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三兄弟の想い
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そして、その後一郎くんと三郎くんも食べ終えると、話題はお菓子をいつ麻天狼に渡すか、になった
「そういえば、寂雷さんたちにはいつ渡すんだ?」
『え?えーっと…寂雷先生に予定を聞いてから…かな。でも、焼き菓子と言っても、早めに食べて欲しいから、なるべく早いほうがいいんだけど…』
私がそう言って考え込むと、一郎くんがなにか思い付いたらしい
「…あ、じゃあ、これから寂雷さんの病院に行くのはどうだ?」
『え、寂雷先生の病院に?』
「あぁ。夕方ごろなら寂雷さんも空いてるだろうしな」
『そっか…うん、それいいかも』
確かに、なるべく早めに食べてほしいし…
『…あ、でも、観音坂さんたちは?』
「あぁ、それなら、寂雷さんに渡しておけば、すぐにあの二人に渡ると思うぜ」
『そうなの?』
「あぁ。仲良いからな、あの三人は」
一郎くんは、そう朗らかに笑った
『そっか…じゃあ、それで行こうか?』
「おう」
「うん」
「はい」
『…え、二郎くんと三郎くんも行くの?』
私がキョトンとして問いかけると、二人は当然だと言った
「勿論だよ!」
「僕たちも行きます!」
「「(姉ちゃん/みのり姉は俺/僕が守らないと…!)」」
二人の心がひとつになった瞬間だった
『そっか…ふふ、三人でお出掛けだね!』
私がそう微笑むと、一郎くんたちは表情を少し緩めた
一郎side
『そっか…ふふ、三人でお出掛けだね!』
そう言って微笑んだ姉ちゃん
俺は、この人の暖かい笑顔を、守りたいと…強く思った
そして、きっとそれは俺だけじゃない
二郎も、三郎も…おなじなんだろう
もうすでに、姉ちゃんは俺たちにとって掛け替えのない人になっていた
まだ会って数日だとは思えないほどに
…なぁ、姉ちゃん
あんたは…あんただけは、絶対に守り抜くからな
そう、心の中で誓いを立てた
二郎side
嬉しそうに笑う姉ちゃん
俺は、最初は警戒していたはずなのに、いつのまにか毒気を抜かれて、すっかり姉ちゃんのことを好きになっていた
…でも、姉ちゃんは俺のことを弟としか見てなくて
それが、凄くもどかしかった
俺は、こんなにも姉ちゃんのことが好きなのに
…まぁ、俺は女の子とどう話せばいいのかわかんねぇから、あんまり姉ちゃんと積極的に話せてないってのが現状だけど
でも、こんなにも大切にしたい人ができたのなんて、はじめてなんだ…
三郎side
みのり姉の優しい笑顔を見ると、僕まで嬉しくなる
いつのまにか、こんなに大切になっていたなんて…
最初の頃からは、想像もつかなかった
この人の傍にずっといたいって、はじめて思った
同時に、僕のことも頼ってほしいとも…
僕は、家族の中では一番年下だけど、みのり姉を思う気持ちは、絶対負けてないから
三兄弟の想い
(((俺/僕たちの、大切な人)))