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消えないように傷つけて - 後 -
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「ゲホッ、ゲッホ、うっ…」
なんで、血を吐きながら地べたに屈してるの?
誰かに押さえつけられているのかしら?
ダメ、此処からだと葉が重なって邪魔で見えない。
「あのねぇ、そっちの御嬢さんかくまってるとか、わけのわからないこと言わないでちょうだいヨ」
さっきのカカシって人よね…御嬢さん?
「ハァ、先ほどから申し上げているように蘭華さんなんて方ここにはいませんよ。」
アタシがなんですって?
「ナルトを離しなさいよ!!」
ピンク色の髪の毛の女の子じゃない。
・・・いまいち理解できない状態だけど、もう少し見える所に移動すべきね。
「だからぁ、此処に蘭華が来てるはずなんだ。おかしいな?本当に来てないのか?」
「うっ…だからしらねぇつってんだろーが。」
「本当に生意気だね、まあいっか死「何しとるんじゃああぁぁぁぁっっ!!」」
バキッと、骨が折れたような音をだしてナルトの上に合った体が真後ろに吹っ飛んで行った。
ドスンっと大きな音をたてあたった木が少し凹み
投げ飛ばされた本人は
「あいたたた」
となんとも呑気な声で背中をさすっている。
「いたた、やっぱり蘭華いたんだね。」
「いたんだね。じゃないわよ。何、してくれてるのよ!」
「うん。今日はまたかわいい恰好して髪の毛や目の色まで違うんだね。」
「あぁ、もう!なんでトビがここにいるのよ!今日、朝からいなかったはずなのにぃ!…それよりも!な、なると様、だ、大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だってば。」
照れながらも手を差出し起き上がる手伝いをする蘭華
「あ。さっきカカシ先生呼びに行った時にいた人…あの日の人だったの?」
思い出したように声をあげるサクラにぼふっと音を立てて、服装以外もとの自分にもどった蘭華はナルトをみつめながら、
「誤解されるの嫌、だから、あの、その、ナルト様に会いに来たけどずっとここにいたわけじゃなくて、その、お家までいったけどいなくって、それをカカシさんて方が、修行中だって教えてくれたと思ったら、そこの可愛らしいピンク色の髪のお嬢さんが、焦ったようにナルト様がって…そ、それでもしかしたら、なにか大きな怪我でもなさったんじゃないかと心配になって、探してたらトビがナルト様の上に足を置いていて…もう驚く以上に腹立たしくいてもたってもいられず出てきてしまったのです。…ご、ごめんなさい。」
ナルトの手を両手で包むように握りナルトに上目使いで瞳を潤ませながら精一杯に話す蘭華
少々間ができたものの蘭華が言いたい言葉を各々理解しナルトは
「わ、わかったてば、ねぇちゃん、あんがとな。」
少し照れたように微笑みながら蘭華に礼をいう。
そんな、ナルトにズッキュンという音が聞こえるかのように、ふらりと心臓を射抜かれたように倒れそうになる蘭華
「…蘭華、わかったから、そいつから離れろ、うん。」
低く、今にもキレそうな声に周りの空気が1,2度下がる中蘭華はそんなのお構いなしに
「いやよ、トビのクセに声までウンダラボッチの真似するんだから!!」
声が聞こえた方向すら見ずに発する。
「誰がウンダラボッチだ!オイラは、デイダラだ!」
「そうですよ!こんな芸術語りだしたら止まらないオタク同様な「トビ、黙れ!」」
「ふぇ?デイダラ?なんで?」
「こっちが聞きてぇっつんだ!なんで、部屋にいるはずの蘭華がここでソイツの手を握ってんだ?あ”?言い訳はアジトに帰ってから聞くからこっちにこい!うん
鬼の形相したデイダラにパッとナルトの手を握っていて手は離したものの、ナルトの傍から離れずそのうえナルトの袖を引っ張ってデイダラから目を離さずにカカシの方に連れて行く始末。
その行為がデイダラの機嫌をもっと損ねると知らず。
「蘭華~!!なにしてんだあぁぁ!!オイラの言葉の意味わかんねぇのか?あぁ”こっちにこい!!」
「先輩、怒りすぎです。それじゃ蘭華怖がってこっちに来ないじゃないっすか。」
「デイダラ、…そんなに怒んなくたっていいじゃない!ってか、アタシがどこ行こうが勝手でしょ!今日はナルト様に会いに来たかったんだもの!んで、夕方には帰る予定だったのに!なんで、邪魔をするのよ!!喧嘩したいならよそでやってよね!もし、今日はナルト様狙うのが任務だっていうなら邪魔してやるんだからあぁ!!」
