背中の体温。にしおりをはさみました!
- しおりがはさまれています
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背中の体温。
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「爆炎の中に炎のトンネルがっ!!!」
「「「エーーースーーーー!!!」」」
炎の中、エースに抱っこされている私は
外の仲間たちの歓声に口角をあげる。
重力に従いながら急降下していく私たち。
下には海軍がもう待ち構えている。
「「「火拳のエースと麦わらのルフィを逃がすな!!ついでにあの火拳の女も!!!」」」
『な、、ついで!?』
ガーンと効果音がつくのではないかというくらい
口をあける私。
つかさずルフィが笑いながら馬鹿にしてくるが、
その笑い声も、海軍から放たれる銃弾により終わる。
それにいち早く反応したエースが腕を大きく後ろに反らせて反撃をした。
「火柱ーーーー!!!!」
下で待ち構えていた海兵がエースの炎に包まれる。
その炎はメラメラと勢いよく燃え上がり攻撃の威力を物語っている。
エースはやっぱり強くて、カッコイイ。
炎の中、さっきまで海兵が待ち構えてたところまで降り立つと3人とも戦闘態勢に入る。
「戦えるか!ルフィ!!」
「もちろんだっ!!....ハァハァ....」
ルフィは今までだいぶ無理してきたこともあり
息切れして、肩で息を大きく吸っているあたり身体の限界もとうに超えているだろう。
『ルフィ!私がルフィの分まで戦うよ!』
「「ダメだっ!!!」」
『なんで!?しかも、エースまで!?』
「「だ、め、だっ!!!」」
「ユカコは自分の身を守ることだけ考えろ!!」
即答でエースにまで拒否されて、それに不満の声を漏らすも、もう一度念をおされるとルフィによってエースの背中へと押しやられた。
「お前に助けられる日が来るとは、夢にも思わなかった。....ありがとう。ルフィ。」
「にっしっしっ!白ひげのおっさん達とユカコが助けてくれたからな!」
エースの後ろから2人の仲睦まじい姿をみて微笑むが、ガチャリと音がしてそちらを向くと海兵が銃を向けていた。
「分かってるな!?火拳のエースは“火”ロギアだぞっ!!」
「助かった気になるなーー!!!」
周りを見ると、囲まれている。
私は来る攻撃に備えて瞬時にしゃがんだ。
「ここがお前らの処刑場だ!!!!」
その言葉と同時に銃声が鳴り響き、私の頭上すれすれで銃弾が2人へ向かっていく。
まあ、私もロギアだから当たっても大丈夫なんだけど、銃弾が身体通過するのなんか、嫌じゃん?
目線だけでその銃弾の成り行きを見るも、見事に銃弾が貫通して、その跡が炎と化しているエースとそれをゴムで弾き返しているルフィ。
良かった!と思ってエースに近寄るとこっちを見たエースがハッとした顔をして私の頭に手を乗せて頭を押し下げた。
すると頭上でブンッと音がする。
どうやら海兵が私を狙って刀を降っていたらしくそれに気づいたエースが庇ってくれたらしい。
「俺の女なんだ、手出し無用で頼む。」
私の方に目線を投げてニヤリとするエースとその言葉に顔を赤くする。
「火拳!!!」
『す、水拳!!!』
頬の赤さを誤魔化すために思わず技を使ってしまった。しかもエースと同じタイミングで....。
あ、と前を見たら既に遅し。
海軍がコイツも能力者だっ!!!!と
騒ぎ立てているが、バレたもんは仕方ない。
「ギア、セカンド!!!」
「「「剃!!!」」」
ルフィの方を見ると、六式を使える海兵と戦っている。
「ゴムゴムの~~、ジェットスタンプ!!!」
少し心配していたが大丈夫そうだ。
それを一緒に見ていたエースは相変わらず私を背中にかばいながら、応戦している。
