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【miya】
たまる、ってわかる?
シないとたまるでしょ。
身体に熱が。
でも、
カイちゃん。
カイちゃんとはそれだけじゃなくて。
もっと色んなものが絡んで
ほんと、なんだろう?
性欲の解消、
会いたいのはそのためだけじゃなくて
……ほんと乙女チックで…アレだけど。
声を聞きたい、とか。
笑顔を見たい、とか。
なんなら…できれば
わたしだけを見てほしいとか。
昔のわたしだったら考えられない感情がある。
ねえ、これはなんだろう。
もう本人に聞いてみよっかな。
「カイちゃん。わたしさ」
「ん?」
「カイちゃんのこと、すごく好きなのかも」
「ええー、っていうか
そうじゃない可能性があるわけ?」
「……なんていうか、例えば……
だいもんのことだって好きよ?同期だし。
でもカイちゃんは……会いたくて
時々我慢できなくなるのよ」
「……や、そんなの、今更……急、だね」
いつでも余裕の
カイちゃんが赤くなる。
……困らせたかな。
「つまり誰よりすごく好きみたい」
「……ありがと、美弥ちゃん。今日直球だね」
「せっかく来てくれて、会えたから」
「あの……一応、言っとくけど
我慢できないくらい好き、っていうなら…」
カイちゃんがまっすぐに見つめてくる。
こっちが照れるくらいまっすぐに。
「美弥ちゃん。わたしは、そんなの、
ずいぶん前からなんだけどね」
「……ほんと?もいっかい言って?」
「……美弥ちゃんのこと、
我慢できないくらい好き」
【kai】
絶賛、皇帝陛下なう、の美弥ちゃん。
今日は疲れて自宅の廊下で
眠っちゃってるの発見して
起こして、いっしょに寝室に来て
そして突然……
…告白…(ってことにしよう)してくれた。
そんなふうに言ってくれるなんて
すごく意外で。
美弥ちゃんの負担にならないようにって
ずっとどこかで思ってた。
重いのが嫌いな美弥ちゃんに
いくらでも合わせようと思って
約束もなく、告白もなく、束縛もなく
今日まできた。
それでも、
選ばれてるならば
じゅうぶん幸せだって思ってたんだけど。
直球すぎる言葉に
心の底から嬉しいって思う自分が居て。
もちろん直球で返して、
…爪先から頭まで
「嬉しい」が駆け巡る。
と、喜びを噛み締めてたら。
「急なんだけど、カイちゃん今日抱かれて?」
「え」
いまなんて?
と思ったらキスがきた。
ええ?!
「ちょ、ま、まって…」
経験はゼロじゃないけど!
絶対的に少ないし
「ど、どっちかっていうと
美弥ちゃんを気持ちよくさせて、それで
気持ちよくなりたい…っ、…!…ん、っぁ」
話してるそばから
耳を甘く噛まれて舐められて
変な声が出た。
…これはヤバ、い。恥ずかしい……。
と、思ったら
いつのまにか手を滑らせて
胸を触ってる美弥ちゃん。
「かたくなったよ、ココ♪」
「……!……!っあ」
「かわいい、カイちゃん……」
「美弥ちゃん、…ダメだよ」
美弥ちゃんの手を押さえてみる。
でも、痛くしたくないから
力は入れられなくて。
つまりなんの効果もない。
「ダメ?気持ちよくない?」
「イイ……から余計ダメ」
「なら、気持ちよくなってよ、たまにはさせて」
「い、や……でも……っ」
「好き、カイちゃん」
う。すごい目線が来た。
強烈なやつ。だれでも落ちるやつ。
「カイちゃん。ここ、感じるでしょ」
「///……」
ダメだ。今日の、美弥ちゃんは
舞台に居るときみたいな妖艶さ。
指の動きも耳にかかる息も……
くらくらする。
「濡れてる、カイちゃん」
「ぁ……、っ、ん」
自分もテクニックには自信があるけど
美弥ちゃん、上手……だ……。
あっというまに感じる場所を探り
いつのまにか恥ずかしいぐらい濡らされて
……声が抑えられない……。
好きな人に触れられると
こんなに感じるものなのか。
「あ、み、美弥ちゃんっ……ぁ」
「カイちゃん、ほんとに、好き」
「ん、は……ぁ、っ」
感じすぎて怖いなんて言えない。
そう思った瞬間
絶頂が、きた。
【miya】
いままで
カイちゃんと寝るとき
抱かれるばかりで
ちょっとだけ不満だった。
カイちゃんは、気が遠くなるほどの
快楽を惜しみ無く与えてくれて
上手だなぁ
経験豊富そうだなぁ
でも
誰と経験を重ねたのよ?
そんな嫉妬の気持ちが生まれるほどで。
わたしばっかり
夢中になってる感じもして。
がらにもなく、不安だった。
でも今
すっごく可愛く
わたしの肩にぴったりくっついて
イッたあとのカイちゃんが
眠ってる。
…あしたこの手を離したら
またしばらく会えない。
わたしは時を遡ってウィーンに、
カイちゃんは異次元に行く。
ほんと…忙しい。
そのあとだって、いつゆっくりあえるだろう。
「……だいじょぶ、だよ、美弥、ちゃん…」
え、起こしちゃった?
……違う。寝言だわ。
寝言まで、お兄様。
目覚ましと携帯のアラームをセットして。
おやすみ、カイちゃん。
頬にキスして
灯りを消す手を一瞬止めて
優しい寝顔を目に焼き付ける。