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「───……でその毒薬を作って来いって言われたんだ」
「はい!!理論上はこれが一番効果あるって!!」
茅野さんに声をかけられ、フラスコを見せる奥田さん。
1番効果があるって毒殺予定者が言うかな、普通。明らかに騙されている気が………
「毒物の正しい保管法まで漫画にしてある。相変わらす殺せんせー手厚いなぁ」
「きっと私を応援してくれてるんです。国語なんてわからなくても私の長所を伸ばせばいいって」
あの、先生そんなタマかな……
国語ってつまり日本語でしょ?あまり難しくないと思うんだけど……あ、古文は除いて。
「あ 来たよ。渡してくれば?」
殺せんせーが教室へ入ってくる。
「はい!!先生これ………」
奥田さんは今回も相変わらず馬鹿正直に毒だと言って先生に渡す。
「さすがです………では早速いただきます」
そして、馬鹿正直に受け取り、ゴクゴク飲む殺せんせー。
「………ヌルフフフフフありがとう、奥田さん。君の薬のおかげで………先生は新たなステージへ進めそうです」
「……えっ それってどういう……」
殺せんせーが変化し始める。
「!!」
「溶けた!!」
どんどん小さくなって、最終的に教卓で溶けていた。
効いているのか微妙だな………
「君に作ってもらったのはね。先生の細胞を活性化させて流動性を増す薬なのです。液状ゆえにどんなスキ間も入りこむ事が可能に!!」
高速移動して生徒の机の中に入る先生。
「しかもスピードはそのままに!!さぁ殺ってみなさい」
「ちょっ……無理無理これ無理!!床とか天井に潜り込まれちゃ狙いよう無いって!!」
「なんだこのはぐれ先生!!」
殺せんせーは教室中を飛び回り、みんなが躍起になって銃口を向けるが全て避けられる。
「奥田さん………先生あの薬毒って言ったんだよね」
「───だっ……騙したんですか殺せんせー!?」
「奥田さん。暗殺には人を騙す国語力も必要ですよ」
「えっ……」
「どんなに優れた毒を作れても……今回のようにバカ正直に渡したのでは暗殺対象に利用されて終わりです。渚君、君が先生に毒を盛るならどうしますか?」
「え……うーん、先生の好きな甘いジュースで毒を割って……特製手作りジュースだと言って渡す………とかかな」
「そう、人を騙すには相手の気持ちを知る必要がある。言葉に工夫をする必要がある。上手な毒の盛り方それに必要なのが国語力です。君の理科の才能は将来皆の役に立てます。それを多くの人にわかりやすく伝えるために……毒を渡す国語力も鍛えて下さい」
「は…はい!!」
「あっはは やっぱり暗殺以前の問題だね~」
…………一件落着、みたいな空気出されてるんだけどさ。
「先生、退いていただけますか?問題が読めません、勉強の邪魔です」
「にゅやっ!?これは失礼しました………」
にゅるんと教壇に戻った先生はまもなく元の姿に戻った。