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崩れ始める
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“『左馬刻さんっ!』”
アイツはいつだってそう言って犬っころ見たいに俺に駆け寄ってきてた。
馬鹿みてぇに、俺の側から離れなかった。
…けど、それが不幸を招いた。
ガララッ
「みのりっ!!」
病室のドアを勢いよく開ける。
ぴーっ
ぴーっ
ぴーっ
規則正しく聞こえる機械音は、唯一こいつが生きてることを証明する音だった。
「~っ、くそ…っ!!」
ガンっ!!
怒りに任せて壁を殴った
『…』
ぴーっ
ぴーっ
ぴーっ
しかし、アイツはピクリともしない
医者の話によると、目覚めるまでが峠らしい
俺はベッドの横の椅子に座った
「…赦さねぇからな」
俺より先に逝くなんざ
ぜってぇにゆるさねぇ
俺は目を瞑った。
あれからどれくらいたったんだ?
『…ぅ…』
「!?」
小さな声がし、俺は目を開けた
瞼が震え、みのりの目がゆっくりと開かれた
『…さまときさん…?』
「みのり…こんの馬鹿野郎っ!!」
みのりをベットごと抱き締めた
『ご、ごめんなさい…!』
「お前…俺様にこんだけ心配かけたんだ、落とし前着けてくれんだよな?」
『ん…左馬刻さん…』
俺は言い終わると同時にみのりに口付ける
その温もりに、どうしようもなく安心した
『…心配しましたよね、すみません…』
「別に構わねぇ。お前が戻ってきてくれたんならな。」
…そうは言ったものの、俺のなかにこのままで言いのか、不安が渦巻いていたー…
崩れ始める
(音もなく)