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煙の先 - 後 -
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暁の後ろから、トビが現れる。
「なんだ、ドビk…蘭華!!なにしてんだ!うん。」
片側の肩に荷物のように担がれ、デイダラの横にボトッとなんとも言い難い音を立て落とされた蘭華
「蘭華さん、大丈夫ですか。…また、なんで。」
「・・・逃げd「近くで!…応援しようかなって…お、思ったのよ。」」
トビの言葉をさえぎり斜め下を向きながら、少し頬をピンクに染め肝心な部分をぼそぼそという蘭華の初めてではないだろうか応援に、トビの言葉の続きなど全て頭の中からかき消された4人。
鬼鮫に腕をひぱってもらい立ち上がると尻についた葉を軽くパッパとはらい4人にニコニコしながら、身体を180度回転させ、木の葉の方へと小走りにも近い速さで一直線に向かおうとする蘭華
「どこ行く気だ!!蘭華!」
「チッ」
そくざに腕をひかれぼふっと
デイダラの腕の中に納まる蘭華
「チッ、じゃねーぞ!蘭華!相手は敵だろ、なにも身構えずになに飛び込もうとしてんだ!死にてぇのか!!うん。」
蘭華がこんなにまじかにいる、今。
もともと本来の目的とははずれ偶然にもでくあわしたこともあり、リーダーにはそれらが理由になるだろうと蘭華優先にいったんここは引き上げることにした暁。
開いた口がふさがらないという言葉があるように、見たことのない暁の行動に戸惑う木の葉の忍びたち。
うんもう!そんな怒らなくたっていいじゃない!
「心配してんだろが、うん。」
ってか、見えないのよ。前が。
「…デイダラ、腕ゆるめて。」
その声に、逃がさない程度にデイダラは腕の力を緩める、それと同時に蘭華は180度向きをかえジッっとただ一人だけを見つめる。
蘭華のその視線は殺意など全くなくこの場には相応しくのない好意的な視線。
暁と反対側にいる木の葉の忍びたちは、その好意的な視線が誰に向かって放たれているのかわかる為、なんとも言い難い気持ちになる。
対して横に並んでいた暁は蘭華の視線がいまいち読み取れず、各々どうやって此処から木の葉の忍びたちから逃げるか考えを巡らせていた。
「あっ、あの!!…えっと、そ、その」
急に声を発した蘭華に一同視線が行く。
「おい、きゅうにどうしたんだ。そんな可愛らしい声なんかだして。うん」
顔を真っ赤にしながら自由な両方の親指立てて人差し指をツンツンと小さくもじもじしながらも、視線を下に、ナルトに、と繰り返している。
「なんだ蘭華かわらにいきてぇn「ちっがあぁぁう!!」グハッ」
バキッと音を立てて
デイダラの頬にグーのパンチが入る。
哀れな、デイダラの心配もする様子もなく鬼鮫が
「なら、どうされたんですか蘭華?」
その言葉すら完全無視をし
「あの!ナ、ナルトさまっそ、その…」
この雰囲気と言い、身近にいるナルトを好いている木の葉のあの子と重なる木の葉の忍び達。
「おい、“さま”ってなんだ!蘭華!」
暁の言葉など、耳にまったく入ってない様子の蘭華
「あの、その、あああつ、う、応援、応援しています!!」
もう緊張しすぎて頭から湯気が立ってそうな蘭華のどもりながらも伝えた言葉にナルトは
「おぉぉお、おう。ありがとう。ねえちゃん。」
蘭華の緊張が感染したような、まさかな言葉に驚きながらも礼を述べるナルト。
「おい、蘭華。お前さっきの近くにきて応援しようかなって…まさかなぁ?」
「…ナルトさま、きゃっ、ナルトさまとしゃべちゃった!ふふふ。」
「蘭華声にでている、ナンセンスだ」
「蘭華なにもグーで殴ることねぇだろ!うん。」
「イタチさん、今日はもう引きあげませんか。蘭華さん帰って問い詰めることもありますし」
「あぁ…そうだな」
「なにが問い詰めよ。アタシは今からナルトさまとランデ「声にでてるつってんだろ。」」
「カカシさん、せっかくのお誘いでしたが今回は状況が状況ですので失礼させていただきます」
そのイタチの言葉を合図にデイダラが作った芸術の粘土爆弾を木の葉の忍び達に向けて投げ爆破する。
いやーーーーああぁぁぁ!!
ナ、ナルトさまがあぁぁっ!!
「蘭華、ほんと黙らねぇと口で口ふさぐぞ、うん。」
ナルトを気にしてムンクの叫びのような絶望に浸っている蘭華にムッとしたデイダラの言葉に逆にムッとする蘭華
「ゲホゲホッ、にがさねぇてばよ!!」
「うはぅ…ナルトさま」
煙があたり一面視界をかすめる中、煙と逆方向に木々を飛び急ぐ暁のメンバーと蘭華
煙がどんどん広がっていく中、うんだらボッチが
「誰がうんだらボッチだ!デイダラッう名前があんだよ!うん」
片腕に気を緩めたそう、今、ふふふっ…
アタシは迷いもしない、
ナルトさまの腕の中に飛び込むため
煙の中に逆戻りを目指す。
それは、なぜかって?そんなの決まってるじゃない
煙の先。
「蘭華!!行かせるかあぁぁ!!旦那あぁ!」
「チッ、蘭華観念しろ!!あの狐応援するだなんて許した覚えねぇからな!鬼鮫!」
「本当に貴女というお方は。大人しく帰りますよ。」
「手凝らせるんじゃない。」
「いやーあぁぁーナルトさまとランデブーするのおぉぉっ!!」
完
19年09月04日 執筆