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03
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「承認にならねぇか?」
その言葉に自来也が
返答する前に鶴音がつぶやく。
「なんの…「どちだっていいが。」
ニヤケ面が、めんどくさそうな顔になるのに時間はかからず、その表面の感情表現の激しさに毎度となく鶴音は驚かされる。
「鶴音、行くぞ。」
「はっ、なにいっうわぁぁっ!!?」
頭の圧迫感がなくなったかと思えば急に腰に手を回し、姫様抱っこと称して間違えのない抱き方で抱え上げられる。
「うるせぇ。耳がつぶれる。」
「さ、サソリ、なにして」
「みてわからないのか?」
「…ちょ、じ、自分で上まで行く「傀儡になりたくなきゃ黙れ。」
「はい…って黙れるわきゃないだろ!!自来也あぁぁぁっ!!」
「はいはい、うるさいのーわかった、てっぺん行くからちっとは、静かにせんか。」
今にの泣きそうな顔で自来也に助けてと言わんばかしに叫べば助けを求めた人間にまでうるさいと言われ、サソリの腕の中うな垂れながら
「アンタたちはアタシをなんだと…」
小さく呟いて蝦蟇のてっぺんにつくのを待っていた。
風がうねりをあげて吹き荒れる蝦蟇のてっぺんにあと一歩の枝に到着したときには空の色は赤くにじみ夕日が赤に近いオレンジ色に輝きをましていた。
「で、なんだ承認てのは、サソリ」
サソリと鶴音がいる枝の一つ斜め下から自来也が問う。
「あぁ…鶴音。」
自来也の問いかけに軽く返答したあと抱きかかえていた鶴音をそっと枝におろす。
少しよろめきながら鶴音は、サソリをみるとなんとも掴みどころのない無表情で黙って鶴音を見ていた。
「さ、サソリ?どうしたんだい?」
「・・・。」
無言で鶴音を見つめるサソリに不信感が募り、ゆっくりと後ずさる。
もちろんてっぺん間際の枝なだけあって身動きするのにも折れないかと神経を使う。
多少のことなら、折れそうにないのは確かだが。
「なぜ、後ずさる?」
「あんたが、気味が悪いからだろ。」
「そうか。」
そういって、じりじりと近づいてくるサソリに鶴音は足場を確認しながらゆっくり、ゆっくりじわじわとさがるが足の踏み場が危うくなってきた頃
「サソリ、お前さん鶴音をどうしたいんじゃ?」
自来也がふと思いついたかのようにサソリに問う。
「…はぁ。」
横目で自来也をとらえなにかに気が付いたかのように重いため息をつくサソリ。
「鶴音」
まっすぐ鶴音の瞳をみるサソリ。
先ほどとはまた違う雰囲気を醸し出すサソリに鶴音はなんとも言えず、一度足をとめ斜め下の自来也に目だけやればその隙を待っていたかのようにサソリに抱き寄せられる。
「なっ」
驚きの声というよりは疑問に満ちた声がでてしまう鶴音
「鶴音指をだせ」
「は?な「左の指だ。」
抱きしめられ、瞳と瞳が合いサソリの赤く濁った瞳から瞳を反らせず、淡々と、言いたいことをいうサソリに困惑しながらも言われたとおりに鶴音は左手を抱きしめられている腕の中から、ゆっくりさし出す。
「これ、やる。」
そういってサソリは片腕を緩め、握りしめていたリングを鶴音の指にはめた