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走れ。
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先陣を切る私は一直線にエースの所へ走る。
まだまだ遠い愛しい人は辛そうに顔を歪めている。
そんな顔しないで。
「尺八道曲玉~」
モビーの方では黄猿がパパに攻撃を仕掛けているが、マルコが盾になったみたい。
「おおっとぉ。....いきなり、キングは、
とれねぇだろうよぃ!」ドドン
それを背にエースに向かう。
私の前にはオーズか先走っていて、
既に海軍の格好の的になって
どんどん傷ついていく....。
悲痛なエースの叫び声も聞こえたきて、
胸が痛い。
この1週間マルコに稽古をつけてもらっている間にも
こうやって兄弟達が傷ついていくことは
覚悟していたはずだったが、やっぱり想像するのと現実を目の当たりにするのとは訳が違う。
『...痛いよ、、』
胸の痛みに、唇を噛み締めて、
倒れていくオーズを横目にエースの元へ走った。
エースに近づくに連れて、海軍の勢力も増している。
私はまだ手の内を明かす理由にはいかないので
マルコに教えてもらった対人格闘技でしのいでいたが、そろそろ限界が近い。
「...死ねぇ!海賊っ!!」
『...しまっっ!!!!』
ふと、処刑台に佇んでいるエースをみて隙ができた。
その海軍の刀には覇気らきしものが纏ってある。
ヤバイ....
当たったらただじゃ済まない。
そう頭ではわかっていても、足が動かない。
_____殺られる。
「「「うおおおおおおおおおおおっ!!!!」」」
「!?」
『!?』
まさか、、
なんて、タイミングなの.....。
「エーーースーーーー!!!!」
真上から勢いよく降ってくる船。
...,ん?真上!?
私は、今私に刀を向けている海兵と顔を見合わせ....。
「『ぎゃあああぁぁぁっ!!!!』」
ズドーーーーーンと凍った海に舞い降りたのは。
「エーーースーーーー!!助けに来たぞおおおおっ!!!!」ドドン!
「おい、みろ!!麦わらのルフィだ!」
「その隣にいるのは革命軍のイワンコフと、、元王下七武海のクロコダイル!」
その他にも、バギーやら、Mr.3やら
インペルダウンからいっぱい引き連れてきたルフィ。
流石、と言ったところか。
『....いったぁ。...ルフィったら、まったく。世話の焼ける弟ね、ほんと。エースが心配するのも分かるよ。計画性ないにもほどがある。』
なんとかギリギリで船の下敷きをまぬがれた
私はふぅと、額の冷や汗を拭う。
さっきの海兵は横でのびている。
どうやら、打ちどころが悪かったらしい。
エースを見ると、口をあけて、
ポカンとしている。
エースの目線の先にはもちろんルフィがいて、
そのルフィは...まあ、パパに喧嘩売ってるけど...。
「お前、知ってるぞ!!海賊王になりてぇーんだろ!?....海賊王になるのは俺だっ!!!!」
「....はなったれガァ。....野郎ども!!エースの弟を援護しろォ。」
「「「おおおおおおっ!!!」」」
白ひげ海賊団がそれぞれの武器を掲げて
意思を示すと、士気が上がった彼らははまたエースの元へと足を進める。
ルフィもパパの元を離れて走り出すが、それを良しとしない者が1人。
「来るなルフィー!!俺もお前も海賊なんだ!!
思うままの海に進んだはずた!!お前に立ち入られる筋合いはねぇ!!」
エースの悲痛な叫びはルフィに届いているが
走るルフィの足は止まることはない。
「帰れルフィなぜ来たんだ!!」
帰れ帰れって、こっちの気も知らないで、まったく。
ハァ、とため息をついて戦いながらルフィを見る。
言ってやんなさい。ルフィ。
「俺は、、弟だっ!!!!!」
ストンと、心に響くルフィの真っ直ぐな言葉に
エースは黙るしかない。
そう。助ける理由も、危ないところとわかってでも来たのも、大切な人だから。
きっと、エースが逆のたちばでもそうしてたでしょ?
