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素敵な女性だ
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ピコンッ
〈あのー…伊弉冉一二三さんでしょうか?〉
〈はいはい、伊弉冉一二三ですけど?〉
〈あ、あの、昨日介抱してもらった…〉
〈あー!昨日の子猫ちゃん!〉
なんてやりとりを、朝してた
「なーなー独歩」
「…なんだよ一二三」
「恋ってなに?」
「ぶっ…!?ごほっごほっ…なんだよ、どうしたんだよ…!」
独歩がゆさゆさと肩を揺さぶってくる
「んーや?どんなもんなんかなーって」
「…そんなので幼なじみ誤魔化せると思うなよ」
「やっぱり無理?ごめんちゃいっ!」
「お前なぁ…!」
「大丈夫だって!」
独歩が心配してくれてんのは痛いほどわかる。
だって俺っちだって逆だったらそうなるから。
だけど、大丈夫。
「だーいじょうぶ!あの子はなんつーか…他の子とはちげーから」
「…他の子とは違うって、別の意味で不味いんじゃないのか」
「あーちがうちがう!良い意味で違うっていってんの!独歩ってば気づけよな~」
うりゃうりゃ~と肘で小突く
「う、うるさい…!」
「と、とにかく!一二三がそこまで言うなら、その…俺にも会わせろ」
「え、まじでいってんの?」
「あ、当たり前だろ…俺は、お前の…親友、なんだから…」
「…!」
…独歩、カノジョちゃんと会ってから変わったよな。
俺っちも変われるかな…?
そんなことを思いながら、彼女に、独歩が会いたいと言っている旨のメッセージを送った。
顔合わせ当日
「…は、初めまして」
『は、初めまして…』
「はは、結婚式前の両家顔合わせみたいだね!独歩くん!」
「お、お前なぁ…!」
…二人が初々しくて嫉妬した、なんて、言えないからね…
まぁ、独歩くんにはみえみえみたいだけど…
「はは、独歩くん、そんなに羨ましがらなくてもいいじゃないか!君には彼女がいるだろう?」
『あ、やっぱりいらっしゃるんですね!』
「「えっ」」
『何となくそんな感じがしたんです!観音坂さん幸せオーラ出てますし!』
にこにこ笑って言う彼女に、独歩くんと顔を見合わせて、手強いな…と思った。
「…とにかく、今日、貴女とお会いできて良かったです。一二三のこと、よろしくお願いします」
と、独歩くんは深々と頭を下げた
「独歩くん…」
『か、観音坂さん…』
彼女はおろおろとしていたが
『こ、こちらこそよろしくお願いします!』
と、独歩くんに向かって頭を下げていた。
それを見て、俺と独歩くんは安心して笑いあった
ほらね、やっぱり彼女は普通の女性と違う
素敵な女性だ
(彼女は、俺が幸せにして見せる)