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ジンで書いた小ネタ3つまとめてみた。
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○貴女に飼われたい
窓から差し込む真っ白な光。まるでこんな自分たちを断罪しているかのような。ああ、今日も朝になったのか。あいは光から隠れる様に寝返りを打つ。
あいとジンが居るこの部屋のあちらこちらを反射するのは暖かな光。それなのにこうもヤマシイのは当然ながら、こちらの気分の問題で。
真っ白なシーツ。真っ白な壁。陽にあたり真っ白に映るふたりの肌。昨夜の情交の痕。ああ、なんてヤマシイ。あいは思わず目を細める。
「あいさん、」
「んー……、」
隣でジンが呼ぶ声にあいは返事をするのも億劫で。もうこのまま寝ぼけている事にして二度寝をしようか悩みだす。
そんなあいの機微もしっかりと感じ取った有能なジンはニッコリと微笑みながら若干の圧をかけ再度口を開く。
「あいさん、起きてますよね?」
これには返事をせずに、あいがジンの髪に手を伸ばす。彼はその手に髪を擦り付ける様に、甘える様にすり寄り、彼女を抱き寄せる。
あいは全体的に細くて、華奢だ。対するジンは普段の恰好からは想像つかない程筋肉質だと言うのに、何故か指の腹は柔らかかった。
クセになるような感触……肉球みたいだ。あいがジンの右手を掴んで両手で包み込む。
「猫みたいですねぇ、ジンさん」
「おや。ではあいさんが飼ってくれますか?」
「食費で破産しちゃうから人間のまま働いてください」
「それは残念です」
全く残念そうにしていないジンに笑い、あいはそのままジンの髪に唇を寄せる。彼女の息で髪が揺れて、それがとても穏やかで。
多分これが幸福というものだろうとジンはゆっくりと目を閉じて、開く。
「あいさん、」
掴まれていた右手を伸ばせば直ぐに触れる事が出来る平和の象徴のようなあい。柔い頬にゆっくりと指を滑らせるとあいの唇から気持ち良さ気に吐息が漏れる。
ああ、多分じゃない。これが幸福じゃないのならきっと世界中に幸福なものなど何ひとつ無い。
猫みたい、そう言われた事に便乗してジンがあいの顎、頬を舐め上げると更にあいはうっとりと目元を細め、吐息が甘くなる。
「……猫は貴女の方だと思いますけどね」
上気する頬を甘噛みしながら引っ張ればあいが口一杯に空気を含み頬を膨らませる。ああ、今すぐ抱きたい。彼女の全てに魅了されている。
「ジンさん……、」
「なんですか?」
「いや、ちょっと……なんていうか、こう……、っぷ、」
突然あいが笑い声を漏らしてジンから顔を逸らす。その姿は無防備だったし、無邪気であどけない。
だがいきなり笑い出すタイミングでもなかったはずだ。と言うより今から良い雰囲気にしたかったのに心外だ。
「……どうしました?」
「いやぁ、ジンさんが本当に猫みたいで……猫って良く甘噛みしますし、」
ジンが不満げにあいを見つめると、もう一度彼女は楽しそうに声をコロコロ転がして笑う。
ああもう。雰囲気で良い流れにしようとしたが、このまま乗りかかってマウンティングしてやろうか。
良からぬ事を考えるジンの目が座っていようがあいは特に気にした様子は無く、ただただ笑って。
「駄目ですよ、ジンさん。そろそろここを出ないと」
「今日はお互い休みです」
「なんか、朝からこーいう事すると人間ダメになっちゃいそうですし」
「ならばジンさんは今から猫だと思ってくれて構いません」
「私は構います。さ、人間らしく今日も活動始めましょうか」
「愛の営みの方が、」
「はい、行きますよ」
(゜-゜)後はジンがベッドの上で籠城して、主人公ちゃんを困らせて泣きの1回に続くのじゃ←
あといきなり出かけると言われたので出かけるので途中からかなり雑です。
本番ではちょっと描写を細かくしたい。下手なりにな!!