ルフィがこちらに走ってくるのをみて戦闘に集中しようと前を見据え、ルフィがエースを助けにいく手助けをしなければと足を進めようとすると。
「あぁーーーー!!!」
あ.....なんか、嫌な予感。
「おおぉーい!ねぇちゃんじゃねーか!!」
まさかと思い後ろを向くと、すんごい笑顔で走ってくるルフィ。
後ろではイワンコフがねぇちゃん!?
ヴぁなた、兄だけでなく姉もいたの!?
(ってことは、この女もドラゴンの子....。あぁ!死なせなんかでもしたらドラゴンに合わせる顔が....)
なーんて騒いでいる。
また、注目浴びるなこれ。
「ねぇちゃんもエースを助けに来たんだな!」
にししっと笑うルフィ。
ここ、戦場なんだけどな。
笑うルフィに少し元気を分けてもらえた気がした。
「時間がねぇ!行くぞねぇちゃん!」
パシッ。
え。
「「「エえええええええー!!!!?」」」
周りのみんなが手を挙げて驚いている。
あ、ワンピース名物。
なんて呑気に考えてないとこの状況を処理しきれない。(現実逃避)
「....おい!ルフィ!!!今すぐユカコの手を離しやがれっ!!!」
遠くからエースが叫んでいる。
そう、私はルフィに手を繋がれエースに向かって走っている。
....みんなの注目を浴びて。
「いやだっ!!!」
「ふざけんなっ!!俺だってまだ繋いだことねぇのにっ!!!」
「いいだろっ!エースは!!砂漠の時だってずーーっとねぇちゃん独り占めしやがって!!」
「独り占め!?お前らに気使ってなんもしてねぇーよ!!!」
「あれだけ目の前でイチャついてたのに!!俺にもねぇちゃん少しぐらいかせよ!!!俺だって遊びてぇ!!!」
「ユカコは俺のだっ!!!さっきだってお前が来る前自分で嫁発言してたんだぞ!!!」
「なぁーーーにぃーー!?」
「ってなわけで、ユカコは正真正銘俺のだ!!!いくら弟の頼みでも、これは譲れねぇ!!!」
やめてぇーーーー!!!
はずかしくなるからやめてーーーー!!!
エースも!!自分で嫁発言とかやめて!!!
なんか悲しくなるわ!!!
てか、そんな鎖に繋がれていてなんでそんな不敵な笑みをこっちに向けてるの!?
そんな、そんな、そんな!!!!/////
「うおおおおっ!!!隙あり!!!」
赤面した私に襲いかかる海兵。
ルフィはそれをみてヤベッって顔してるけど。
私は今はそれどころじゃなくて!!
『...す、好きとかそういうレベルじゃないわぁぁ!!!!』
ドカッ!!!!
「ぐはァ!!!(いや、その好きじゃないわぁぁ!)」
赤面した頬に手を当てる。
『アンタら兄弟は、、こんな戦場の真っ只中でなにをいうかあぁぁぁ!?』
「「いや、戦場の真っ只中で、嫁発言やら好き発言するユカコにいわれたくねぇ!!!」」
あら、兄弟だから流石息ピッタリ。
エースも遠くの処刑台からなのに、ご苦労さまです←
「「「(俺ら、存在忘れられてね?)」」」
戦う海軍と海賊は密かにそう思った。
「....ったく、ほんとに手のかかる奴らだ。」
エースは助けに来てくれた、仲間、弟、そして恋人に感謝し、それと同時に嬉しさも感じていた。
色々な感情が混ざり合い、それが涙となってエースの目から流れ落ちる。
「.....今になって、命がおしい。」
その言葉は隣にいたセンゴクだけが聞いていた。
.....To be continue.