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白鷺一家で書いた小ネタ3つまとめてみた。
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○初めてのおちゅかい!
「行って来ます!」
「はい、行ってらっしゃい」
意気揚々と、息子が玄関で母親にしばしの別れを告げている。
あいがついて行くと思ったのに、無情にもドアの向こうに消えてしまった愛息子。
白鷺は慌ててドアを開き息子の小さな背中を追いかけようとする。
「……1人で出掛けるなんて危険です……私が一しょっ!?」
一緒に行く、と言いたかったのだろう。しかしすぐ横に居た愛妻に肘鉄を食らい皆までは口にできなかった。
地味に痛い。白鷺が視線だけで不満を申し立てるがあいはそんなものはなんのその。
「涼真さん、甘やかしちゃ駄目! あの子は涼真さんに似てしっかり者だからおつかい位1人で行けます!!」
なんて、言うけども。甘やかせる内に甘やかしたい……じゃなく。
見た目は自分に似た息子だが、方向感覚だけは似せてやる事が出来なかったのだ。残念ながら、迷子が得意の母親に似てしまっている。
「……今、正に、目的地の逆側へ曲がって行きましたが……」
「大変! あの子私の子だった!! 追いかけて涼真さん私は戸締りして後を追いますー!!」
「……了解です、」
そんな妄想。
○無邪気-無=?
「パパ!ママと別れて!」
白鷺はその言葉に思考を止めた、が考えるより脳の指令が行き渡る前に口の周りの細胞が“嫌だ”と形作る。
「ママがパパが居るから駄目だって! パパとお別れしたら僕と結婚してくれるって! 僕たちそうしそうあいなんだよ!」
相思相愛の意味も知らず息子がニコニコとあいの言った事をそのまま言うがそれでも傷つくのはどうした事か。
「僕ママと結婚したい! 別れて!」
「二度も言わないでください!」
これはお仕置きが必要のようですね、あい?
「……まさか、それで不機嫌だったりするんです、か?」
あいがそれはもう呆れたような顔をしてこちらを見ている。
……何故そんなにも呆れた顔をされねばならないのか。
仕事から帰ったら実の息子に母親と別れてくれと言われたのは不機嫌になるに値する事だと思うが。
白鷺がムス、とケーキを突いていた。
ああ、今日のケーキはあいのお手製のケーキで自分好みの甘さでとても美味しい。
実に幸せだと満足そうに笑う旦那様にあいが微笑んでいる。
「やっぱ似たもの親子ですね。涼もこのケーキが好きみたいです」
……そう言えば、ケーキが異常に細い。
どうやら涼が食べた時に多めにとったのだろう。
「困りましたね。味覚も似て、更に女性の好みまで似たとは……」
「……何言ってるんですか?あんなの今だけですよ。その内母親ウザいな年頃になります」
「いいえ、きっと彼は突飛な事ばかりする元気な女性を連れてきますよ」
「……あの、それ褒めてます?」
「それでいて何に対しても一生懸命な、愛らしい方だと思います」
「……だから、ですね……」
直に惚気てくる白鷺にうぅ、なんて唸りながらあいが照れている。
そんな愛妻の初々しい様子に白鷺は悪戯心を刺激されてニヤ、と笑う。
手元がチョコたっぷりガトーショコラなのがどうにも可笑しさを誘うが、彼はやはりカッコいい。
「ああ、それで、涼に浮気許可をおろしたようですね?」
「はいっ!?おろしてませんよ!ちゃんと別れたらって言いました!」
「ああ、胸が痛いですね。慰めて頂かねばどうにも立ち直れそうにありません」
「実の息子に何焼餅焼いているんですか!!」
「関係ありません」
「ただ単にそういう空気に持ち込みたいだけでしょう!!」
ぎゃーぎゃー騒ぎ立てるあいを白鷺が軽々担いで寝室へと姿を消した。
朝食は何故か父親によるもので涼が不思議そうに首を捻っていたという話。
うへー。
とりあえず加筆してこちらへ運びましたw
でも更に加筆してまた白鷺家族部屋に収納しますwうへw
○強制家族サービス
「では少し出かけてきます……」
あいが玄関まで行ったら息子が靴を持って構えていた。
出かけるのか?出かけるんだな?じゃあ連れてけ!!
そんな事を言葉も無く主張していた。
「……あれは……連れて行くまで粘る体勢ですね」
夫が冷静に分析するのにため息が出そうだった。
「……何をしてるの?」
「どこ行くの!?」
目をキラキラさせて聞いてくる息子に買い物に行くだけだよと言えば自分も行くと主張する。
「……折角の休みですし、ドライブにでも行きましょうか?」
あいが安定期に入ってなかったせいもあり最近はあまり外出は控えていたので鬱憤がたまっているのだろう。
今ならあいも安定期入っているし良いだろうと白鷺が提案する。
「……折角の休みなのに?」
「折角の休みだからですよ」
鍵を持って笑う白鷺にあいと息子がやったー!とはしゃぐ。
たまには家族サービスも良いだろうと白鷺はその暖かな光景に目を細めた。