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ヘンリーで書いた小ネタ3つまとめてみた。
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○貴方の人生に潤いを
彼の言葉はいつも理路整然としている。例えばそれが感情的なものであっても。
結果に、結末に向かうために布石を投じるような話し方をするのだ。IQ200もあればきっと脳の回転数が人のそれとは違うのだろう。
冗談を言おうとする時ですら感情や思考を言葉に変えて、整理し、正しく選び取る。その瞬間、既に相手の反応から会話の着地点、更にその後の展開すら読み取ってしまうのだ。
彼の思惑通りに、全てが動くことが当たり前の事だったに違いない。
ああ、それはなんてつまらない世界だろう。結果が解っているドラマを何回も見せられているような。
あいにはとても耐えられない気がした。小麦粉ですらその日の天候や湿度で膨らみ方が違うのだ。
だから、あいは毎日パンを焼くが、毎日良い意味でも悪い意味でも裏切られ楽しく焼ける。
「ラッシー、おいで」
彼がただ普通に自分を呼んでいる。それだけの事だけど、一体彼の中で何人のあいが返事をしたのだろうか?
犬扱いを受けた事に腹を立てるあいだったかもしれないし、ヘラヘラと返事をするあいだったかもしれない。きっと今あいがどんな反応をしても彼は予測済みなのだろう。
「……ワン」
「は?」
「わんわんっ!」
ヘンリーの目が見開く。ああ、彼の200もあるIQ脳の中に吠えるあいは居なかったようだ。
あいはニヤ、と笑う。一般脳がIQ200に勝ったのだ、と。
犬のように吠えてまで勝ちたかったと聞かれれば、勝ちたかったとあいは胸を張る。少しでも彼の人生に潤いを与えられるなら更に一石二鳥ではないか。
「ラッシーは今からパンを焼くからもうちょっと待っててください」
それだけ伝えてあいはヘンリーを置いて部屋を出る。いつもなら何かしら返してくるヘンリーが驚いたままだったが、まぁ問題ない。
暫くしてフリーズかかったIQ200脳がクルクル回転して、飼い犬に待てをされたのだと気づき厨房へと足を運ぶのはいつもよりも遅かったようだ。
次はヘンリーのターン!(゜-゜)b
でもそれはこっちじゃなくて完成品としてあげようかな!
そろそろブログ上げないと広告邪魔だしなw
○愛犬を迎えに行こう
「……まぁ、ラッシーらしいとは思うけどね」
夕暮れ時、ヘンリーが彼女の部屋のドアを開けると幸せそうに寝ている姿が目に入る。
メールにも電話にも反応が無いので部屋まで足を運んだヘンリーは安堵とも落胆ともつかない溜息を吐く。
自分の部屋でどうしてようが、勿論彼女の勝手だ。だが、鍵はかかってない上に布団も掛けずに身を投げ出すように横たわる彼女は普段以上に無防備だ。
「入ってきたのが俺じゃなかったらどうするの?」
なんて言っても、天下泰平な寝顔を浮かべる彼女には届かない。
本当に、なんて無防備なんだろうか。
「ラッシー……ほら、起きて」
「ん……、」
「主人に迎えに来させるなんて……名犬の名前を付けてあげたのに」
「……んん?」
小さく唸り、彼女はゆっくりと寝返りを打つ。そしてぼんやりしたまま身体を起こした。
目を擦ろうとするが、眼球が傷つくだろうとヘンリーに止められる。だが何をされているか理解できない彼女はボーっ、とヘンリーを見ている。
暫くしてハッと我に返って周りをキョロキョロと見渡し、窓から沈む夕陽を目にして自分が寝すぎていた事に気付く。
「……ちょっと15分寝ようと思ったら……、」
「どのくらい寝てたの? 布団も掛けてないから肌が冷たくなってるけど……」
「あ……寒いかも、」
言われて気づいたとばかりに両手をさする彼女にヘンリーが呆れて嘆息しつつ、傍にあった上着を差し出す。
渡された上着を着ながら漸く何故ヘンリーが自分の部屋に居るか気になり始めたようだ。
今日は休みだから仕事をしてない、と咎められる事もない筈だった。
「ヘンリー様はなんでここに居るんですか?」
「……メールしても、電話をしても反応が無いから生きてるか心配になって」
「え……?」
彼女は傍にあったスマホを取り確認するが、画面は真っ黒のまま機能しなかった。
「充電切れてたみたいです……」
「そんな事だろうなとは思ってたけど」
「……じゃあ別に確認に来なくて良いじゃないですか」
「自分の飼い犬の体調管理も飼い主の義務でしょ? 念のためだよ」
言っている内容は大体酷いが、あんまり優しい笑みを向けてくるものだから彼女は文句を言う気にはならなかったようだ。
