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創で書いた小ネタ5つまとめてみた。
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○心から愛してますよ!どうよ!?
彼のあまりに紳士的な態度に涙を誘う。
今あいは会議室の一角に居た。
「お前さ、俺の事好きだろ?」
「はい?」
「いやだから、好きだろ?」
なんて自信家なんだろう。
これだけ自信もって生きていけたらどんなにいいか。
「いえ、まぁ、そうかもしれません」
悔しいじゃないか!
全て彼の意のまま事が運ぶなんて!
悔しいが最早もう嘘をつけない場所まで達している。
「と、とにかく!今ここ会社なので放して欲しいです!!」
「だったら好きって言え」
なんでそうなるんですか!
もう嫌だ、いっそ誰かこの部屋に入ってくれば良いのに!
しかし準備はつつがなく周到な彼はしっかり鍵を閉めていたのでそれは無理な話である。
「俺が好きだよな?だったらへらへら他の奴に笑ってんじゃねぇよ。後早く好きって言え。」
ああ!なんて勝手な人だろう!
もうとことん本気だ。
こうなるともう思い通りになるまで彼は引かないだろう。
もうこんな距離卑怯だろう。
最早キスしてる同然のこの距離をなんとかして欲しい。
「ああ!もう!大好きです!ほんっとうに好きで好きでたまりません!」
文句あるか!異論は認めないけど!!
○俺か!俺が悪いのか!?
※↓続いちゃった(笑)
「……あぁ、そうか。わかった」
彼女の告白を聞き彼は押し黙って一歩下がる。
まさか、もしかしてそうなのか。
顔を見ようと回り込んでもその回り込んだ分だけ創も回る。
しかし残念な事に耳までは隠せなかった。
「あの、照れるのは私の筈ですよね?」
彼にそんなにも照れられると一世一代の大告白したこちらが冷静になってしまったではないか。
いや、あそこまで人を追い詰めておいてこれはちょっとどうだろう。
窮鼠猫を噛むってやつだろうか?
いやいや、人の愛の告白を追い詰められたネズミの反撃と同じ扱いはやめて欲しい。
そんな思いが顔に出ていたのか創があいの顔を見て噛み付く。
「うるせぇ!お前が素直に告白するから悪いんだろ!」
動揺してるし、吃驚してる。
嬉しくてどうしようもない程浮かれてどうしたらいいか解らないけど文句あんのか!
ああ、なんてお似合いな私達。
○またの名を、四面楚歌
「いやほんと許して、謝るから」
て言うか謝ってるから!
なんていう事でしょう、彼は完全に獲物を狩る目をしているじゃありませんか!
どうしようどうしよう、逃場がない。
ああ、これが絶体絶命ってやつなのか。
後ろは壁で、前には獣。
大体なんでこんな事になっているんだっけ?
ああそうだ、そうだった。
確か彼の前であのタレントがカッコいいとか言ったんだ。
そのタレントが貶されたからムキになってそのタレントの良い所を羅列した。
多分それだ、ていうか絶対にそうだ。
大体なんでそんな名も知らぬ人間の弁護したのだ。
迂闊だった、とても。
もう獣は眼前に迫っている。
「おい、覚悟良いか?」
ああ、確実に私カラレル。
体が震え上がる。
何故?
期待?恐怖?
きっと多分両方。
○おこた企画
些細な事で二人は喧嘩した。
内容はとてもくだらない。
創があいの楽しみにしていたプリンを食べた、それだけだ。
普段甘味を好まない創だがあいがお気に入りのものが気になったから食べた。
やはり甘いそれに創が顔をしかめていたらあいがその決定的瞬間を押さえていたのだ。
「な、何を……。何してるの……」
まるで夫の浮気を問いただす妻の勢いで創を信じられないものを見る目で非難していた。
プリンで。
「ん?プリン食った」
「甘いの嫌いでしょ!!なんでそんな甘いの代表選手のプリンを食べてるの!!」
「……いや、どんなもんかと」
「甘いものだよ!!楽しみにしてたのに!!」
「プリン如きで騒ぐなよ、ガキ」
「……」
あいの堪忍袋のが今悲鳴を上げて引きちぎれた。
ガキ?
