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ウィルで1時間使って駄文書いてみた。「バカップルになるために」
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お名前変換可能なので試行錯誤してもらうか、お近くのはちを捕まえてくださいw
かかった時間
53分程度+見直し10分。
注意
○この二次創作は書き手の妄想と勘違いの産物です。
○本編読んだけど断片的にしか記憶ねぇもの。
○だからもう適当に書いてる
○ウィルは偽物
○主人公ちゃんも偽物
これ見ても大丈夫?
それならばお暇つぶしにどーぞ!><
ああ、良い天気。世間は夢の大型連休に浮かれて喜色ばかりが街を行くここはオリエンス。しかもあいの地元が近い場所に居る。
あいの隣に居る王子様はフィリップ王国の王子様、ウィルだった。ここには公務で訪れていたのだが、終わり次第ウィルはあいを連れて街へと抜け出した……故に、クロードの姿はない。
帽子を被ってサングラスをかけているけどカッコよすぎて悪目立ちしている。フィリップだったら一発アウトだが、他国効果でなんとか誤魔化しきれているようだが。
「でもこの事がクロードさんに知られたら……想像するだけで怖いですね」
「大丈夫、一緒に怒られれば怖さも半分になる」
「いやぁ、多分クロードさんってばしっかりふたり分怒るから……」
カロリーハーフなんて甘い事、クロードは絶対に言わない。おひとり様におひとつ用意してますのでしっかりどうぞ。
そんな事を思ってあいが半眼になっているとウィルがクスリと笑う。
「でも最近、あいはクロードに慣れてきた」
「今、誰よりも扱かれてますから……」
何故、プリンセスレッスンの担当がクロードなのか。初日に嬉々として部屋に入ってきたクロードのあの好戦的な笑顔をあいは一生忘れないだろう。
乾いた笑いを浮かべてあいが瞼の裏に鬼の形相をしたクロードを浮かべてみる。鬼になってもスマートで優雅だけど、やっぱりコワイ。
「ほら、あい。そろそろクロードの事は忘れて」
クロードで頭を一杯にして百面相を繰り広げるあいを見てウィルが面白くない、と嘆息してあいの手を握り自分を見るように促す。
「あ、そうですね」
連絡もせずに出かけているので怒られることはもう確定的なので、あいは気持ちを切り替え恋人と母国を楽しむことにする。
ウィルがまた妙な嫉妬をしている事など気づきもせずにあいは周囲に目を向ける……が、そこには人、人、人。これが人混みというものか、と言わんばかりの光景。
これは目的地を定めないとただ人の波に流されて終わってしまう。
「ウィル、オリエンスで何かしたい事とか食べたい物はありますか?」
「あいが学生時代に食べていたクレープが食べたい」
結構食い気味に反応が返ってきたことにあいは目を瞬かせる。
どうやらウィルはこのお忍びオリエンスプチ旅行を決行する時にはクレープを食べると決めていたようだ。
しかしあいが学生時代に食べていた、という事は特別ゴージャスだった訳でもデリシャスだった訳でもない。普通のクレープだ。
「……この前フィリップで食べたクレープと大きく変わりませんよ?」
「後、タピオカミルクティも、」
「……あ、」
なるほど、と。そう言えばウィルはこの前熱心にあいの昔のプリクラを見ていた。そしてプリクラ内のあいが手に持っていたタピオカミルクティを見て興味を示していたのだ。
その時学生時代にクレープやタピオカミルクティを買って飲んでいた事を教えた。良く覚えてたな、とあいは口を半分開きながら感心してしまう。
「良く覚えてましたね……」
「あいの話を忘れたりしないよ。いつも、どこの店に行ってたの?」
「そうですね。学校の側まで行くには電車に乗らないといけないから……友達と良く遊んでた駅前のお店で良いですか?」
「あいが行ってた店ならどこでも良いよ……楽しみだ」
