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過去と今
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俺っちは女性恐怖症だ。
幼い頃の体験から、女性が怖くなってしまった。
それでも…こんな俺でも。
貴女を好きになっても
良いのでしょうか。
ー…
「…最近、一二三がうるさくないな」
「えー。なにそれ独歩、俺っちに失礼じゃね!?」
へらりと笑って誤魔化す。
「…」
独歩はなにも言わず、テレビに視線を戻した
あの、麻天狼結成の俺のストーカー事件以来、俺の女性恐怖症はますます激しくなっていた。
ホストとして、それを出すわけには行かず、余計に女好きになってしまうもう一人の俺。
そんな俺のホストクラブに、一人の女性が来たのだ。
ホストクラブに通うような外見ではなく、どちらかというと、アニメなどを好みそうな外見の女の子。
そんな女の子が、我がホストクラブにやって来たのだ。
他のホストは対応がわからないらしく、俺が駆り出された。
「はじめまして、子猫ちゃん。今宵、一緒に過ごすことをお許しください」
そういって隣に行くと、彼女の瞳が俺を映した
その瞳は綺麗で…まるで、ガラス細工のようだった。
「ホストクラブにきたのは初めてですか?」
『…はい』
初めて聞いた、彼女の声は、鈴のように心地の良い声だった
「では、今宵は僕の奢りです。好きなだけ飲んでください。シャンパンタワー入ります!」
そのあとは、彼女がやっぱりアニメを好む子だとか、ホストクラブにも行ったことがないことをばかにされて勢いあまってきたことだとか…色々な話をした
『あっ…すみません、こんな話つまらないですよね、ひふみさんがあまりにもお上手だから…』
「はは、ありがとうございます」
アルコールも入って、程よく気分も上がってきたのか、彼女の表情もとろけてきた。
このまだと彼女が危ないと思った
「…すみません、たてますか?家まで送ります」
『ええ?そんな、申し訳ないですよ…』
「こんな時間に、子猫ちゃん一人帰せません」
『でも…』
「大丈夫、なにもしませんから」
『…うーん…』
彼女となにもしないと指切りをすると、彼女の荷物をまとめて、店を出た
さすがにお姫様だっこだと、彼女に矛先が向かいそうなので、肩を貸すだけにして
タクシーを拾い、彼女の家まで
『んー…もう飲めない…』
「…はは、こんな子初めてだよ」
隣に座ってじゅくすいする彼女の頬を撫でる
ー…こんな気持ちになったのも、初めてだ。
家につくと、彼女に鍵を出して貰い、彼女を寝かせたら、書き置きを残して家を出た。
〈昨日はたくさん飲ませてしまってすみませんでした。心配だったので、おうちまで送らせて頂きました。鍵はポストに投函しておきます。以下は僕のメッセージアプリのIDです。なにか不備があったらいつでもどうぞ ID:xxxxx 伊弉冉一二三〉
「…普段なら俺っちこんなことしないのになぁ」
独歩に相談しよ
なんて思いながら帰宅した
過去と今
(変わり始めている)