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煙の先 - 前 -
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大きな、大きな一本の木の
てっぺんから見渡す清々しいほどの青空。
大きく深呼吸して腕を上に伸ばして、身体をほぐす。
「また、あいつ、あんな上にのぼりやがって」
「蘭華!!落ちたらどうすんだ!うん!」
なんて気持ちのいい朝なのかしら、ここに彼がいたらそう彼がいたら大自然に癒されながら二人の愛を育めたというのに。
「あぁ”?育ませると思ってんのか蘭華!」
まぁてっぺんすぎて二人で座れないからもう少し視界落ちする位置に座ることになるけど、そんなの彼がいたらそれすらも絶景よ。
「その“彼”っつう奴の、血の海で絶景にしてやろう。」
鶏のさえず…鳥のさえずりが聞こえる中
私がお弁当を持って
「鶏…蘭華さん、食欲勝ちすぎです。」
「…」
木の葉の上忍とでくわし、今や緊張感はしる真剣な戦いの真っ最中のはずが
あまりにもサソリを筆頭に、デイダラ・イタチ・鬼鮫と順に蘭華のひとり平和な心の中だけの妄想劇に先ほどから戦いがつまらないのか、毎度のこと同じくツッコミを入れてくる。
今回は距離もだいぶある為黙っていればいいものを、大声ででも蘭華を構う4人。
しかもこの蘭華の心の声は
暁のメンバーにしか聞こえていないみたいで、
それが不思議でしかたなかった蘭華が一度
『なんで、聞こえてるのよ…まさか、口にだしてるの?それともサトラレて…『安心しろ蘭華。口にもだしていなければ、サトラレ…そこは近いが、答えは愛のテレパシーだ。』』と、サソリに言われ
信じ切れず他の暁のメンバーにも聞けば、何故だか皆同じように“愛の…”と言うので、追及することをやめた。
妄想をやめ、ここ一番高い木の上のてっぺんから暁のメンバーを目だけ下に向けジッっと睨みをきかせてる蘭華
もちろん距離的に睨んでるかも危ういぐらいだが、機嫌の悪さは蘭華の周りだけ重い空気になってるので、わからないこともない。
そんな蘭華を確認した4人は…
「おっ、ふて腐れた顔で目線だけこっちみてんぞ。そんなところもかわいいな。」
「あぁ、朝からわけのわからない雑魚に道阻まれて、胸糞悪かったのだが蘭華のあんなかわいい顔見てたら、たまらないな。」
「睨んでるつもりなんだろうが、可愛くてたまんねぇな。うん」
「ええ、本当に、蘭華さんは…することが可愛いです。」
・・・気がそれた。先に帰ろうかしら。
「待て!オイラも一緒に帰るから、すぐ終わらせるから!うん。」
…ありね。うん。そう、そうね。
「待て。あいつ何考えてやがる。」
「旦那、そりゃオイラと帰r「なわけねぇ。あんな、ニヤニヤしやがって。可愛いがなにか企んでやがる、気をつけろ。」」
「お前らずいぶん余裕ぶってくれるね。」
クナイを持ち攻撃体勢のまま、カカシはチャクラを温存しながら冷めた声を出す。
「ふん。お前らごときにやられるほど軟ではないからな。」
その言葉に鼻で笑いながら、かえす、サソリ。
「なめられたものね。」
紅もこのいい加減な扱いに殺意がいっそう高まる。
「オイラのお姫さまがこれ以上機嫌損ねる前に、終わらす「誰が、お前のだ」」
デイダラの言葉にサソリがすぐさまツッコむ
「ほぉーあの木のてっぺんにいるお嬢さんか。そりゃーいいこと聞いた。」
アスマがタバコをふかしながらニヤニヤと暁をみる。
「さっ、とっとと、決着つめますか。」
そういってカカシの言葉を合図に動こうとした
その瞬間。
「せんせーえぇ!!」
大量に放たれていた殺気もチャクラも一瞬にして収まってしまう程、間のぬける声が木々の隙間から聞こえてきた。
ガサガサ音を立てて、カカシたちのいる後ろから現れたのは、意外性№1のうずまきナルト。
「こんなとこにいたのかっ…あぁ”っっ!!」
状況確認するなり驚いた声で叫びだすナルトに頭を抱えため息をはくカカシ。
その声のあとサクラとサイもナルトの後ろから現れる。
「ナルト!あんたてっば!!」
サクラがこの状況に嘆きそうになっているのを横目に自分たちが狙っていた狐が現れたことが、規格外で戦闘態勢も真剣になるべきかと一度緩んでいた体制を戻し身構える。
ガサガサッ、ガサガサ
その音に誰がどう動くのかと
緊張のピリピリした空気がまた、乱される。
「こんどは、誰だ!?うん」
半ば切れ気味のデイダラ。