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006
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鈴木くんから預かった書類を処理して、そろそろ帰ろうかと時計を見ると19時少し前だった。
『花梨、メシ食って帰ろうぜ!』
同じタイミングで仕事を終えた岩ちゃんに声をかけられた。
『あ…ちょっとお店寄って行こうと思って』
『店?何しに?』
『何って、いるかなぁ?と…』
『なるほど!偵察だな?俺も行くわ』
コイツ、絶対面白がってんな。
そう思ったけど、一人よりは心強いし…
『じゃあ、お願いしよっかな?』
そんな話をしていると、また鈴木くんがやって来た。
『あ!もう帰れます?良かったら今から…』
『ちょうど良かった!ノブは面が割れてないからコイツに店に入ってもらおうぜ!』
は?
私と鈴木くんは、不思議顔で首を傾けた。
『花梨と俺は、臣さんが居たら何しに来たんだよって思われるじゃん。外から見える位置に店の人が全員いるとは限らねぇし。この時間だから、最後の客だろ?上手くいけば、店員皆でお見送りだろうしさ』
『鈴木くん巻き込んじゃダメでしょ!』
『えっと…何の話すっか?』
『ノブ!お前今から髪切りに行くぞ!』
私のため息と鈴木くんの???を無視して、
岩ちゃんはさっさとフロアを後にした。
『鈴木くん、悪いけど付き合ってね。
事情は歩きながら説明するから』
『…は、はい』
私達はエレベーターの前でニヤニヤしている岩ちゃんを追いかけた。