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合宿へ行こう1
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全国大会も終わり、3年生が引退を終えた秋、氷帝学園から合同合宿の誘いが舞い込んできた。
跡部曰く「お前らどうせテニスやめる気ないだろ」。
まぁその通りなので三年の元レギュラーと新部長の切原赤也は誘いを快諾。公休扱いにしてやったぜ、との有り難い言葉で土日含めた五日間、跡部の別荘へ向かう事となった。
企画書には、部活動の一環なので食事、部屋掃除以外の練習に付随する雑用にはスタッフを使いたくない、という跡部の意向でもしマネージャーがいればその人を、いないのであれば手伝ってくれる生徒を一人出してほしい、との記載があり、これがなかなか難儀していた。
「部員誰か一人連れていけばいいじゃないっすか~」
「部長が何を言い出すんだい。それじゃあその子が練習出来ないだろ。」
「うっ…」
「幸村、笑顔で凄むのはやめんしゃい…」
今までは当たり前だったメンバーが久々に部室に集まり話が盛り上がる中、皆から視線を外し何やら考え込んでいるそぶりの真田に柳が気付いた。
「どうした、弦一郎。何かあるのか?」
「う、うむ…その、心当たりが有るといえば有るのだが…」
「「「…え?!」」」
全員の視線が真田へ集中する。
「そいつでいいじゃん!!誘えばいいじゃないっすか!」
「…しかし、確実に受けてくれるとは言い難くてな…」
「ぷり。」
「忙しい方なのでしょうか?」
「いや、ずっと帰宅部であったし放課後特に何かがあるわけではないのだが…」
「ここで真田がうだうだ考えてても仕方ないでしょ。とりあえず本人に話してよ。」
「そうだな。まずは本人に聴いてみなければ結論は出ないのだから。」
幸村と柳にこう言われては真田はもう何も言い返せない。
「ぅ…そういう事なら…確認はしてみるが…あまり期待はしないでくれ。」
彼にしては珍しく、歯切れの悪い返事であった。
「ていうか、真田の心当たりって誰だよい?全く見当つかねーんだけど。」
「そおっすよね!?同級生っすか?!男?!女?!」
「………クラスメイトの女子だ。」
赤也の勢いでつい答えてしまってから、真田ははっとするが既に時遅く。
「「「……えええーーー!!??」」」
部室に全員の驚愕の声が響いた。