女帝のお願い。にしおりをはさみました!
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女帝のお願い。
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今日は久々にハンコックと電伝虫で電話中。
ぷるぷるぷる....ガチャ。
『もしもーし。』
「おぉっ!サドマゾ久しぶりじゃのう!」
私たちはとても仲が良く、時々今日のように電伝虫で会話をする。
もちろん、長官や副長官には内緒で....。
拷問総長と海賊が仲がいいと言うのもおかしな話だが、私が拷問総長に、ハンコックが海賊女帝になる前の付き合いだから仕方ない。
一瞬昔のことを思い出し身震いする。
「....サドマゾどうした?元気がないようじゃが...具合でも悪いのか?」
『あ、ううん。大丈夫!ちょっと考え事!』
ハンコックも同じような境遇なのでなるべく思い出させたくはない。
『それで、今日はどうしたのー?』
「それがな、妾、恋というものをしてしまったのじゃ。」
『は、、はぃ?』
「恋じゃ!」
待て待て待て。アマゾンリリーって確か女しかいないよね?
それなのに恋って....。
まさか、、
『ハンコック。まさか、百合?』
「...何じゃ、その、百合というのは。」
『女が女と×××すること。』
「なっ!なんという、ハレンチな!!そんな訳なかろう!妾が好きなのはルフィという男じゃ!」
『ルフィ?』
どっかで聞いた名前だなーと思い思考を巡らしていると、ぼんやりとだが麦わら帽子を被った少年が思い浮かぶ。
海賊にしては無邪気なその笑顔に、普段はパラパラと適当に見ていた手配書の手を止めた記憶がある。
「ルフィはそこら辺の汚れた男とは違うのじゃ。それにルフィは~~」
語尾にハートが付きそうな口調でそう言うハンコックは本当に恋する乙女と言うやつで、正直、あの天竜人のせいで男を心底嫌うようになっていた頃のハンコックとは別人のように思えた。
『よかったね。』
無駄に色々考えて、言葉に変に飾りをつけるよりは
こういう時はストレートに言った方が言葉に重みがでる。
それを分かっているハンコックは素直に電話口で頷いた。
「サドマゾにも、そう言う男があらわ『よしてよ。』」
ハンコックが言いそうになった言葉を即時に遮る。
「サドマゾ。お主、まだ、、」
先程とは一転して、私の顔に暗い影が落ちる。
思い浮かぶのは、あの夜のこと。
狭くジメジメした暗闇でニタリと薄気味悪く笑う男を思い出す。
肩に手をかけて、そこにある “痕” に爪を立てる。
『私は、、男は嫌いだ。』
爪を立てたところから、一筋の血が流れた。
「すまぬ。サドマゾ、妾は少し、自分のことで舞い上がって、お主のことを考えてやれなかった。」
沈んだ声が受話器から聞こえ、ハンコックにふんしたでんでん虫が申し訳なさそうに頭を垂れた。
『...いや、大丈夫よ。ハンコックは優しいな?』
「わ、妾は、優しくなど!」
『ちゃんと謝れるんだから、根は優しいのよ。ハンコックのそう言うところ好きよ。』
そう言うと、頭を垂れていたでんでん虫が頭を上げる。
でんでん虫は少し照れているような顔をしていた。
「そうか、ならば何か手土産を持っていくことにしよう。」
『...ん?』
「じつは、近々、そちらに用があってな。」
『こっちにくるのか?珍しいな?』
「....じつは、、頼みがあるのじゃ。」
カツカツとヒールをならしながら、ある部屋へと足を運ぶ。
「げへへ。今日も獄卒総長はいい女だなァ。」
「一度でいいから抱かせろよ。」
『キモイ。黙れ。』
肩にかけていた鞭を大きく奮って騒いでいる男どもの檻の近くの壁を粉砕する。
うるさい男どもを黙らせるにはこれぐらいが丁度いい。
暫く歩くと海楼石でできた大きな扉に到着する。
ここは能力者が尋問をされるための部屋で、ここに入り尋問が許されている獄卒は私とサディだけ。
正直、私も能力者だからあまりここには近づきたくないが、ハンコックのためだ。仕方ない。
足をあげて、ヒールでそのドアを蹴破った。
中にいた男は、微動だにせずに床を見つめていた。
一応、蹴破った扉を元に戻すとゆっくりと近づき
いまだに床を見つめている男をつま先から撫でるようにみた。
黒いつくに、黒い半ズボン。
上半身には何も身につけてはおらず、鍛え抜かれた身体と綺麗に割れた腹筋が惜しげもなく晒されている。
髪は黒く、癖っ毛なのか軽くウェーブがかかっていた。
街で見かけたら、そこら辺の女が放っては置かないだろうが、残念な事に今は椅子に海楼石の錠で繋がれ、身体の至るところから血が出ていた。
『....地獄へようこそ。』
鞭を肩にかけながら、椅子に縛り付けられている男を見下ろす。
「.....誰だ、アンタ。」
額から血を流した男は、下げていた頭を少し持ち上げ、その時にできた髪の隙間から私を睨む。
その目だけで人を殺せるような眼光に身体にゾクゾクと快感に似たものがはしる。
久しぶりにこんなに芯の強い眼をみた。
ハンコックの言う通り。
いい男だわ。
『....お前、今死ぬには惜しいな。』
「なん、、だと?」
突然、獄卒がそんなことを言うのだからそういう反応なのも無理はない。
「...馬鹿にしてんのか?テメェ。」
先程よりも頭を上げて、真正面から私をその鋭い眼光で貫く。
それに思わず、口角が上がっていく。
キスできそうなほどの至近距離まで顔を近づけて、その鋭い眼を見つめた。
「なんの真似だ。」
『貴女、モテるでしょう?』
「お前には関係ねぇ。」
そう言ってソッポを向いた顔を両手で包み込んで、無理やりこっちを向かせると凄く嫌な顔をされたが綺麗に無視をする。
『私と楽しいことしない?』
舌なめずりをしたわざとらしく誘ってみる。
私は試したのだ。
どういう反応を見せるのか。
ハンコックが惚れたルフィという男の兄がどれほどの男か。
この男の反応次第では、ハンコックの計画に手を貸してやるつもりだ。
そう。“脱獄” の計画に。
さあ、どうする?
「.....テメェ。...なんかムカつくな。」
『は?』
「さっきからずっと上から見下ろしやがって。第一、テメェみてえな軽い女はきらいなんだよ。」
拍子抜けだった。
次から次にその口から私の悪口をいうこの男。
正直、すぐにがっつくと思っていた。
情報ではまだ歳は20。普通ならやりたい盛り。
ましてや、ハンコックと並ぶほどと言われた美貌の持ち主のこの私がこの言われようとは。
「...早く出ていけよ。顔もみたくねェ。」
そう言って、今までで一番の眼光の鋭さを私に突きつける。
『,...っ 』
その眼には何にも屈しない強さが見え隠れしているのが見て取れた。
『なるほど、ね。』
「はァ?」
『いいわ。気に入った。私を拒否する男なんて初めてよ。普通なら泣いてでも懇願するはずなのに、ね。...貴方、今日から私専用にするわ。火拳のエース。』
そう言って、私は赤いルージュをひいた唇を火拳の唇に重ねた。
____たのしくなりそうね?
『私の名はサドマゾ。このインペルダウンの拷問総長よ。よろしくね?』
「なんっ/////、、ふ、ざけんなァ!!!!!!!」
.....To be continue.