○おばけなんてないさ
「ジンさん……おばけ騒ぎはもう解決したんじゃ……、」
「そうですが……一応確認しておかないといけませんからね」
「じゃあジンさんおひとりでも……」
「酷いですね……こんなにかよわくて愛おしいジンさんをひとりにするんですか?」
「かよわくないし、愛おしくもないこともないけどやっぱりおひとりでどーぞ」
「冷たい恋人を持って私自身も知らない性癖が覚醒してしまいそうです……興奮してあったまった私の体温でその凍った心を温めて、」
「やめてくださいー!!」
迫りくるジンを小さく叫びながら押し返すあい。油断も隙もあったものじゃない。
時間も時間なのでボリュームに配慮するあいにジンもしつこくするつもりはないようで直ぐに彼女を解放する。
「もぅ……早く終わらせちゃいましょうよ……、」
「そうですね。早くノーブル様のおつかいを終わらせれば一回戦……いえ、もしかしたら二回戦……、」
「はいはい、お食事のおかわりは用意しておきます。さぁ、甲冑の前に着ましたから調査をどーぞ」
「つまらないです」
「知りません。はい、どーぞ」
あいとジンはノーブル城内の七不思議のポイントを見回っている最中で、今現在は甲冑の前に居る。
歩く甲冑、という如何にもな噂が広がっていたが、実際はオリバーが犯人だったという。
その他も大体王子が悪い、と言った理由で……今現在その再調査をさせられているあいとしては「ちょっとそこで正座しろ」の一言に尽きる。
「……矢張り何もなさそうですね」
「そうじゃないと困りますしね」
軽く掛け合いを繰り返しながら、ジンが辺りを確認しあいはメモ係として彼の言う言葉を記録していく。
だが、矢張り王子達の報告通りのようで、特に心霊現象の気配はない。ネタが解っていればこういうものは怖くも無いものだ。
心霊現象かもしれない、と思って調査するのとでは大きな差がある。ましてあいはジンと一緒なのでなんとなく心にゆとりがある。
「では、次に行きましょうか」
そう、そして次に続くのでした!(^^)!←
○セーラー服を着せないで
あいは、恋人の部屋を開けた瞬間さまざまな感情にどうして良いかわからずにいた。
例えばそのさまざまな感情のひとつをあげれば絶望。絶望とはこのことをいうのだとあいはこの瞬間、生まれて初めて悟る。
まさか、この負の感情を恋人から与えられるなんて。いや、しかもこんなバカバカしい理由で。
「これ、あいさんが実際に着ていたものだから安心して大丈夫ですよ?」
「逆に不安になりますー!!!」
ジンが手にしていたのはあいが昔、学生時代に着ていた制服。恐らく入手経路は自分の親。
ああ、最悪だ。なんであの話をした後、直ぐに処理をしなかったのか……。
あいは先日、この部屋で交わしたジンとの会話を走馬灯のように回想しだした。
それはそれは、小憎たらしい程良い天気だった日の昼下がりの話だ。
ノーブル城での仕事終わり、ジンの部屋に行けば何故かしれっとあいのアルバムを持ってソファでくつろいでいたジン。
「あ、懐かしい……って思いました?」
「いえ、それよりゾッとしてます。なんでそれを持ってるんですか怖いです」
「流石に傷つきますよ」
さめざめ、と大根役者もびっくりの演技で同情を誘うジンにあいが空笑すら浮かばないと冷めた顔で睨みつける。
そんな釣れない恋人にやれやれ、と仕方なさそうに肩をすくめるジン。
いやいや、仕方ないのもやれやれ、なのも100%あい側の態度だと言ってしまいたい。
「あ、この頃のあいさんはショートカットなんですね」
パラパラ、と人の過去を捲っているジンからアルバムを取り戻そうとあいが無言で立ち回るが、あっさりと回避されてしまう。
しかも涼しげな顔のまま余裕であいを制し、そのまま後ろから抱きしめる。強制的にジンの膝の上に座らされあいが憤慨しているが、彼はそんな事気にしない。
「今の貴女のメイド服もそそりますが、セーラー服というのも良いですねぇ……」
「あんまり見ないで下さいよっ! こーいうの恥ずかしいって解りそうなものでしょうっ!?」
「何故です? こんなに愛らしいのに……」
そう言ってスナップ写真の一枚を指差した。確かにその中には中学時代のあいが居る。
だが、それは修学旅行の集合写真だった。普通どれか解らないものじゃないだろうか?
それなのに一発で自分を見つけだすジンが恐ろしくもあり、若干嬉しくもあり、未だに成長してないのかと哀しくもなった。
「……よく解りましたね、私だって」
「当然でしょう。私があいさんを見つけられないはずがない」
「そ……、そう、ですか。怖いですね」
「そんなことより、あいさん」
あいが半眼で言うが、ジンはそれすら涼やかにスルーして自分の気になる事を確認しようとする。
これがノーブル城の若き城主の敏腕執事か、とあいが末恐ろしいとため息を落とす。
「この、セーラー服は実家にあるんです?」
「はい?」
いきなり真顔で何を言い出すのか?あいは心の片隅では用途を察していながらもそれを見ないふりする。
だが本能が言っている。この男にセーラー服の存在がバレたら危険だと。
本当はある。実家のタンスの中に入れてある。だが絶対に隠し通さねば。
「持ってませんよ……卒業した時、母が親戚の子にあげちゃいましたから……、」
「そうですか……残念です」
「一応聞きますが……持っていたら着せる気だったんですか?」
「当然です。中学時代のあいさんといろいろ楽しめる気がして最高じゃないですか」
うわぁああぁあぁっ!変態だ!言わなくてよかった!もう絶対に墓場まで隠し通す恐ろしい怖い!
あいがはは、と顔では乾いた笑みを浮かべながらも心では大絶叫をしている。
そして私の危険管理能力ぐっじょぶ!ぐっじょぶ!と何度も称賛する。偉い、私の本能!
「無茶言わないで下さいよ……、この歳でセーラー服なんて、ないない。何かの冗談でしかやっちゃダメな奴ですよっていうか冗談でもかなり痛いですよははは」
「見るのは私だけですから問題はないでしょう?」
「大問題ですっ!!!!!」
なーんて、話していたわけで。きっとあいがウソを吐いていると見抜いて速攻で手を打ったのだろう。
そして良い男だいちゅきっ!な母がそれはそれはかるーくこの未来の息子に娘の制服を渡したのだろう。
己の愚行が娘を地獄行きにさせるとも知らずに。あいが歯噛みしていると、ジンがセーラー服を片手ににっこりと笑う。
「持つべきものは、理解ある母ですね」
「絶っ対に着ませんからね、それ」
まぁ、ジンがここで引き下がるはずもないよねー。
しかも絶対にこれも大人向けコースまっしぐらですよねー。
誓キの大和さんでも書いたけど、ジンでも書きたくて書いたよ~。
概ね、あのノリです。同じノリです。
こすちーむぷりぇいってやぁつを書きます(゜-゜)b!
そうです、エロまっしぐら!!内容などいらない!!←