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rotL&D:知らぬは標的ばかりなり
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L「SEXがしたいでーす」
D「よし通れ」
「いやいやいや」
部屋に入ってくるなりなんだレオ。ドニーもなぜいきなりノるんだ、あんたいま腕のキーいじっててレオと目も合わせてないじゃないか。
「普段あんたらケンカばっかりなのに変なところで息を合わせるんじゃない」
L「いやこの前のはこいつがいきなり単独行動したから」
D「僕の計算ではうまくいってた。お前が目立とうとして邪魔するからだろ」
なんだよやるか、と火花を散らし始めたのでよしよしと雑誌に目を戻す。このままさっきの台詞をうやむやにしてくれたらいい、そう思ってたのに。
D「まあ待て。SEXが?」
L「! したいです!」
D「よし通れ」
「通すな通すな!」
また元の話題に戻ってきた。流石に真正面からツッコむことにする。
L「いやルリと会ってからもう3ヶ月なのに全然進展ねえなと思って」
「そんな大学生みたいな理由でいきなり距離を詰めようとするな」
D「だから相談して既成事実作ることにした」
「物騒なんだよなこっちはいちいち」
人の操でそもさん=せっぱするな。
そもそもあんたらとは付き合ってないし告白もされた覚えがない。ていうか二人揃ってくるか普通。
L「だってどっちかフラレたら気まずいじゃん?」
「その『考えたらわかるだろ』みたいな顔をやめろ」
だいたい百万歩譲ってするとしてもいきなり3人でやるようなマニアックなことはしない。
D「ああ僕はしなくていい、見てるだけで」
「その『仕方ないから譲歩してます』みたいな顔をやめろ」
やめろやめろ十分マニアックだそれも。マンネリ化した時の刺激として話題に上るけど結局やらないレベルの話だ。
D「じゃあビデオに撮るからいい」
「ンンン噛み合ってないなあ? それにわざわざ撮られてると分かってて部屋に入るバカがどこにいる」
睨みつけても蛙の面になんとやら、全く響いていないどころかレオにきょとんと目を丸くされた。
L「あれルリまだ気づいてねえの?」
D「当たり前だろ、僕がすぐ分かるような場所にカメラ仕掛けるもんか」
「…ちょっと待てなんの話?」
L「なんだかんだ寝言聞くのが一番楽しいよな」
D「着替えシーンだけ焼いてくれって言ってたのは誰だよ」
「ねえちょっとなんの話!?」
泣きそうな声が出た。とても怖い話をされている気がする。ドナテロがUSBメモリを掲げて言った。
D「なあルリ、僕たちは君の学校もバイト先も知ってる」
L「で、ここに映像がある。つまり次に言うべき言葉は?」
楽しそうなゲスい笑顔を2つ見せられて、私は消え入りそうな声で「…よし通れ」と言うほかなかった。