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「…ははっ、だろ。」
鶴音の方向に近づくごとに、
とぎれとぎれの言葉が鮮明に聞こえてくる。
「・・・にしても、よく平気なもんじゃのう。」
『この声は、自来也…なんでいるんだ。』
「あぁ・・・だからね。大丈夫なのさ」
『いったいなんの話をしていやがる。』
岩陰で鶴音しか最初は見えていなかったが、自来也の姿も視界にはいったあたりでなにやら自来也特有の、にやけ面を全面にだして鶴音の耳元でこそこそとなにか話している。
奴は俺の存在に気付いているうえで、にやにやと嫌味ったらしいことをしやがる。
『気にいらねぇ…傀儡にしてやろうか。』
「おぉ!!わすれっとたわい。」
「急になんだい自来也!大声ださずしともこの距離なら聞こえるよ」
「すまん。すまん。まぁ、そういうことだ。わしは消えるとするかの~」
「なんのことだかさっぱりだよ!」
「あとは、お若い二人で「はっ?えっ、自来也!?」
言うだけいって消えていった自来也に、驚きを隠せずポカーンと自来也の消えた場所を見て固まっている鶴音
岩の上に足を置くことで靴と岩の擦れる音をこっちに気付けといわんばかりにだしながら鶴音に近づく。
「おい、鶴音」
「…あっ?…サソリ?」
意識がはっきりしたのか、自来也の消えた方向から視界を俺に向けて、確かめるかのように名をだす。
「ぼっけとしてたら、傀儡にすんぞ。」
「…残念だっだね。もうアタシは傀儡だ!!」
どうだみたか!と言わんばかりにわかりやすい嘘で返答してくる鶴音に笑みがこぼれる。
「どうやら、本当の傀儡になりたいようだな。」
「えっ、いや、あの…冗談に決まってるだろ!はははっ!」
逃げる体制になった鶴音に
笑いながら瞬時に目の前に移動する。
「サ、いだだだだっ!!」
ガシッと鶴音の頭を片手でわし掴み、軽く力をいれる。
鶴音が、青ざめながら叫ぶ姿がはんばツボになりながら、くくっと笑っていたら
「はなせサソリ、アタシが悪かった、なっ、だから」
先ほどのもやもやした気持ちがすぅと知らぬ間に消え去り、気が付けば傀儡以外のことを考えているこの時間を楽しいとまで思うようになっていた自分に内心驚く。