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Common Front of Pirates
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頂上決戦後に起きた億越えの海賊、ユースタス・キッドとトラファルガー・ローの村人誘拐事件。
この出来事は海軍全般に知られるも、白ひげ亡き後の大荒れする海賊達に対し、これ以上民間人に恐怖を与えないため、公にはされなかった。
サラバンナ島を出て、大海原をかける二つの海賊船。
キッド海賊団の船に一つの円形が形作られる。
そこから現れたのは、もう片方の海賊船の船長、ローだった。
「何とか撒いたみてぇだな」
「てめェのお陰だとでも言いてぇのか」
「事実だ」
その言葉に眉間に青筋を立てるキッド。
それに対し涼しい顔をしながらキットを見るロー。
今にも飛びかかりそうなキッドの前に腕を伸ばしたのはキラーだった。
「何が言いたいのかは大体わかるが、手短に頼む」
「理解の早い奴がいて助かる。ユースタス屋、おれと組め」
「あ゛あ!?」
ローの言葉に意味がわからないといった感じで眉間のシワが濃くなるキッド。
「あのオーナーは必ず青キジにおれ達の目的を話すだろう。海軍の目を避けながら目的を達成させるには共同戦線が一番だ」
「断る!てめェがおれ達の下につくってんなら考えてやってもいいが」
「わかんねェ奴だな、状況判断も出来ねェのかてめェは」
ローの手に現れたのは一枚の海図、ローはその海図を広げキッドに見せると、キッドの眉間のシワが更に深くなる。
その海図はキッドのクルーが持っていたものだ、能力を使って奪い取ったのだろう。
「てめェ!!」
「おれの能力がある限り、海図は何度でもおれの手に渡る。それでいいならこの場を引いてやる」
一方的にローに言いくるめられているのが気にくわないのかクルー達は各々の武器をもちローを威嚇する。
だがローはそんな殺気には気にも留めずキッドに同盟を持ちかける。
「キッド、ここはトラファルガーの策に乗ろう。奴の能力は味方につければ都合がいい」
「冗談じゃねェぞキラー!このおれがこんな奴と組むなんざ…」
「いざとなれば奴には人質がいる。その人質で海軍から逃げ切れるのも可能だ。しかし今のおれ達にはその術がない。第一海図を奪われてしまっている。」
キラーの言葉から自分たちがかなり不利な状況に陥っている事がわかる。
しかしそれでもキッドのプライドが許さなかった。
「利用していると思えばいい。役に立たなくとも盾にはなる」
「チッ、好きにしやがれ。だがトラファルガー、おれはてめェと慣れ合う気なんざさらさらねェからな」
「それでいい」
両船長の言葉により、今を持ってハートの海賊団とキッド海賊団の一時共闘が生まれる。
その後はキラーとローの交渉により、ローの能力で自分の船をキッドの船の倉庫に移送された。
冒険はキッドの船でやるとのことだ。
同盟に対し賛成の声をあげるものもいれば、船長が互いを嫌っているためか反対する声もあった。
「で、キャプテン、この娘どーするの?」
愛くるしい目をパチクリさせながら、オレンジ色のつなぎを着た可愛らしい二本足で立つ熊が隣で状況を見ているアマンダを指差した。