-
雄英体育祭6
-
《やはり狙われまくる1位と猛追をしかけるA組の面々共に実力者揃い!現在の保持Pはどうなっているのか…7分経過した現在のランクを見てみよう!》
モニターに映し出されるポイント。パッとしない所か爆豪チームがまさかの0Pで驚きが隠せない。
現在保持Pが0なのが6チーム。ポイントを持ってるのが6チームの内B組が4チームも占めている。A組で残っているのは焦凍と緑谷のチームだけ。
ここまで来てB組の作戦が潜伏だった事に気付かされた。
A組の実力と個性を図っていたのだろう。
観客席から見てもB組は特に目立つ派手な個性を持ってる生徒は居なかったから、焦凍や爆豪のように飛び出てる杭は居ない。皆が足並み揃えられるバランスが良い個性がB組には集まってるんだろうな。
爆豪がB組のイケメンと会話している。どんな会話をしているのかは分からないが表情からしてめちゃくちゃに煽られている事だけは分かった。
あのイケメンは爆豪に殺られる。確定。
一方焦凍は緑谷に立ちはだかる。そろそろ仕掛けると思ってた。
《B組隆盛の中、果たしてーー1000万Pは誰に頭を垂れるのか!!!》
緑谷チームに向かって前進する焦凍チーム。その後ろに続く他チーム達。
百が創造で布と鉄棒を創り出し、焦凍は布を被ると上鳴が広範囲に渡る無差別放電を繰り出した。
後ろのチーム達が感電し動けなくなった隙を見て焦凍は鉄棒を握り、それを伝って地面と他チームらの足場を確実に凍らせ、尚且つ緑谷チームを逃さないように氷で円を描いて閉じ込めた。
《何だ何した!?群がる騎馬を轟一蹴!》
《上鳴の放電で確実に動きを止めてから凍らせた…さすがというか…障害物競走で結構な数に避けられたのを省みてるな》
《ナイス解説!!》
「やっぱ百の創造いいなぁ…」
足止めさせたチーム達の内、ポイント持ちからハチマキを取って緑谷の元へ向かっていく。
ダークシャドウの伸びた腕が百の創造によって防御される。
下手に動けない緑谷チーム。でも緑谷は物凄く頭が回る男だ。タイムリミットまで状況をキープし続けると思う。
爆豪の方へ目を向けるとイケメンが爆豪と同じ個性を使い、彼を爆破していた。
爆豪がイケメンに右の大振り爆破を繰り出す。煙が晴れると肌を硬化させて防御していた。切島と同じ個性だ。
「彼の個性は見た感じコピーかな」
彼も良い個性を持ってる。笑顔は凄く腹黒っぽいけど。
爆豪らから距離を取ると白い液体を噴射するチームがイケメンを狙って突っ込んできた。その液体を脚に受けた切島は動けないらしい。
イケメンは何か爆豪に言うと走り去ってった。
爆豪の顔がすげえことになってる。どう説明したらいいのか…兎に角苛立ちMax。初めてのヒーロー基礎学で緑谷と対戦した時と同じくらいかそれ以上に凄い形相。
死んだ。イケメンはこれから爆豪に殺される。
《なーーーーー!!?何が起きた!!?速っ速ーーーーーーーー!!飯田そんな超加速があるなら予選で見せろよーーーーー!!!》
「え、なに?」
焦凍の方で進展があったらしい。爆豪の方集中してて見てなかった。
モニターでポイント確認すると轟チームに1000万が入っていた。
《ライン際の攻防!その果てを制したのは逆転!!轟が1000万!!そして緑谷急転直下の0Pーーー!!》
さっきの放送からして飯田が何かやったんだろう。見ておけばよかった…
焦凍チームに突っ込む緑谷チーム。焦凍に個性を使おうとした緑谷に気圧されたのか…焦凍が左腕から炎を放った。
「!!」
左を、使った…あいつが、
今までに一度も見せなかった左を、緑谷が使わせた。
「……すげぇや緑谷…」
個性に気圧されたのか、勢いに気圧されたのか、熱意なのか、はたまた「緑谷出久」という存在なのかは分からないが轟焦凍という男にほんの一瞬でも左を振るわせたというのが凄い事なのだ。
《残り1分を切って現在轟ハチマキ4本所持!!ガン逃げヤロー緑谷から1位の座をもぎ取ったあ!!!上位4チームこのまま出揃っちまうか!?》
甘いわ放送席。爆豪が黙ってやられるわけねーでしょうよ。
爆豪チームを見ると芦戸の個性によって白い液体から脱出し、イケメン野郎の後を追いかける。爆豪は爆破で騎馬から飛んでイケメンに襲いかかった。
イケメンの騎馬の1人の個性で空中に留まる。バリアかなんかだろうか。それを力ずくで割ってイケメンの首に下がるハチマキを二本奪う。
《爆豪チーム2本奪取で3位に!!この終盤で順位が変わりゆく!!若気の至りだあ!!》
「よっしゃ爆豪行け!イケメン殺せ!」
あのイケメンの笑顔なんかムカつくからそのまま爆豪に潰されてくれ。真面目に爆豪の応援するから殺れ。殺っちまえ。
走るイケメンチームの側の地面に瀬呂がテープを貼り付ける。芦戸が床に酸を巻いて瀬呂がテープを巻き戻す力と爆豪の個性で押されて一気に近づくとイケメンの顔面を容赦なく爆破。同時に残りのハチマキを全部奪い取った。
《爆豪!!容赦なしーーーー!!!》
「っし!よくやった爆豪!」
今なら缶ジュース一本奢ってやったっていい。
《やるなら徹底!彼はアレだな!完璧主義だな!!さぁさぁ時間はもうわずか!!》
攻防を繰り広げる焦凍チームと緑谷チームの元へ駆ける爆豪チーム。よく見ると緑谷は焦凍からハチマキを一本奪取していた。モニターには70Pと映し出されている。
《そろそろ時間だ。カウントダウン行くぜ!エヴィバディセイヘイ!10!》
再び焦凍の元へ突っ込む緑谷チーム。芦戸の個性で氷を溶かしてタイマンフィールドに現れた爆豪の騎馬。騎手の爆豪は宙に居る。上鳴の放電でダークシャドウを抑えてほんの数秒後に
《TIME UP!》
時間切れになった。
爆豪は緑谷と焦凍の状況を見てどっちを狙えばいいのか決め兼ねてるうちに時間が来てしまい、頭からズゴッと地面に落ちた。
物凄く痛そうだ。
《早速上位4チーム見てみようか!!1位轟チーム!!》
騎馬から焦凍が降りた。
《2位爆豪チーム!!》
胡座をかく爆豪は何か叫んでいるように見える。
《3位鉄て…アレェ!?オイ!!!心操チーム!!?いつの間に逆転してたんだよオイオイ!!》
心操…?って誰だ…?
《4位緑谷チーム!!》
「いつの間に…」
焦凍を見ると額からハチマキが一本なくなっているのが分かった。ダークシャドウが咥えているハチマキがそれなんだろう。
緑谷は見たこともないような涙の噴水を上げて膝を折り、地に座り込んだ。
《一時間程昼休憩挟んでから午後の部だぜ!じゃあな!!!オイ、イレイザーヘッド飯行こうぜ…!》
《寝る》
《ヒュー》
仲良いなぁ相澤先生とプレゼントマイク。あの2人同級生かなんかなのかな?でも今はそんな事よりトイレ行きたい。
車椅子を片手で動かして女子トイレを探しに向かう。