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イケ戦で1時間使って駄文書いてみた。「肝を冷やせば良いじゃろが」
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お名前変換可能なので試行錯誤してもらうか、お近くのはちを捕まえてくださいw
かかった時間
80分
注意
○この二次創作は書き手の妄想と勘違いの産物です。
○本編読んだけど断片的にしか記憶ねぇもの。
○だからもう適当に書いてる
○みなさん偽物
○主人公ちゃんも偽物
これ見ても大丈夫?
それならばお暇つぶしにどーぞ!><
「あっつぅーい……肝試し……したいなぁ……、」
なんて。たった一言。それでももう言ってしまったら前言は撤回できない。言ったら最後、言わなかったことには出来ない。
軽率に、何も考えずにあいが言ってしまったものだから、佐助は今日も同郷の馴染のために走り出す。
どうにもどうしようもない展開になるなんて当たり前の事なのに。佐助によるあいのための肝試しプロジェクトが始まってしまったのだった。
ここは春日山城広間。猛暑の中集められて各々ウンザリとした顔をしている中で、涼しげな顔の佐助が現代における肝試しについて語り終える。
「……という催しです」
「つまり、あいが夜道を歩いているところを驚かせばいいのか?」
「まぁ、そうなりますね……この時代は現代とは墓場に概念が違いますし……」
「何を言っているのだ貴様」
「いえ……こちらの話です」
遠路遥々、あいのためだと言われてやって来た信長とその一行は意外と前向きに佐助の話を聞いていた。
普段なら文句を言いそうな家康でさえもきちんと話を聞いている。隣に居る三成に対して時折涼しい視線を送ってはいるが……三成自身がニコニコと嬉しそうに受け止めているので無問題だ。
「因みにこの肝試しで一番輝いた人はあいさんと逢引きする権利を得られます」
「あのおなごはそれを納得しているのか?」
「はい、大丈夫です。あいさんに了承は得ています……多分、意味は良く理解してませんが、」
佐助の後半の台詞に顕如が若干眉間に皺を寄せているが、話はどんどん進んでいく。
「ふん、くだらんな」
と、言いつつ謙信が佐助の用意した台本を右から左としっかり読み込み始める。対する織田軍も信長がじっくりと読み始めたのでそれに続く。
あいのため、と言えばせっせとくだらない催しにも参加をする、なんとも健気な武将たちである。
「待て、これはおかしいだろう」
信長が台本を佐助に向かって突き付け、トントン、と指で文字を叩く。そこには“えすこーと役:幸村”と書いてあった。
秀吉がその後方で確かにおかしい、と頷くが佐助には良くは解らずに首を捻る。
「何がおかしいのでしょうか?」
「あいをえすこーとする役、とはつまりあいと共に歩く者の事だろう?」
「ええ……」
「ならば俺しか居ないはずだ」
ででーん!と信長が自分に向けて指をさせば幸村がすかさず反論しようと臨戦態勢を取るが、それ以上に素早く抜刀しかけた輩がいる。
勿論抜刀大好き謙信様なのは言うまでも無かったが、何故か彼の刀は味方の方を狙っていた。
「うわぁー! いきなりなんだよっ!!」
「配役の不備だ。即刻直せ」
ジリジリと刀に手をかけて幸村を狙う謙信に佐助はシレッと安全地帯に逃げるが、幸村は真っ正直に対峙している。
「だったら佐助を狙えよ! どうして毎回俺なんだよ!!」
「えすこーとする役を俺に戻せ」
「元からあんたのじゃないだろ!!」
「こら、謙信。直ぐに抜刀しようとするな……姫君のえすこーとは俺がしよう。それで解決だ」
謙信が今にも幸村に切りかかろうとしていると、信玄が余裕たっぷりに仲裁に入るがいつも通りに火に油を並々と注ぐ。
「却下だ、」
「あんたは引っ込んでろ!!」
ぎゃーすかぎゃーすかといつものやり取りをしている上杉・武田軍を尻目に織田軍は冷静に佐助に詰め寄る。
「おい、佐助。このえすこーと役は俺に変えろ」
「秀吉……貴様ちゃっかりと良いところを持っていこうとするな」
「はっ、つい……!」
「……貴様、最近つい、が多くないか……?」
信長に睨みつけられるも視線を逃す事で回避する秀吉。しかし秀吉だけではなく他のメンバーもどうにか自分がエスコート役になろうと算段を繰り広げている。
自軍のメンバーに至っては既にバトルロワイヤル形式でエスコート役を決めようとしているし、これでは埒が明かない。
「これでは永遠に肝試しまでたどり着かないので先ずはエスコート役を決めましょう」
「斬り合いか?」
「争い事なら願ったり叶ったりだ……この場に居る者全員斬る」
「あいさんが聞いたら悲しむと思いますが、それでも良いならどうぞ」
好戦的に笑う信長に、応戦する形で笑う謙信。半ば予測済みだった佐助はニッコリと伝家の宝刀をチラつかせて笑う。
効果は抜群だったようで、佐助の冷静な声に信長と謙信が刀にかけた手をおろす。あいと共に過ごす権利を争っているのに、あいに嫌われてしまったら意味が無い。
しかしこんな戦国武将が集まっていて、武力の他に何で争えば良いと言うのか。武将たちの視線が佐助に集中するが、彼はクールにその視線を受け止める。そろそろだろうか?
