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【P/5/R】丸喜拓人①
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設定
一学期~二学期の間
秀尽学園の生徒(女夢主)
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ゴッ、と鈍い音がして思わず呻く。
どうやらうちのコートのボールではなく、隣のチームのバスケットボールが横から飛んできたようだ。
「夏樹大丈夫?」
『うん、大丈夫。』
「顔擦りむいてるよ、保健室行きな?」
今日はつくづくついてない。折り畳み傘を新しく買って入れるのを忘れてきたり、それでも降水確率は低いからとそのまま登校したらかなり濡れた。
一応タオルは持っていたもののタオルを入れるなら傘も入れて欲しかった昨日の私。
『(今日はもうダメだ、かなり運がない。)』
痛っ、とボールが当たった所を抑えつつよろよろと保健室に向かう。
鴨志田先生が居なくなってから体育はわりと緩い授業にはなってきているものの、やはり体力の有り余ってる人と一緒にスポーツするのは地獄だ。
『(こんこん)失礼します』
「あれ、怪我かな?大丈夫かい?」
保健室に入るとカウンセリングとして赴任してきた丸喜先生が居た。カウンセリングも受けず、そんなに怪我をしたことは無いため常時保健室に居たのだなとわかる。「そこの椅子に据わって、どこら辺をどうしたのかな?」と聞かれたので『ボールが頭にぶつかって』と答えると、丸喜先生は処置用の道具を探り始める。
「よし、と、傷見せてね」
『あれ、保健の先生は?』
「この頃暑かったり寒かったりでお子さん風邪引いちゃったらしくて今日お休みなんだ。ごめんね。」
『いえ大丈夫です。』
「ここだね、目眩とか吐き気は?」『無いです』と答え、されるがままに処置を受ける。丸喜先生やっぱり声渋いな、赴任してきた日の挨拶と授業の代理としてたまに見るが基本的に自分から声を掛けることは無いのでまじまじと丸喜先生を見てしまう。
「災難だったね、一応、終わったけど当たったのが頭な訳だし、後から症状が出るかもしれないから今はゆっくりして。あ、ココアでも淹れよっか。待ってて。」
はいどうぞ、とコップを渡され『ありがとうございます』と言って飲み始める。
「えっと、体育授業中の打撲、今は五時間目ーと、よし書けた。小鳥遊夏樹さんはカウンセリング受けたことないよね?もしよかったらカウンセリング受けていくかい?」
『え?』
「よかったらだけど。ここ来たとき辛そうにしてたから怪我だけじゃ無いんじゃないかなって思って。もちろん無理にとは言わないよ。相談しずらかったらお菓子でも食べてゆっくり休んでくれればいいから。」
にっこり、と効果音がつくくらい満面の笑みで丸喜先生が笑う。地獄の中の仏、いや神がいた。
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丸喜先生って優しいから心疲弊したときに会いたい。優しくされたい。
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