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学園祭4
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「って、ただの屋上じゃんか!」
香くんに連れられた私がたどりついたのは、よく彼が授業をサボって週刊少年ジャンプ(時々SQ)を読んでいる教室棟の屋上だった。
いや、別に期待はしてなかったけど生徒会室の件みたいに未知の空間に連れて行かれる覚悟だったからちょっと拍子抜けだ。
階段前で思わず冒頭のセリフを口にした私を彼は「屋上ですが何か?」みたいな目で見ながら貯水タンクの陰に腰を下ろした。それに倣って私も彼の隣に並ぶ。
それ以上は突っ込まずにしておこう。これでも空気の読める日本人なんです。
それにしても。
もう11月だけど、日差しが暖かいからブレザーさえ着ていれば肌寒さも感じないし天気もいいし過ごしやすそうな環境だ。
背後のタンクに体重を預けてなんとなく空を見上げた。
屋上から見上げた空は雲ひとつなく気持ち良いくらいに晴れ渡っていて。
「あー、鳥になりてぇなぁ…。」
「…疲れてんなら寝れば?」
どこぞの筆頭のような感想を呟けばそれをどう受け取ったのか知らないが、彼は仮眠をすすめてきた。
まぁ疲れているのは事実だし、PSPは教室に置いてきちゃったし、日光が気持ちいいしなんか気分いいし…。
「うん、じゃあ30分だけ…」
彼の言葉に甘えて、私はゆっくり目を閉じた。