「佐助くーん、そろそろ私も入って良い?」
酷いタイミングであいがこの男だらけのむさ苦しい間に入ってきてしまった。しかも全員あいとの時間を欲しがる群れである。普通に考えて恐ろしい。
戦国武将たちに注目されてあいは本能的にたじろぎ、一番関わりやすい同郷の佐助の隣へと小走りで移動する。
「……ね、佐助君……どうしたのみんな、」
「肝試しのエスコート役が決まらなくて話し合ってたところなんだ」
「話し合い……?」
あいがちら、と場を見渡すが決してそんな穏やかな空気じゃない。三成や光秀、信玄からは多少穏やかな空気を……感じたりはするが笑顔の奥では何を思っているのやら。
「みんなが脅かされる役がしたいなら私、驚かす側に回るよ?」
「うーん、そういう事じゃないかな」
「そうなの?」
「そう。だからあいさん……選んでくれる?」
「え゛?」
「うん。……この中からエスコートされたい人を選んでもらっていい?」
「はぁっ!?」
あいの肝が一気に冷えて、この猛暑で寒気すら覚える。なんてことを言ってくれるんだ。この時点で十分あいは肝が冷えたからもうこれで終わりでも良いような。
誰を選んでも地獄絵図しか想像つかない。誰かを指名した瞬間なんて想像したくない。想像もしたくないという事は指名自体もしたくない。逃げたい。
「成程な……それなら姫君。俺にしとくと色々と楽しめると思うぜ?」
「黙れ。この女は俺が拾った物だ……そうそう貴様らにくれてやるものか」
佐助が言った途端、先ずは信玄がずずい、と身を乗り出す。更に信長が即、切り捨てる勢いで迎え撃つ。
またも事態が怪しくなり、結局また発狂モードに突入しそうになる。ああもう、なんでいつもこうなるんだろう、とあいが頭を抱える。
「待ってください! じゃあこうしましょう! 佐助君と私が居る場所まで最初に来た人が勝ちです!」
あいが妥協案を掲げると武将たちは動きを止める。つまり、夜遅く……暗がりにあいと佐助がふたりきりで武将たちを待っている、と。
「それは佐助殿、役得ですね!」
三成がニッコリと爆弾を投げる。解ってやっていようと、いまいと質が悪い。とりあえず隣に居る家康はゾッとして彼から距離を取る。
この状況に光秀もニヤニヤ笑いながらも参戦する。その横で政宗も笑っているが、目は笑っていない。
「今回ばかりは三成の無意味な嫌味、ではなさそうだな……さて、どうしたものか」
「まぁ、こいつを暗がりにひとりにする訳にもいかないし、かといって男とふたりきりにもさせられないしな……やっぱり斬り合いが一番早いんじゃないか?」
「なんでそうなるんですかー! もう良いです、知らないー!」
よし、この勢いで話をうやむやにー!と、あいが外へと離脱してそのまま来た道を引き返す。充分肝は冷えたからこれにて終了!めでたしめでたし、と。
「あいさん、逃げちゃいましたね……」
「ほう……面白い。ならばあの女を捕まえた者が好きにして良いという事か」
信長が言えば他の武将達も気合が入る。こんな戦国を生きる男ども相手にリアル逃走中をする事になったらしいあい。充分スリルを提供出来るのでは。要は肝が冷えればよかろうもん、という事で。
佐助は武将たちに向かって爽やかに微笑み、開戦の合図をとる。
「では、みなさん位置について、」
よーい、どん!で一斉に武将たちがあいを求めて走り去っていく。とんでもないエージェントたちを野に放った佐助はその後ろ姿を眺めて笑う。
「じゃあ、俺も頑張ろう」
佐助は一度だって自分は参加しないとは言っていない。ましてあいは佐助には油断するに決まっている。
あいが隠れそうな場所を思い浮かべながら佐助が余裕の笑みを浮かべているのだった。
肝を冷やせば良いじゃろが
ちがう、そうじゃない