そんなに楽しみにしていただいても、残念ながら庶民出の学生が集まっていたお店……王子様を連れて行くには少し忍びない。
でもこうして自分に歩み寄ってくれるのは嬉しい。だからあいは少しそわそわしながらもウィルと共に思い出の店へと足を運ぶ。
そう多くは歩かずにふたりは店の前まで来たが、大型連休真っ只中なだけあり店は混んでいた。これならいっそ実家の和菓子屋でお茶でも飲んでた方が余程ゆっくり出来るだろう。
「ウィル、混んでるから……、」
「あい? 早く並ぼう」
「……え?」
あいが別の提案をしようと横を見たが、ウィルはいそいそとクレープ屋の列の最終尾を陣取っていた。
サングラスをしていようと美形が漏れ出ているウィルに周りの女子たちがチラチラと彼を見ているが本人は全く気にしていない。
楽しそうに店のメニューを見たり、周りをきょろきょろ見て珍しそうにしている。というより普通に珍しいのだろう、ウィルにとっては。
「ウィル、かなり並びそうですけど大丈夫ですか? 私が代わりに並ぶからベンチで休んでても良いんですよ?」
「それだと意味がない。こういうのも全部あいと一緒にやってみたかったから」
本当に嬉しそうに笑うウィルにあいは不覚にも真っ向からときめいてしまう。ああもう、恋とか愛とかそういうのじゃ足りない気がする。
あいが頬を熱くさせていると前から店員がメニューを配り始めた。あいとウィルにはメニューがひとつ。
「俺たちは恋人同士だからメニューがひとつ?」
ここでも純粋に嬉しそうにするウィルに「いいえ、多分恋人だろうが恋人じゃなかろうがお連れ様は1つなんだと思います」とは言えずあいは曖昧に目線を反らす。
逃がした目線の先では待ち合わせをしていたカップルが再会を喜んでいる。待った?待ってないよ、なんて言いながら抱き合っちゃったりして。
「ウィル、待ち合わせとかそういうのもやってみます?」
「それは良い」
「え?」
先程同様、食い気味に返事が返ってきてあいはまたしても瞳を瞬かせる。
「折角今あいと一緒に居るのに離れたくない」
真っ向勝負で愛情表現をしてくるウィルにあいがメニューを持ちながら固まってしまう。
固まっているあいに気づいているくせに、そんなのお構いなしでウィルは離れまいとするように無駄にくっついてメニューに目を走らせる。
「あいが好きだったのはどの味?」
こんなにくっついているのに、学生時代のあいにも寄り添おうとするかのように色々と聞いてくるウィルにもうそろそろ心臓のキャパシティは限界で。
ああ、でもさっきのカップルは視界の隅でキスをしている。ならばウィルがちょっとスキンシップ過剰でも問題はないのかもしれない。
「私が好きだったのは……、」
ああ、このクレープを食べていたあいは異国の王子様のプリンセスになるなんて思いもしなかったのに。
誰かと結婚したいとは思っていたけど、王子様と結婚したいなんて微塵にも思っていなかった……なんて、
「ところで俺たちもキスをして良いの?」
「しません!!」
感慨に耽っている暇もない。
ちゃっかりあのカップルのキスを見ていたらしいウィルがグイっと顔を寄せて笑うが、バカップルになってたまるかと勢い任せに真っ赤な顔を背けるあい。
「オリエンスでは挨拶でキスをしないって言ってたのに、みんなしてるみたいだけど?」
「あれはごく一部のオリエンス人です!!」
あいが背けた顔に更にまた自分の顔を寄せるウィル。そして負けじとまた反対へと顔を背けるあい。
これはこれでやっぱりイチャつくバカップルである事にはあいは気づいていない。
ああ、でもこれで良いのかもしれない。暗い話題が飛び交うこんな時代だからこそバカップルは増えるべき。
北京原人だってネアンデルタール人だってみんなみんな、愛を謳って来たから今の人類があるんだから。
いや、わからないけど。
そうだったら素敵じゃない?ってお話ですよ。
バカップルになるために
愛は全ての免罪符になるのさ