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お買い物
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と言うわけで電車に揺られやって参りました、世界最古と言われるマラガの市街地でございます。
流石ピカソが産まれた街とでも言うだけあるのか、歴史的建築が美しいです。
前世だったら流石に物ぐさの私も絶対観光しまくり写真撮りまくりですよ。
しかし今回の第一目的はスティーブンの服!
早速ブティックが立ち並ぶ方へと足を向けて子供服の店を探す、が…
んん、中々見つからない。
地図アプリでもそこまで詳しく載ってないし、人に訊くのは面倒臭いが仕方ないと地元民っぽい女性二人に声をかける。
『すみません、店を探しているのですが』
「えっ…あ、案内しましょうか?」
私の顔を見るなりポッと頬を染めて近寄ってくる女性二人、やっぱりこりゃ逆ナンモードかな。と即座に後ろにいたスティーブンを引き寄せる。
『子供服のお店はどこでしょう?息子が派手に汚してしまって』
固まる女性二人は私とスティーブンを見比べてから、あからさまに残念そうな顔をした。
どうだこの美少年、可愛いやろ。
「ええと、あそこの角を右に行って雑貨屋さんの隣です」
『どうもありがとう』
秘密兵器スティーブンでラクラク逆ナンを回避し手を繋いで教えられた角へ向かう。
息子って思わず言ってしまったけど彼は嫌だったかが気になってチラリと横を見ると、パチリと目があった。
「…息子って」
『嫌だったか?』
「……別に…嫌じゃ、ない」
ふいと顔を逸らした頬は赤くなっていて、明らかに照れている。
なんだろうこの可愛い生き物。
手を繋いだまま店に入り、好きなものを選んでいいと言ったが彼はチラチラと値札を気にして選ぼうとしなかった。
一丁前に遠慮なぞしおって、と彼が気にしてた服を取って[これでいいな?]と私が決めたようにしてレジへ持って行った。
コートはブルーグレーという渋さよ…
試着室で着替えさせてもらい、どこからどう見ても育ちのいい美少年が出来上がった。
店を出るときにレジのおば様に褒められたのが嬉しかったのか、照れて赤くなったスティーブンが可愛くて内心悶えながらその後も手を繋いだまま食材の買い出しをした。
買い物の間キョロキョロと辺りを見回しつつも、はしゃぎたいのを我慢するスティーブンが可愛かったのは詳しく言うまでもない。
バスに揺られて着いたマリアサンブラーノ駅にあるモールのフードコートで買ったボカディージョを昼食に、列車の中でいただく。
少し早いが買い物も済んだので、早々にマドリッドに移動することにしたのだ。
早めに着く方がいいことに越したことはない、
先日しとめた眷属がやっていたクラブには各国要人がいたのだ。大々的なニュースになり、警察の大捜査が始まる前にフランスに逃れておかなくてはならない。
ヘタすると口封じのために暗殺者とか差し向けられちゃうからね!!
その為にはまずスティーブンの身分証明証とパスポートが必要なのである。
警察にもバレない精密な偽造パスを作ってくれる職人がマドリッドにいるので、さっさと頼んで移動するに限る。
正直その職人には会いたくないですけどね…
何故かってそいつ言い寄って来るんだもん…
しかしスティーブンの為なら頑張る。
「アル…大丈夫?」
これから会う男との対面を思って遠い目をしているとスティーブンが心配そうに覗き込んできた。心配してくれるのかい?ええこやな…
『何でもない、大丈夫だ…』
心遣いが嬉しくて優しく癖のある髪を撫でてやって微笑むと、頬を染めて俯くスティーブン…
めちゃ可愛い。
…アイツにはスティーブンを会わせないでおこう、教育に悪い。