「…落着け、蘭華。それと涙目になってるのは抱きしめてぇ程可愛いが、なんでその狐をお前はかばうように両手広げてそいつの前に来てんだ?」
「ナンセンスだな、蘭華」
「本当に、あなたという人は。」
「蘭華、怒ってねぇから、こっちにこいつってんだろ、うん」
「・・・。」
「…ねぇちゃん?」
バサっと広げていた両手を降ろし
ため息ひとつついてナルトの方に降り向き
「ナルト様、あの、今度「蘭華!!」」
風の斬る音と共に
蘭華の背から赤い血しぶきが宙を飛ぶ。
何事?と後ろを振り返れば、無表情の少年。
片手にクナイ
「サイ!なにすんだってば!!」
ナルトが蘭華を抱き締め眉間にしわを寄せサイに吼える。
「いや、敵なら殺すべきかと」
冷静な声で言いながらも攻撃姿勢をやめず、蘭華を視野に入れる。
「やめろってば!!このねえちゃんは…」
ナルトもクナイを構え蘭華を守る姿勢になる。
暁の者たちは、急なことでどう出るべきかと見極めながらも、大切な大切な暁の姫といえる蘭華に傷を負わせたサイに殺意が芽生えているのは言うまでもない。
場の空気が、嫌な程に凍りつく。
「オイラの蘭華に何してくれてんだ!あぁ”!!」
「サイ、やめろ。これ以上は「どうして止めるんです?なにを言おうが彼女は暁の人間ですよ」」
「だからって、敵意もむき出しにしてないのに、いきなり背後から襲うなんて「えぇ、敵意はないと言えど敵であることには変わりありませんからね。ナルト君邪魔をするのなら…」」
あぁ、なんていい匂いなのかしら、
修行をしていて汗をかかれているはずなのに、
それすらもいい匂いだなんて。
アタシとナルト様の相性がよいという
「蘭華いますぐ離れろ。」
あぁ、本当に幸せ。
ナルト様に殺されるのならそれも
「刺したのは、違うやつだぞ!うん」
あれ、そういえば、違ったわね。
でもその人のおかげで
今こうして抱きしめられているのね
「蘭華は、本当はなんともないのか?」
「ねぇちゃん、何処触ってるってば?そんでもって、苦しいってばよ。」
「ご、ごめんなさい。あまりにも魅力的だったから…「変態になってんぞ、蘭華。」」
ナルト様のお尻をさわさわしてしまったわ。
なんて、いい腰なのかしら。
「おい、本当にお前、女か。」
「あはは、面白いね、おねえさん。いきなりクナイ向けてごめんね。」
「サイ…わかってくれ「とかいうとでも」おわっ!」
カキッーンその音と共にナルトとサイのクナイがこすれ合う。
「サイ、お前!不意打ちはズルくねーか!!」
「そうかな?」
パサリ。地面に、髪の毛が落ちて行く
頬から一筋の血筋がたれ、流れる。
その音に蘭華をみたナルトは
「うああああ!おねえさん!大丈夫だってば!?」
「くそ狐!!蘭華に何してくれてんだ!うん」
焦るナルトに無言で突っ立てるサイ。
「ナルト、様…ナルト様のクナイ…」
「ご、ごめんなさいオレ、オレってば「謝らないでください!!」」
「えっ?「ナルト様とアタシの愛の証なんですもの!!」」
「なにい「無表情の少年、サイとかいったわね!ありがとう。貴方のおかげで、ナルト様と蜜な時間を過ごせたわ。」」
「おねえs「ナルトさま、そ、そのよければ、アタシにもっときつくきつく、そのクナイで此処を消えないように傷つけて、くれませんか?」」
蘭華がナルトのクナイを持っている手を握り、自分の胸元に持って行きポッと頬染めながら、何とも恐ろしい言葉を声にしてお願いする。
「やめろ!蘭華、今日のお前おかしいぞ、うん」
「鬼鮫、連れて帰るぞ。」
「そうですね。これは、本当に熱があるのかもしれません。」
「毒薬でも、あのクナイに塗ってあったんだろ。」
「蘭華そこ動くなよ。かえんぞ。」
「ホント、ねえちゃん大丈夫だってば?」
「大丈夫。でも、その、深く傷を「できないってば、身体大切にしろよ。」」
「きゃ、あ、ありがとうナルト様。そ、そのじゃぁ…今度、栗ぜんざい一緒にたべませんか?」
呆れたように自分の体を大切にしろといえば、ナルトに気遣いされて喜ぶ蘭華は、ちゃっかりデートのお誘いをする。
「えっ?あぁ…でも「大丈夫!アタシ1人で来るから、いたたっ…ね?」おぉ。」
「なに、こそこそ話してんだ?あぁ”」
「わかったてばよ。」
「ふふっ、やった。」
「土遁・土竜隠れの術」
遠くでそんな声が聞こえたと思ったら、急に、蘭華の尻をつけている地面が揺らぎヒビが入るや否や大きな音を立ててデイダラが現れる。
「プハッ、蘭華、こい。」
「えっ!?ちょっ、まさか土の中からなんて…「今日はこれで帰るぞ」いやあぁぁ」
蘭華の抵抗もむなしく、土の中に引っ張られ、すぐに姿を消した。
そっちに気を取られている間に、他の暁の者も姿を消していた