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橘で1時間使って駄文書いてみた。「星になんて願わないで」
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お名前変換可能なので試行錯誤してもらうか、お近くのはちを捕まえてくださいw
かかった時間
70分(ちょい寝てしまった)
注意
○この二次創作は書き手の妄想と勘違いの産物です。
○本編読んだけど断片的にしか記憶ねぇもの。
○だからもう適当に書いてる
○橘は偽物
○主人公ちゃんも偽物
これ見ても大丈夫?
それならばお暇つぶしにどーぞ!><
あいは休みなので橘の家へ遊びに来ていた。正確に言えば遊びに来ていた、というよりは昨夜からずっとここに居る。
金曜日は同居猫のタクローさんが居るので橘を連れて家に戻り、土曜日に橘の家に移動したのだ。つまりなんだかんだずっとふたりは一緒に過ごしていた。
橘がそう望み、あいもまたそれを望んでいたから。
「あーあ。今日も雨かぁ……、」
あいの残念そうな声に橘は窓の外へ目を向ける。あいと橘は時計の針が朝と昼の間を指し示しているというのに未だにベッドの住人だった。
今日は七夕なのだ。織姫と彦星は今頃雨で川が氾濫して会えなくなっていたりはしないのだろうか?なんて、口に出すには幼稚過ぎて恥ずかしい。
ただ少しだけつまらない気持ちになったあいがため息を吐くと、橘があやす様に髪の毛を撫でてきたのであいはほぅ、とまた甘いため息を吐く羽目になる。
「ため息ばっかりだな……退屈?」
「いえ……退屈、ではないんですけど……、」
勿論雨が降っているので多少は憂鬱な気分になったりもするが……結局外の天気など関係ない過ごし方をしていたし、それどころではなかったし。
かといって織姫と彦星の話なんてしたくはないし、さぁどうしたものか、と。思案するけどなにも浮かばない。ただ現状の甘ったるさに蕩けそうな脳みそと体を持て余しているだけ。
何かを探して視線を彷徨わせると、なんとなく恋人のシャツを羽織っているだけの自分を振り返り視線を下にやる。
「……あ、」
自分の肌に残された男の情痕が視界に入り、あいは慌てて肌蹴た胸元を掻き合わせ隠した。
橘のベッドの上、橘の腕の中で身をちぢこませ、橘から身を隠すあいは無防備というよりもう滑稽だ。それでもただ本能的に隠れようとするあい。
そんな微笑ましいあいに気を良くした橘は更に腕の拘束を強めて彼女の髪の毛に唇を寄せる。その時香った自分と同じシャンプーの匂いに独占欲が満たされていく。
「どうした?」
「いえ、その……、」
貴方が残したキスマークが胸元に残ってて恥ずかしかったので隠しています、とは言えずにあいは口籠るが橘は逡巡するまでもなくそんな事はお見通している。
というよりもうそこまで素直に露骨な態度を取られればどんなに愚鈍な男でも気づいてしまうだろう。
しかしそんなあいの安直な態度も、今まで様々な女性と駆け引きをしてきた橘の目には新鮮に見えてしまい……平たく言えばただ愛おしい。愛おしいものは弄りたいと思うのはもう男の性じゃないだろうか?
「胸でも苦しい?」
胸元を隠すあいの手に自分の手を乗せ、手繰り寄せて、彼女の鼓動を暴いてやろうと。
そうしてまた、かきむしるように貪り耽るのだ。彼女の愛もぬくもりも優しさも。占有したい。願いはそればかり。
「あ、のですね!」
「……ん?」
あいが窓の外を見ながらこの甘い空気を誤魔化すように話し出す。視線は橘から逃れるように外したまま。
「ほら、退屈って言ってたじゃないですか!」
「ああ、うん」
「そうじゃなくて、雨が降ってると今日織姫と彦星が会えないんじゃないかなーとか、そんな事考えてただけっていうか、ほら、七夕って振替ないですし、天帝さん厳しそうだし、」
一体もう何に対して恥じらっているのか。あいはひたすら早口でまくし立てているが、橘の笑顔は絶えぬまま。
肉を切らせて骨を守りたかったのだろうか。しかし残念、肉も切れた上に骨まで自爆で断ってしまっている。
可愛い事ばかり言う唇はもう黙らせてしまおう。これ以上の愛おしさは抱えきれなくなってしまうから。
「きっと、」
「……え?」
「一年に一度の逢瀬を人目に晒さないために雨が降ってるのかもしれない」
年に一回、なのだ。橘だったら想像するだけでゾッとする期間ふたりは会えないのだから、久しぶりの逢瀬に浮足立つ恋人達に願いを掲げる無粋な人間の視線から隠れたくなるのも仕方ないのではないだろうか。
それか、あい曰く厳しい天帝のお情けなのかもしれない。そうだとしたら七夕の雨もそう悪くはないのではないか。
「俺ならあいを攫ってどこかに行くだろうけど」
「……え?」
「ん、ごめん。大丈夫、こっちに集中して」
後はもう、雨水が落ちて地に吸い込まれていくような。
橘もまた落ちてあいに沈み込むように。あいは浴びるように、飲み干すように。
自力でどうにか出来ない願いなんてただひとつ。織姫も彦星も叶えられない。橘の願いを叶える事が出来るのはこの世で唯一、あいだけだ。
「もうずっと君を抱いているから、今抱けば君の負担になるのは解ってる、」
「え?」
「それでもまだ抱きたいって言ったら叶えてくれる?」
力が抜けたあいの手を握り、指先に口づけて許しを乞う狡猾な男に抗う術など持ち合わせていない。
あいは彼の手を握り返し、小さな力で男を引き寄せる。後は察しの良い恋人に全て身を任せれば大丈夫だろう。
だって、あいの願いもまた橘と同じ。昨日からずっと、おやすみなさいのキスをしたって燻り続けるこの熱を持て余しているのだから。
「愛してるよ、あい……あいは?」
「……え?」
「願いはなに?」
出来ればどうか。彼女の願いもまた、自分が叶えたい。星になどくれてやりたくない。
星より早く、俺に願いを。結局また橘の願いになってしまっている。解っていても尽きない独占欲。
「……もう叶えて貰ったので、だからはやく、」
それだけ伝えて、またあいは彼の手をクイ、クイと二度程引き寄せキスより先を促した。
ほどなくすればふたり、溢れかえる甘ったるい世界の真ん中に。
それではこちらは勝手に仲良くしておりますので、どうぞそちらも勝手に仲良くしてください。
未だに晴れない雨雲の向こうに背を向けて。
橘は両腕であいを世界から隠してしまうのだった。
星になんて願わないで
あなたの隣には私が居るのだから