「火銃!!!!」
「くたばれっ!!!」
『水銃!!!!』
先ほど海兵に能力がバレた(バラした)私は出し惜しみなく技を使うことにして、あえてエースと対の技を繰り出す。
久々に感じる背中から伝わるエースの体温に安心を覚える。
そのうちルフィも私の所へ戻ってきて
私を守るようにエースの隣へ立つ。
私もルフィのお姉ちゃんだから、ルフィを守る気でいたのにこの弟は素直に守られてはくれないようだ。
「急ぐぞルフィ!とっとと此処からずらかろう!」
「おう!」
その2人の勢いの良さに海兵が後ずさる。
2人とも強い。
私も能力を使えばそれなりだけど、2人の強さはそこだけじゃなくてもっと深い所にある強さ...心とか絆とか。
そんな強さが私には見えていた。
「ユカコ!俺の背中にちゃんと付いてこいよ?」
『は、はい////』
「....ユカコ、オメェなんかハンコックみてぇーだなぁ~。」
『は、ハンコック!?そそそそそんなこと////』
私は頬を抑えて、エースをチラリと見ると、
なんともまあ、意地悪な笑顔。
それにクラリとくるがなんとか持ちこたえ前を見ると....
「あぁっ、ルフィがまた、妾の名を呼んでくれた....♡....これが、結婚!!!」
なるほど、まさに私を見ているようだ。
いや、流石に名前を呼ばれただけで結婚とはならないけども。
私、あんなに表に表情でてるかな?
そう思うとまた顔が熱を持ち始める。
そんなこと考えてたらいきなりフワリと体が宙に浮き次には腹部が圧迫された。
それに驚くが横を見ると大きなパパの刺青があったのでエースに担がれていることがわかりホッと息を漏らす。
「急ぐぞ!!!」
「そーだなっ!!!」
エースに担がれてどんどん圧迫されていく腹部を無視してエースの顔の方へ体を頑張って起き上がらせる。
この格好は流石に恥ずかしい。
『エース!下ろして!....うきゃ!』
「蛍火!!!.....火達磨!!!!」
いきなり私を担ぎながら飛び上がるエース。
『いや、前見えない分、こわいわ!!!!』
「黙ってろ!舌噛むぞ!!」
そう言いつつ私のお尻をぽんって叩くエースにまた顔を赤くする。
その横では相変わらずエースの背中の刺青があって、まるで本物のパパに赤くなった顔を茶化されているようで頭を抱えた。
「ルフィ、強くなったな!」
「へへっ!そのうちエースも超えてみせるさ!」
「そうか、ならまだ今は俺が守ろう。」
私のこの格好をなんとかして欲しいがエースとルフィがなにやら嬉しそうなので雰囲気を壊さないようため息をついた。
『....あの、そろそろ下ろしてください。』
「「ダメだっ!!」」
『なんで、こんな急に過保護なのーーーーー!!!!』
ジタバタとエースの肩の上で暴れるもエースに力でかなうはずも無く、そのうち疲れて撃沈した。
そんな私を見かねてエースが口を開く。
「ユカコ、お前はもう充分頑張った。こんな危険な所に俺を助けに来て、」
エースはおもむろに指で私の内腿もスルリと撫でる。
『ちょ!え、エース///』
「お前が傷つくのをもう黙って見てられねェ。」
後ろに首を動かして真剣な目で見つめるエース。
「お前は、俺が守る。」
『...エース。』
「そういう事だ!ユカコはエースに守られてろ!俺もねぇちゃんが血流すのはみたくねェ!」
『ルフィ...。』
その言葉に薄らと涙か浮かぶ。
「行くぞ。ルフィ。」
「おう!」
それを肯定と受け取ったエースは私を担ぎ直してまた走り出した。
エースとルフィの勢いはまだ止まらない。
そう....。
“ ま だ ”
エースの歯車が止まらないように。
今はまだ、守られていよう。
_____その時がくるまでは。
....To be continue.