▽にしおりをはさみました!
- しおりがはさまれています
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「……ねぇ、答えてよ。何であんなことしたの?しかも学校の敷地内(ココ)で。何かあったらどうするつもりだったの?崖の下は隣町に繋がる道路があるけれど救急車やレスキューが来るには時間がかかる場所で」
胸ぐら掴む勢いでカルマくんに詰め寄る東西南北さん。
「べーつに良いじゃん。結果的に何にもなかったんだし!」
「そのような事態になる前に先「生が助けてくださるから何か?そもそもの話、そんな事をするような事態にしてはいけないんですよ。あの人の支配下(この場所)で生徒が、先生を試すためとは言え自殺の意図が無かったとは言え崖から飛び降りるなど。あってはならないのよ」
仲裁に入った先生も東西南北さんに詰め寄られる。
「ココ、見晴らしがいいですよね。それが……向こう側でも。無傷で助かったとは言え、赤羽くんが飛び降りた瞬間を見た方はどうしますか?」
「「!!」」
ココからよく見えるということは逆もまた言えること。
助かったにせよ、カルマくんが崖から飛び降りた事実は変わらない。それが運悪く見られていたとすれば……
「救急、警察に連絡入れますよね?そして騒ぎになる。責任は誰がとるんです?外部からの叱責は誰が受けるんですか?───貴方方ではないですよね?」
とんだ騒ぎだ。カルマくんは先生を殺す為に飛び降りた。けど、世間にそれを言える訳がない。
そしてマスコミは自殺未遂だとかで騒いで学校を糾弾する。個人の行動とは言え、責任を取らされるのは───学校だ。
「貴方達の行動がE組も含めた全生徒の足枷になるんです。A組だから、E組だから関係ない。外から見ればA組もE組も〝椚ヶ丘中学校の一生徒〟なんですよ。その事、自覚を持ってください。………先生も。赤羽くんを助けている場面を誰かに見られていたらどうするんですか?貴方の存在は超一級の国家機密なんですよ?先生である前にそれを自覚した行動をしてください」
「………學瀬は一体何に怯えているわけ?」
一息に捲し立て、来た道を戻る東西南北さんの背にカルマくんが声を掛ける。
「…………私が、怯えている?一体何のことだか分かりかねます」
カルマくんの追及を笑顔で躱して東西南北さんは今度こそコチラに背を向けた。
東西南北さんの言い分は正論だ。カルマくんや先生の心配をしているようにも聞こえる。けど、果たしてそれはそうなんだろうか。
崖から飛び降りた事云々よりも、この場所───学校内であった事に重点をおいている感じがした。
(変な學瀬。ま、いーや。帰ろうぜ、渚君。帰りメシ食ってこーよ)
(ちょッ!!?それ先生の財布!!)
(だからぁ、職員室に無防備に置いておくなって)
(返しなさい!)
(いいよー)
(な 中身抜かれてますけど!!?)
(はした金だったから募金しちゃった)
(にゅやー──!!!不良慈善者!!!!)