最近飼い犬にするように頭を撫でられても意外と嫌ではなくなっている。当初、毎回頭を撫でられる瞬間ビク!と身をすくませていたのに、今じゃ優しい手つきに体の力を抜く程に慣れている。
心地いい感触に瞳を閉じて享受していた彼女だったが、メール内容が気になりもう一度瞳を開ける。
「ところで、メールの内容はなんだったんですか?」
「……ああ。まぁ、もう良いよ」
「気になるじゃないですか!!」
「……別に、気になる内容でもないと思うけど、」
しかし彼女は恋人になった今でもヘンリーに対する理解が足りない。
そんな風に反応されれば、彼は更に内容を話したがらないのに。
焦らされて悔しそうにする彼女を更に焦らして楽しむのが何よりの楽しみ。屈折しているのは今更の話である。
「どんな内容だったか当てたらご褒美に散歩に連れてってあげるけど」
「……はずれたら?」
ああ、それでも多少はヘンリーを理解しているようだ。デメリットの確認が出来る様になっている。
あのまま答えを言って、外せばヘンリーが良いように利用する事を察知したらしい。
そんな彼女の小さな成長を内心で楽しみながら、ヘンリーはこれからどう彼女で楽しもうか思案する。
「……そうだね、」
ヘンリーの手は頭から頬へと滑るように移った。顏には壮絶な程悪戯に満ちた笑顔を浮かべて。
彼女が猫に狙われたネズミの様に怯えるが、ヘンリーはその反応すら楽しい。
「外したら、勿論……俺の好きな事をする」
「お約束過ぎるでしょー!?」
「別に俺、まだ何も言ってないけど? なんで顔を赤くしてるの?」
「な!?」
「それとも、今ラッシーが思ってる事をして欲しい?」
「結っ構です!!」
っていう、裏一直線小説を書く予定ですん。
ヘンリーは好きなんだけどね、うん。
今回の王子2のGREEイベントはヘンリーのみ攻略するよ(^q^)b
余力があればリュオまで行きたいけど、やっぱり今現在はヘンリーが一番好きだから普通にヘンリー選んじゃったもんねw
ただ、正直1人しか攻略出来る気しないねw
○高級餌で手懐けておくれ
「どういうつもりですか?」
「見てわからない? 餌付け」
あいは目の前にチラつかされた明らかに高級なスティッククッキーを見て唸り声を上げる。
不愉快である。あいは人類なのだから……だが、この菓子は明らかに美味しそうだ。とても美味しいに違いない。
あいは人類のプライドを賭けて、葛藤している。ここはヘンリーとあいの2人きり……食いついてしまっても良いのではなかろうか?
「と、言いますか。私を餌付けしてどうするつもりですか?」
「んー……。まぁ、やっぱりちゃんと絆を築いておこうかと思って」
「餌付けで築かれた絆ってどうなんでしょう?」
そう?と言いながらもヘンリーは持っていたスティッククッキーを口に運ぶ。
あいの顔色が青ざめているが、それすら楽しげにクッキーをパクッと食べてしまう。
「あ、意外と美味しい」
「いやぁあああああ!!! 私のクッキーがっ!!」
「まだ俺のクッキーだったし、あーんって言ったのに食べないからだよ」
至極呆れた顔をするヘンリーにあいが若干涙目で反論をする。そもそもあーんがおかしいと言っている!
「普通にくださいよっ! 手渡しで!!」
「ほーらラッシー、あーん」
あいの訴えなど知ったことか。ニヤニヤ、と笑いながらヘンリーが先ほど同様、クッキーをあいの目の前にかざす。
憎たらしい、ムカつく。だが、あの偏食王子が美味しいというクッキー……とても美味しいのかもしれない。あいが湧き出た唾液をゴクリと嚥下する。
ああ、早く決めなくては。ヘンリーの顔が「早く食べないとまた食べるよ」と語っている。ああ、食べたいけど、プライドもあって……、でも。
「あい、このクッキー……実は発売前でまだ出回ってないクッキーなんだよ」
言われた途端、あいは脊髄反射で口元に差し出されたスティッククッキーにパクリと食いつく。
「あ、食べた」
「食べちゃった……」
あいが自分の行動が信じられないと言わんばかりに驚いた顔をしている。
それでも口はモグモグと高級クッキーを転がしていたが。
「どう? 有名パティシエが作った超高級クッキーのお味は」
「しっとりしてて、口の中でとろけてます……クッキーなのに」
負けた、という顔をしていたあいだが、味について語り出すととても幸せそうだ。
そんなあいにヘンリーが嬉しそうに笑い、またあいの口元にスティッククッキーを運ぶ。
「はい、あーん」
あいが今度はなんら反抗もせずに運ばれたスティッククッキーに食いつく。
ああ、なんて美味しいんだろう。こんな幸せで良いのかしら、私。
「ラッシー、かわいい」
「ほんとに餌付けされてる……私、」
続く!!w