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最期
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ある日のこと。
仕事の帰宅途中、はるかの影が見えた。
雨で視界が遮られた中、はるかだけははっきりと見えた。
追いかけてみるがはるかはいなかった。
俺は近くのビルの階段のドアが空いていることに気づき、階段を駆け上がった。
階段を駆け上がり屋上へ行くと、はるかが地面を見下ろしていた。
「はるか!」と叫ぶと驚いたようにはるかが振り返った
はるか「かいと…?なんで?」
かいと「こっち来い!」
「ごめんね」とはるかが言った瞬間、はるかはビルから落ちた。
ガシッ
はるかの手を握れた。
はるかを引き上げようとすると「やめて」と言われた。
でも俺はやめなかった。するとはるかが語り始めた。
はるか「今までありがと。私以上に私の明日を願ってくれてありがとう。
私の人生、こんなんだったけどかいとに出会えたことだけはよかったと思える。
だから自分を責めないで?死ぬのは私一人でいいよ。生きていてくれてよかった」
満足そうな顔ではるかは笑い、俺から手を離した。
そしてはるかは落ちていった。
無我夢中に階段を勢いよく駆け下り、はるかの元に行くとすでに人が集まっていた。
人を退け、はるかの元に駆け寄るとはるかは無反応だった。
救急隊が来て、はるかは運ばれていった。