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修行
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Bonjour!
早くもフランスに降り立ちました
アレクセイです。
マドリッドからパリ直行便なので早い早い…
本当はルルドとか山が近い場所に直行出来たらなぁと思ったし、乗り換えすれば行けたは行けたんですがね…
ピレネーは手強かったのだよ…昨夜チケット予約するのに調べたら…なんだよ21時間て…
パリ経由とか何故Uターンしなくちゃならないんだ!バルセロナ経由でもかなりかかるので素直にパリから別の場所を探すことにしました…
流石のクズルシオが作っただけある偽造のパスポートと身分証は楽々チェックを通過し、私もブルネットのウィッグで変装しているので、CAさんやらに
[伯父さんと旅行?楽しんでね]なんて
微笑ましそうな顔で声をかけられたりした。
いや本当は修行なんで、私は兎も角スティーブンはきっと楽しくないんですがね…と複雑な私をよそに本人は心底嬉しそうに頷いていた。
うん、うちの子可愛い。
CAさんにバイバイと手を振るスティーブンに癒されてから、空港内の本屋で勉強用の語学書を数冊とノートを何冊も購入し。
シャレオツなカフェで一休みしながら修行に良い場所がないかをスマホで検索する。
グークルアースを拡大縮小を繰り返しグルグル回して、良さそうな場所をようやく見つけた。
『アラン、また移動するぞ…次行く場所では一年滞在する』
「一年?」
私に習って椅子から立ち上がり、ジュースを手にスティーブンが首をかしげる。
出会ってから一か所に一週間も居なかったから、ずっと同じような生活が続くんだと思っていたのだろう。
『お前の修行のためだ、まず体力をつけないとならない』
「…うん」
頑張ると言ったが、一瞬不安そうな顔をしたのを見逃さず髪をクシャクシャと撫でてから手を繋ぐ。
『いきなり無茶な修行はしないから安心しろ…』
ホッと吐息を漏らす様子に苦笑して、二人で駅へと向かった。
広々とした平地に畑と民家がぽつぽつと点在し、道路が一本ずっと先まで伸びて、それらを囲むように鬱蒼とした森が広がっている。
森の奥まで入ったらきっと人と出会うのは難しいだろう、うん…修行には丁度いい。
まずは住居だと小さな町役場へと向かい、住民に空き家をきいた。運良く元農家だった空き家があると言うのであれやこれや契約を済ませ、買い物をしてから途中の大きな街で借りたレンタカーで向かう事にした。
着いてみれば中々年季の入った一軒家だった。
すげー、ドラマの幽霊屋敷でしか見ないような埃が!
まずは家中の窓やドアをスティーブンと手分けして開け放ち、家具にかかった布を剥がし外で埃を払って洗濯機に打ち込む。
こっからが正念場だと、二人で掃除用具片手に掃除に勤しんだ。
掃除すること5時間…
ピカピカになったリビングで夕食を済ませて、今はソファで明日からのスケジュールを組んでいる。
スティーブンにはまず英語の本を渡した。
世界でのほぼ基礎言語だから英語がわかれば他の言語も何とかなる。
まずは柔軟体操をして、走り込みで足と持久力を鍛える。
その後スクワット、腕立て、腹筋で満遍なく体の筋肉を鍛えてから、私の早さに目を慣れさせる訓練。
いきなり手合わせはハードルが高すぎる…
私の爺ちゃんは容赦なかったけどね!
裸獣汁外衛賤厳氏はかなり無茶な修行を敢行してたんだろうけど…スティーブンにそんなことしたら死んじゃう。
「アル、これなんて読むの?」
『ああ…これはな…』
語学書を持ちながら訊いてくるスティーブンに答えてやりながら、メモを閉じた。
明日からハードだ。
果たして私にちゃんと教えられるのか、不安があるがやらないわけにもいかない。
あとは…エスメラルダ式血凍道の使い手のことも少しづつ探さなくては。
その後スティーブンをお風呂に入れたのだが、一人で入れるといいつつも私を追い出さず顔真っ赤にしたスティーブンの背中を洗ってやった。
滅茶苦茶照れてるスティーブン可愛かったです。