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girlfriend〈ちな 〉
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ぴかぴかのお風呂…。
シャワーとバスタブは
ガラスの板で隔てられていて
とにかく広くて
いいにおいがする。
びっくりするよね、撮影みたいで。
夜景が見えるバスタブって
ほんとうにあるんだなぁ。
絹、
お手紙は…読んでくれてるかな。
できるだけ丁寧に
思うことを書いた。
キスも薔薇も封筒も受け取ってくれた。
……幸せな気持ちにのぼせそう。
絹が、すき。
その気持ちだけで
あとは…あとはなにもないよ。
絹。
さっき、話してて
絹は幾度も
わたしの名前を口にした。
とても甘い気持ちになる。
絹に呼ばれるのが好き。
舞台の上で経験した
「恋」や「愛」とは
ぜんぜんちがう。
いま、
憎しみとか苦しみとか嫉妬とかと
いちばん遠い場所に居る気がする。
複雑なことなんてなんにもなくて
あのふわっふわの
胸に顔を埋めて
くすぐったそうに笑う声を聞けるなら
わたしは、なんだってできる、
そんな気持ちになる。
……こんな素敵なお風呂に居るのに
もう会いたくなっちゃった。
うん。
キスしにいこう。