ならばガキの楽しみを奪ったお前は鬼畜かと。
いつもならここで怒涛の言い返しが始まるのだがあいは無言でその場を離れた。
で、現状に至る訳だ。
「おい、出てこいよ」
「……」
返事がない。
これでは自分が無機質なコタツに話しかける可笑しな人間だろうと溜め息をつく。
あいはコタツに全身を収納して完全にストライキを起こしていた。
足を入れてあいの背中をつつくが反応がない。
上等じゃないか。
コンセントをプラグにさして電源を入れた。
後は獲物が耐えきれず出て来るのを待てば良い。
創はあいを燻り出す作戦に出た。
獲物は意外と根性をみせて耐えるので更に温度を上げマックスにしてやる。
流石にこの温度は足だけでも熱い。
全身を入れるなんて拷問に近いだろう。
案の定あいがたまらずと横から飛び出してきた。
余程熱かったのか出てきた途端パタパタを布団で自分を扇ぐ。
「卑怯者っ!!」
「うっせぇ、さっさと出掛ける用意しろ」
何故そんな風に上から物を言われなければならないのか。
む、とあいがまた機嫌を悪くして創に噛み付いた。
「寒いからお断りっ!!」
あいはリモコンを持って今度は顔だけ出して創に背ではなく頭を向けた。
もうこうなったら創が謝るまで絶対こうしてこの中で過ごしてやる覚悟のようだ。
「プリン、買いに行くぞ」
「え?」
くりん、とひっくり返って創の方を向く。
不思議な生き物を見るようにあいが創をまじまじと見れば創が顔を少し赤らめてそっぽ向いた。
その横顔は、どこか不貞腐れているような、照れているような。
判別するのに難しい顔をしていた。
「……悪かったよ。好きなだけ買ってやるから早く出て来いよ」
素直じゃない人間が素直になる程卑怯な事も無いと思うのは、多分自分だけじゃないとあいがまた表面上だけ不満そうにした。
こんな素直な創は珍しいので更に追加注文しようと思い悩む。
コタツから顔だけ出して、天井を仰ぎプリン以外に食べたいものを思案しているあいはとてもじゃないが社会人には見えなかった。
「……じゃがりこも買っても良い?」
「なんでも買ってやるから、それやめろ」
「出て欲しい?」
「……でなきゃこんな事言うかよ」
「素直じゃないね」
「お前も大概な」
○ある日王子様が……。
「てめぇっ! ふざけんなよ!」
そう言って虎之介は私をぎゅぅっと抱きしめた。
しかも結構キツめ……ううん、キツめじゃない!キツイ!苦しい!!
「ちょぉおおぉおおぉっ!?」
「うるせぇ!!」
「なんで朝から機嫌悪いの!? 私なにもしてないのに!」
「良いから黙ってこのままでいろ!!」
「意味わかんない!!」
なんか突然朝起きたら虎之介が機嫌悪かった。しかもなんか私怒られてるっぽい。
私が何かしたならまだ解るけど、私まだ今日やった事って目を覚まして体を伸ばしたくらいなのに!
「虎之介! 兎に角何があったか説明をして!! 出来る事なら改善するから!!」
「……うっせぇよ」
「照れるところかな!? 照れるところだったかな今!!」
意味解らない。でも虎之介は今、頬を赤らめちゃうほど恥らってる。
しかもどんどん締め付けが苦しくなってるような……ギブ、ギブです!!
「と、兎に角私は逃げないから……、状況を……」
「お前、突然他の王子様が現れたとか意味わかんねぇ事言って俺の事捨てやがって……」
「いつ!? どこの世界で!? どんな私がそんな事を!?」
「さっき、夢の中で、意味わかんねぇドレスを着たお前が」
「夢の中の話じゃーん!!!」
酷い濡れ衣って言うか、もうほんと完全にとばっちりじゃないですか私!!
勝手に夢を見て、勝手に怒って、意味解らないですけど!!
「夢の中でも許せねぇだろ」
「じゃあもっと幸せな夢を見てよ!」
朝っぱらから意味の解らない喧嘩をして私たちの土曜日が始まった。
明日の朝は穏やかに起きれるように、夜はしつこく好きって囁いて睡眠学習させとこうと思う。
うぃっす!おっすおっす虎之介先輩!!
なんか久しぶりに書いた気がします虎之介先輩!!