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第一話:怪盗戦士とマジヲタ
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私はのえみ。中学2年生でもうすぐ15歳の恋する乙女。ま、性格と声と喋り方と癖的に士君みたいなんだけど。そして、隣には新しいコスモス教室の先生(?)として私の中学校にやって来た年齢不詳の男・海東 大樹こと、仮面ライダーディエンドがいる。学校一のイケメン先生と言われて全学年の私以外の女子全員がやって来るのだが、いつも上手く煙に巻いて私の所へと向かって来ていた。何故、私の中学校の先生として来たのかと本人に聴いたんだけど、いつも私から離れない様にする為の一点張りで、嬉しいのか悲しいのか分からなくなる。嵐の皆にも聴いたが、ラブラブカップルで良いじゃんみたいな返事が返って来るだけ。そうこうしている内に私と大樹さんの通う中学校に着いた。大樹さんに耳にタコが出来ちゃうのかぐらいしつこく言われた通りに男の子達がやって来る前に荷物を教室に置く為に生徒用の下駄箱と職員用の下駄箱にそれぞれの靴を置く。そこから階段を登り、3階の階段を右に曲がって廊下を真っ直ぐ2–4の教室に向かう。やっぱり、誰もいないし、鍵も取りに行かなくちゃ。学職に向かって早歩きで行く。ガラガラ〜「失礼しま...え?」学職内を見渡すと目を疑った。そこには大樹さんがいて、学職の机の上に座って待っていたのだ。「え?早っ...ってか、そこには座るな」(ヤバイ...朝一番から、男の声が出ちゃった~!ってあれ?笑ってる...)「フフフ...鍵の事かい?」「あぁ。チラ見せするなら、渡せ」「分かったよ。はい、鍵だよ?」「あ...ありがとう...オリゴ糖...感謝カンゲキ雨嵐...」(今度は爆笑してる〜!)「...嬉しいね〜、朝からのえみちゃんの小ネタが聴けるなんて。最高のお宝だね」「うん!」私はニコッと笑い、大樹さんに手を振り、学職を後にして教室に戻る為に走り出す。とは言っても、右に曲がって直ぐなんだけどね〜。学職で大樹さんに貰った鍵を差し込み、回して教室の扉を開ける。教室の入口を全開にして、大胆に通学カバンを運び込み、自分の机の上に出して机の中に綺麗に押し込み、通学カバンを教室の後ろの棚に小さく畳んで押し込んだ。大樹さんもそれを見計らって私の所にやって来た。「待ってて。大樹さん。連絡帳を提出しに行くから」大樹さんはコスモスの連絡帳を提出しに行こうと教室の外に出た私の唇を奪う。「これは僕が届けに行くよ?」「はぁい?私が届けに行かなきゃ、先生に注意されんだよ!」「だったら、僕も追て行くよ」流石に私は呆れた。「...分かったから、大体分かったから。追て行きたければ追て来れば?」大樹さんが満足そうに微笑む。私の呆れは頂点に達しそうだ。後で士君に文句を言おう。毎朝これはキツいが、今とても幸せと感じている私がいる。けれどそれが一番だ。大樹さんと色んな事がしたい。色んな事を乗り越えたい。「のえみちゃん、考え事は後にしたまえ。行くよ」「あっ、は〜い」大樹さんに追て行く様に小走りして連絡帳を幸せそうに持つ。本来の目的通り、コスモス教室に連絡帳を置いた。また教室に戻り、色んな話をした。今日の話題は、「自由話」についてだ。また、この話?と思った私だが、自由に話せるのだから、良いのよ。と、自分の頭を切り替える。その間にクラスメイトがやって来て、大樹さんの周りに群がるが、視線の先は常に私を見ていた。そう、大樹さんは狂気系のヤンデレストーカーなのだ。でも、大樹さんは私を愛してくれている。あれ?私はドMのメンヘラなの?と疑う。「のえみちゃん、のえみちゃん」大樹さんが指パッチンで私の自問自答を終わらせようとしてくれていた。「あ、あ〜、悪ぃ、悪ぃ、自問自答してた〜」「それはいつもの事だよ」周りのクラスメイト達がザワつく。「ねえ、のえみちゃん、海東先生とどんな関係なの?ずーっとのえみちゃんを見てたよ?のえみちゃんの事しか視界に入ってないよアピールしてたよ」「あ、あ〜ね、うん...」「誤魔化さないでくれるかい?のえみちゃんは僕のお宝だ。つまり、」私にキスする。教室中が黄色い歓声で湧く。「僕のフィアンセさ」「おい!学校の中では止めろつったよな?」「士みたいな声出さないでくれるかい?隠さない方が身の為、って言うからね。朝の会が始まるよ?また、後で、でね」私の頭を撫でて、教室から出て行く。そこに隣のクラスの先生が大樹さんの前で立ち止まる。何やら、話し込んでいる様だ。大樹さんが二、三度相槌を打って、また私の教室に入って来た。「今日のニュース、皆は見たかい?」クラスメイト達が口々にニュースを見た、見てないと言う。当然、私は見ていたので大樹さんが言う続きだと思うやつを言う。「また、ホラーが現れたって話?」「そうだよ、流石はのえみちゃんだね。後でいっぱい褒めてあげるよ。だから、その影響でまた休みに入る。帰りは気をつけたまえ」「ちょっと!大樹さん!今日はなんの為に来たの?」「それが突然でね。突然決まった事には逆らえられなかったんじゃないのかい?」「あっ、そうだった」クラスメイト達がどっと笑い出す。帰りの準備をして、クラスメイト達や私は一階まで降り、下駄箱で靴を履き替えて全校生徒皆は帰って行った。
その帰り道。ドンッ「いって〜ちょっと!ん?」「...」目の前の男は、のえみに歩み寄り何やら口を開けている。マズイ、と判断したのえみは本気で走り出す。「ホラー...」「のえみちゃん!」屋根の方から声がして、見上げた。「大樹さん!」屋根の上には黒とシアンのライダー、ネオディエンドが立っている。「のえみちゃんも闘うよ」「は〜い」大樹からセラドライバーを渡された。それを受け取ったのえみは、腰に巻き、ライダーカードを取り出して、セラドライバーにセットする。〈カメンライド!〉「変身!」〈セラ!〉「行くよ」大樹が走り出す。「OK!」のえみも一緒になって走り出し、ホラーに蹴り込む。「お痛が過ぎたようだね」「これで止めよ」それぞれのドライバーに、ファイナル・アタック・ライドのカードをセットした。のえみはジャンプ後ろ回し蹴り、大樹はディメンション・シュートをホラーに放つ。ホラーは爆発四散。変身を解除した二人は周りを見渡す。そこにはのえみのクラスメイトの一人と後輩がいた。「凄ーい!(先輩)のえみちゃん、海東先生が仮面ライダーになって怪物と戦ったー!」「...」「見ていたんだね」呆気に取られるのえみとは逆にいつもの調子を大樹は見せる。「うん!」「見ていたなら、仕方がないね。この事は秘密だよ?」「は〜い!」「じゃあね」「また、休業明けに〜!」手を振り、二人を見送っている。この時はまだ誰も知らなかった。ホラーだけでなく、大ショッカーも復活していた事に。ま、次の話にこの事は話す。