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胸の時間
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───翌日
1番に教室に着いたのでついでに黒板の日付を書き直す。
「おっはよー!もう5月かぁ早いね」
「あぁ、おはよう茅野」
1ヶ月殺せんせーが地球を爆破するという3月まで……残り11ヶ月。
暗殺と卒業の僕等の期限だ。
「………あら?今日は早いんですね」
「「東西南北さん、おはよう!」」
HRまで茅野と話しているとやって来たのは東西南北さん。
いつもこの時間に来てるのかな。
「おはようございます、茅野さん潮田くん。日付、ありがとうございます」
「え?あ、大丈夫!今日は1番に来たからついでだよ」
「そうですか。では、花瓶の水を変えて来ますね」
そう言って東西南北さんは鞄を机に置いてから校庭側の窓を全て開けた後、花瓶を持って教室を出て行ってしまった。
「ねえねえ渚。東西南北さんっていつも日付変えてくれたり花瓶の水を変えてくれたりしてるのかな」
「よく考えたら花もいつも綺麗に飾ってあるよね」
「なんか、東西南北さんっていつも笑顔で話してくれるけど、少し近付きにくいオーラというか雰囲気してるじゃん?でも、なんかこういうの見ると優しい気配り屋さんなのかなって思う」
まぁ、元A組って言うのもあるけどね……と笑う茅野。
「あ、うん。いつも教室綺麗だよね」
近付きにくい感じはE組に来てからが顕著な気がする。
1年からずっと生徒会副会長を務めていていつも笑顔を絶やさない彼女の周りには人が多かった。
でも、E組に来てからあまり笑っているところを見たことがないな。
A組の時の東西南北さんと今の東西南北さん……どちらが“本当の”東西南北さんなんだろう。
茅野と話しながら頭の隅でそう、思った。
「……今日から来た外国語の臨時講師を紹介する」
「イリーナ・イェラビッチと申します皆さんよろしく!!」
烏間先生が疲れ切った表情で紹介したのは、金髪の明らかに日本人ではない女性だった。
「……そいつは若干特殊な体つきだが、気にしないでやってくれ」
「ヅラです」
そう言ってカツラをとる殺せんせーだけど、それって変装のつもりなんだろうか。違和感があるだろ……
「構いません!!」
「……すっげー美人」
「おっぱいやべーな」
「……で、なんでべたべたなの?」
うん、思った。なんでベタベタ??
「本格的な外国語に触れさせたいとの学校の意向だ。英語の半分は彼女の受け持ちで文句は無いな?」
学校側の意向、か。
「……仕方ありませんねぇ」
「……なんかすごい先生来たね。しかも殺せんせーにすごく好意あるっぽいし」
「……うん……でもこれは暗殺のヒントになるかもよ。タコ型生物の殺せんせーが……人間の女の人にベタベタされても戸惑うだけだ」
いつも独特の顔色を見せる殺せんせーが・・・戸惑う時はどんな顔か?
殺せんせーは、イリーナ先生の大きな胸を見るてにやける。
………普通にデレデレじゃん!!
★殺せんせーの弱点⑤おっぱい
「………何のひねりも無い顔だね」
「………うん人間もありなんだ」
「ああ……見れば見るほど素敵ですわぁ……その正露丸みたいなつぶらな瞳、曖昧な関節。私とりこになってしまいそう」
「いやぁお恥ずかしい」
騙されないで殺せんせー!!
そこがツボな女なんていないから!!
………僕等はそこまで鈍くない
この時期にこのクラスにやって来る先生。けっこうな確率で……
只者じゃない
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