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雄英体育祭5
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《上を行く者には更なる受難を。雄英に在籍する以上何度でも聞かされるよ。これぞPuls Ultra!予選通過1位の緑谷出久くん!!持ちP1000万!!》
予選通過した皆が緑谷を見る。彼に伸し掛かる重圧はけして軽いものではないだろう。
《制限時間は15分。振り当てられたポイントの合計が騎馬のポイントとなり騎手はのそのポイント数が表示されたハチマキを装着!終了までにハチマキを奪い合い保持ポイントを競うのよ》
騎手は誰でもいいのか。なら緑谷が騎馬になってもいいわけだ…でもアイツが騎馬になるとデメリットの方が大きいな。
っつーか誰が峰田の事拾ってくれんのかな。そっちの方が気になる。
《取ったハチマキは首から上に巻くこと。取りまくれば取りまくる程管理が大変になるわよ!そして重要なのはハチマキを取られても、また騎馬が崩れてもアウトにはならないってところ!》
制限時間いっぱいいっぱい足掻けってことね。ポイントを取るだけじゃなく、取った後、取られた後の姿も観客席に精一杯アピールしろと…
始まってしまえばそこまで頭は回らなくなるだろうし、わざわざそんなことしなくても1Aは魅力的な奴等ばかりだし気にしなくていいだろう…
っとなると焦凍の騎馬は想像がつく。
《個性発動アリの残虐ファイト!でも……あくまで騎馬戦!!悪質な崩し目的での攻撃はレッドカード!一発退場とします!それじゃこれより15分!チーム決めの交渉タイムスタートよ!》
15分…短いな。まぁ当然のこと緑谷は避けるよな。持ち点が多すぎるし、何よりアイツ自体個性のコントロールが効かないから無闇に使えない。
緑谷は騎手かな。それは焦凍と爆豪も一緒。
私があそこに居たら確実に八百万は取る。万能型の彼女は汎用性が高いから取って損は絶対にない。
機動力で取るなら飯田…もしくは攻守備えた常闇。妨害するなら峰田がいいかも。上鳴もいいがアイツは響香から話を聞いた限り諸刃の剣だ。んーでも焦凍なら上鳴かな。
妨害なら自分でも出来るし……私自身機動力は高いから全体的に機動力寄りに組む。
皆の動きを見ていると焦凍は既にチームを組んでいた。飯田と八百万、それから上鳴の3人。想像した通りのメンバーだ。
私が焦凍と組んだとしたらフィールドは氷だらけになってしまう。アイツの身体に降りる霜溶かしながら発動出来るし……
「私これ参加出来なくてよかったんじゃね?」
ゲームにならなくなってしまう。
予選のレースもそうだ。爆豪のようにスロースターターと言うわけではないし、体力が尽きるまで飛んでいられるからすぐに終わってしまう。4kmなんて話にならない。
周りから言い寄られる爆豪とは真逆に避けられる緑谷を眺める。爆豪はついにチームを組んだようだ。
メンバーは切島、瀬呂と芦戸の3人。いい感じのメンツだ。瀬呂がいるのは空中対策かな。
「緑谷は…麗日と常闇と…誰だアイツ」
ピンク髪の女性と組んでいた。
身体中に付けてるのはサポートアイテム?サポート科の人かな?ってか峰田どこいった?梅雨ちゃんも居ない。
焦凍と爆豪、緑谷ばかり見て考え込んでいたから2人の姿を見失った。
《さぁ起きろイレイザー!15分のチーム決め兼作戦タイムを経てフィールドに12組の騎馬が並び立った!!》
《…………なかなか面白え組が揃ったな》
先生寝てたの…?
《さァ上げてけ鬨の声!!血で血を洗う雄英の合戦が今!!狼煙を上げる!!!!》
全体的に見ると皆同じクラスと組んでる所が多い……けど、尾白と青山は普通科の紫頭と組んでる。あの人予選通ってたんだ。
もう1人騎馬になってる生徒は分からないけど、どんな争い方をするのか楽しみだ。
フィールドの白線外に出て騎馬を組む。
《よォーし組み終わったな!!?準備はいいかなんて聞かねえぞ!!いくぜ!!残虐バトルロイヤルカウントダウン!!
3!!!
2!!
1…!
START!》
緑谷に向かって一斉に騎馬が突っ込んでいく。緑谷チームの足元が誰かの個性によって沈み、サポートアイテムで空へ飛んで逃げた。
葉隠、佐藤、口田、響香のチームは響香がイヤホンを伸ばして緑谷を追うがダークシャドウによって弾かれた。
騎馬は基本地上戦だから空中に逃げることが出来れば強みだ。
《さ〜〜〜〜〜〜まだ2分も経ってねぇが早くも混戦混戦!!各所でハチマキ奪い合い!!1000万を狙わず2位〜4位狙いってのも悪くねぇ!!》
悪くないけど覚悟は決めた方がいい。爆豪ねちっこいし、焦凍は今エンデヴァーのことで頭いっぱいだから鬼みたいな顔してるし、2人共仕掛けたら倍になって返ってくるよ。
「あれ、障子1人?」
緑谷の元に背中を隠すように触手を広げた障子が1人突っ込んでいく。逃げようとした緑谷チームは気づかないうちに峰田の個性を踏んでいて空に回避が出来ない。
障子の体格と突然の峰田の個性の出現…いやまさか。
そう思っていたら触手の隙間から峰田が姿を現した。ついでに長い舌が伸びて緑谷を狙った。
反射で間一髪の所躱すと峰田の隣に梅雨ちゃんも現れた。
「アリかよそれ」
《アリよ!》
「アリなんだ」
多分緑谷も同じようなこと言ってミッドナイトに声拾われたんだろうな。
《峰田チーム!圧倒的体格差を利用しまるで戦車だぜ!》
緑谷の騎馬達は無理矢理峰田の個性から逃れて空へ飛んだ。
その瞬間に爆豪からの奇襲を受け、爆破をダークシャドウで抑えて着地。爆豪は瀬呂のテープをくっつけられて無事騎馬に回収された。
もし私が爆豪の騎手だったら……
焦凍対策になってたかな。氷で妨害も出来たし、この個性は騎手にも騎馬にも使えて汎用性がある…それは焦凍にも言えることだけだアイツは左使わないから私なら抜ける。
んでもって半身のみだから機動性はないし、いけるわ。