかなんとか言って引き留めてしまえば……いいや、彼の顔はあいを心配し過ぎてガチだった。恐らく引き留めるのは無理だ、とあいは天井を半眼で睨みながらため息を落とす。
普段から殺すぞ貴様、とか軽率に言うくせに。いざあいが死にそうになれば必死に助けようとしてくれるんだな、信長様ってば私が死んだら大丈夫かしら?……と、しみじみ愛を確かめるの半分。もう半分は、
「夏負けですね」
この呆れ返った家康の顔と声音を想像するだけでウンザリするこの気持である。そう、今現在。なう進行形の話である。
「……夏負け、だと?」
信長がにわかに信じがたい、本当だろうな?これで重大な病だったら貴様殺すぞ、とばかりに家康を訝しげに見ているが、家康は涼しげにその視線を受け止める。
「はい……というより本人が一番解っているみたいですけど」
家康は冷たい視線で、信長が確認するようにあいに視線を移す。その視線を受け止める事が出来ないヤマシイあいはフイ、と目を反らした。
「おい、貴様……」
「大方この季節に水分補給や食事を怠ったんだと思います。小まめな水分補給と梅干でも食べてれば直ぐ治りますよ」
気温30度?まだまだ涼しいじゃないですか、35度ならまだ良いけど37度越えたらやっぱり暑いなぁ~、といった時代から来たあいだったが、針子仕事に夢中で水分を取り忘れればあっという間にこの有り様である。
戦国時代の暑さなど、取るに足りないと舐めてかかってしまった。それでも現代でこれを行えば死に直結する重度熱中症……熱射病になる可能性だってあったのだろう。それを思えばあいはヘラヘラ笑うので家康が呆れて部屋を出て行ってしまった。
家康が出て行けばこの部屋にはあいと信長のふたりだけ。信長は冷たい指先であいの頬を撫でる。それが気持ち良くてあいは猫のように彼の手に頬を寄せる。
「この時代の暑さに救われましたねぇ~」
「うつけが。食事は食べているのか?」
「それが……食欲わかなくて……」
ちょっと食べるのを疎かにしていましたね、とあいが笑う。秀吉や政宗にも再三言われていたのに他の人間におかずを譲ったりして食事を疎かにしていたらしい。
信長が少し目を離すとロクな事が無い。今それが証明された瞬間である。
「今後は俺の目が届かぬ時は秀吉と政宗に食事状況を報告させる」
「ちょ! 子供じゃないんだから大丈夫ですよ! 流石にこういう状態になったらちゃんと頑張ります!」
「黙れ。貴様に選択の余地などくれてはやらん」
「もぉ……過保護すぎますよ、」
と、あいが身も心も疲れてグッタリと布団に沈んでから一週間。武将たちに食事を管理されてあいは元気だった。
今現在は天主の張り出した板張りの床で、この時代では貴重な氷が入った水に足を入れて涼をとっている。小さな桶だったが贅沢は言えない、これだけでもありがたい。
「でも、この時代の氷ってどうやって手に入るんだろ……?」
あいは歴史にはとても疎い。良くは知らないが……でも冷凍庫が無いくらいの事は解っている。ならば夏に氷はどうやって用意したのだろう?
悩んでいると信長がお盆を手にあいの元へと戻ってきた。最近は本当に甲斐甲斐しくあいの面倒を見てくれる信長に対し、本当に心配をかけてしまったのだと反省している、が、今は彼の持ってきたものが気になる。
「削り氷だ、」
金属のお碗に入った金色の蜜がかかった氷を見てあいが驚く。現代で言えばコットンスノーキャンディとかその辺なのではなかろうか?
「この時代にもかき氷ってあったんですね……」
「……貴様の時代ではかき氷と言うのか?」
「はい……でも、夏なのにどうやって氷なんて持ってくるんですか?」
あいが純粋に不思議を投げかけると彼は特に気にした様子もなく、自分のために用意した金平糖を口に運びながら事も無げに答える。
「富士の氷室から氷を運ばせている」
「へ……? う、うそ……?」
「嘘など吐いて俺に益などない」
ならばあいが今足を突っ込んでしまっている氷は、手元にあるかき氷は……富士から運ばれている氷だ、と、彼は言っているのだろうか?
わが耳を疑って聞き返したが、信長は2つ目の金平糖を口にしながら平然と肯定してきた。そんな馬鹿な。
「おい、氷が融けるだろう」
さっさと食べろと彼は主張するが、こんな貴重な氷をひとりで食べられるものか。しかしこのまま氷が融けても勿体ない。
「こんな貴重なものをひとりで食べられませんよ……! の、のぶながさまも……!」
「……貴様が夏になど負けたから用意したものだ、俺は要らん」
「そう言わずに……! 共犯はひとりでも多い方が……!」
「何を言っている、貴様」
あいが震えながら信長の口に氷を入れようと手を伸ばす。ほらお口を開けてダーリン、あーん状態だがそこはもう気にならない。
信長はあいがいきなり震えあがった理由は解らないが、なんとなく食べさせられる事に拒否感がわかなかったので反発する事無く口を開く。
共犯ゲットに成功したあいは甘い蜜のかかった氷を口にするが、美味しいが、幸せだが……でも、次から体調管理は気を付けようと身を引き締めるのだった。
過保護と共に歩くように
夏に貴様をくれてやるものか