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「はぁー、蝦蟇、どう思う?」
「そうじゃのぉー恋かのう~」
「恋ねぇ~だといいんだけど、はぁー」
「ため息ばっかりついとると幸せが逃げてくぞ鶴音」
「もう、逃げてってるよ。」
枝の根元で蝦蟇に引っ付いていた体をそのままに、空を見上げていた顔をゆっくり聞こえてきた声のほうに向けて、なおかつ目線だけ、声の主を見る。
「自来也あんた。このごろあれだね…」
「あれ。とはなんじゃ?」
「“う っ と し い”」
声に出さず口パクで言った後ニヤリと笑ってみせる。
「鶴音おまえさん、覚悟は出来とるんじゃろーなぁ!?」
こめかみをひくひくさせながらじりじり近づいてくる自来也に、『やばっ』と蝦蟇のお気に入りの定位置からはなれて蝦蟇の上の方まで飛んで上がる。
もちろん自来也も鶴音を追いかける。
飛んで、上に駆け上がる途中、目だけで自来也をみるとセクシーな恰好をした女性をみるスケベな顔に近いもののそれにはおとるが顔を真っ赤にしていたことに何とも言えない笑いが込み上げる。
我慢する気もそうそうになかった鶴音は豪快に笑いながら上にすすむ。
「くははっ、自来也、あんた面白い顔して追いかけてくんじゃないわよ!ははっは。」
「誰が、面白い顔じゃ!!、お前さんがもとはといえばだろが!!」
「はいはい悪かったね。今度自来也の大、大好きなグラタンを作ってやるよ。」
笑い声が止まったかと思えば悪づいたニヤケ顔で鶴音は自来也の顔を見ながら後ろ向きに上にかける。
「誰と間違えとるんだ!ワシはグラタンとキウイフルーツが、大、大ッ嫌いなんじゃ!!」
かんかんに怒りだした自来也に
また、笑うことを我慢できず笑いだす鶴音
よく足を踏み外さないなと感心する場合ではないがしてしまいそうなほどだ。
「あはははっ、腹が痛い~。」
「爆笑しながら、上に登らんといい加減ワシに捕まらんか!!」
怒ることよりもあきれ顔になった自来也がため息交じりに鶴音より数段したの枝から叫ぶ。