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005
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岩ちゃんが言った通り
家がバレてるってよくよく考えてみたら気味が悪い。
私がアイツと付き合ってる事を知っていて
その上私の自宅を知っている知人に写真の女はいない。
どうして私がアイツの彼女で、私の自宅を知っているのか…
私とアイツが一緒にいるところを見て後をつけたとか?
となると、顔もバレてるってこと?
だんだん怖くなってきて、営業先から帰ってきたばかりの岩ちゃんをジーっと見つめた。
『なんだよ(笑)告るつもりかよ』
『いや…あんたに告るなんてあり得ないから』
『失礼だな(笑)で?マジでなに?』
『気持ち悪くない?』
『は?俺が?』
私を睨み付ける岩ちゃんに、
慌てて説明しようとしていたところに、
同じ部署の鈴木くんがやって来た。
『すみません。花梨さん、
これお願いしていいですか?』
チラッと見ると、鈴木くんの手には
私達 営業事務がする書類があった。
『あ…うん大丈夫だよー』
『お前の担当いんだろ!
なんで毎回花梨んとこ持ってくんだよ!』
『急ぎで…でも、吉田さん帰っちゃったから』
『岩ちゃんが怒ることじゃないでしょ?
鈴木くん、それ貸して?いつまで?』
岩ちゃんに叱られた鈴木くんは、ちょっとビビりながら
『すみません、明日の朝一で先方に…』
『え?あ…明日…ね。了解!』
『ほんとにすみません。お礼に今度メシでも…』
『行かねぇから!』
是非!と、私が答える前に何故か岩ちゃんが断った。