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Ownership④
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「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!!」
「………逝ったか」
これ以上ないくらいの絶頂。
声も上げられない程のオーガニズム。
その証拠に、絶頂の緩みで我慢していた透明な蜜が膣内からプシャプシャと飛び出して地面を汚した。
「あああぁぁぁぁ………」
「潮まで吹いたか、嫌がってた割にゃサービス精神旺盛じゃねェか」
ハッと鼻で笑われ、それすらも悦に感じてしまうこの身体は今キッドの所有物だ。
膣内から乱暴に指を引き抜くとその刺激すらにもビクリと反応する。
一瞬ではなく長い間絶頂の淵にいた彼女は今までになり快楽の先を華奢な身体で実感し、頭が真っ白になる。
やがて大きな声で叫ばれるまいと口にねじ込まれていた指も引き抜かれ、アマンダの唾液がキラーの指に絡みついてキッドだけでなく彼にも犯されていた事がわかる。
力無い身体は後ろのキラーにもたれかかり、未だに快感の余韻が身体中を麻痺させ全身の震えが止まらなかった。
キッドは散々遊ばれピクピクと麻痺しながら赤く膨張した秘芽に再び手をかけ、軽く振動させる。
弾け飛んで全身に散らばった快感が再び一点に集まって悦びを訴えるように熱を帯びる。
「いやぁぁ‥‥も、もう…」
「まだ疼くだろ?軽く達しろ」
「あああああ……きもちいっ…あっ!!!」
ビクビクと身体を震わせるとまたも軽く逝ってしまったアマンダ。
ようやく長い拷問から解放された時にはもう立つことすら出来ず、その場に座り込んでしまう。
腕を拘束していたキラーの手も離され、そのままへたり込んだアマンダは、今まで立っていたことすら奇跡のように感じた。
まだ身体が震えて言うことを聞かない。
頭が真っ白になった中で、アマンダは無意識に彼の名を呼んだ。
「ん…トラファルガーさ……助け…」
「!!?」
以前キッドと取引をした時、キッド本人からは身を守る事が出来ず、そのかわりローにも身を守ってもらう事を約束したアマンダは、ローの言っていたのはこの事だったのかと思い、無意識に呟いた。
その小さな呟きを聞き逃さなかったキッドは未だ余韻に震えるアマンダと目線を合わせるようにしゃがみ込んだ。
「おい女、今なんつった。誰に助けを求めやがった」
「キッド……?」
キッドが問いかけるも虚ろな目をしたアマンダは答えない。
だか、確かに彼女は、ローの名前を呼んだのだ。
「キッド、おれは部屋に戻るぞ。この娘は最後まで遊ぶのだろう?」
「…………!?」
キラーもしゃがみ込み、アマンダの肩を持ちながらぐいっとキッドの方へ突き出す。
触られただけでもビクッと反応するアマンダ。
そうだ。
まだ晩食は終わっていない。
むしろ今までのは全て余興だった。
これからだ、肉食獣による食事は
「あ……あ……」
まだ挿入されていない。
凄まじい快楽で忘れていた。
犯されるということは、そういうことだ。
今までのは、血に飢えた肉食獣が草食動物に恐怖を与えようと逃げられる程度に追いかけ回し遊んでいただけだ。
絶頂の叫びは捕まえられた時の草食動物の叫び。
ここからが肉食獣の食事の本番だった。
「あぁ…………」
再び快楽の渦へと誘われそうになり、先程の高揚を思い出し生理的に涙を流す。
しゃがみ込んだキッドと目が合い、射抜くような視線を向けられ、完全に凝縮してしまった。
「……………」
しかし、キッドはアマンダを見たまま動かない。
キラーはその場で硬直するキッドに疑問を浮かべながらも力の入らないアマンダの膝裏に手を回し、ぐいっと持ち上げ、彼女を抱き上げた。
そのままキングサイズの豪華なベッドまで運び、その柔らかい布団へ放り投げると、キッドも立ち上がりベッドまで足を運ぶ。
全身に力が入らずくたりと倒れこむアマンダの横に手をつき、グッと身体を屈めながら彼女の顎を掴み自分の方へ向けさせる。
涙でボヤける視界に僅かに見えるのはキッドの引き締まったガタイのいい胸板と首筋。そして彼の端正な顔。その魅惑な視線に酔わされしばらく見つめ合う二人。
しかし何を思ったのか、キッドは彼女の顎を掴んでいた手を離し上体を起こすと、今から自分の部屋に帰ろうと扉に手をかけるキラーを呼び止めた。
「どうした?キッド」
「気が変わった、女も連れて帰れ」
「………?」
これからが本番だというのにどうしたのだろうか。先程までいたぶって愉しんでいたというのに急に冷めた態度をとるこの男にキラーはもう一度確認する。
「いいのか?」
「あァ……」
キッドの了承を得ると、何故気がかわったのかは敢えて聞かず、ベッドに横たわる彼女の寝間着を整えると再度抱き上げ部屋まで連れて帰った。
「………………」
パタンと扉が閉まると、キッドは彼女の呟いた男の顔が頭から離れなくなる。
「トラファルガー……まさか……」
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「…………ん…」
揺かごのようにゆっくり身体が揺れる。
キラーに横抱きにされ部屋へと向かわれているのがわかる。
先程までの暴力的な行為で火照った身体も徐々に平熱を取り戻しつつある。
「…す、すみませんキラーさん。部屋まで、運んでもらって…」
「気にするな、加減を知らないキッドを相手にして歩けと言う方が無茶だ。むしろお前は大丈夫なのか?」
「あ、あまり……」
「フッ、だろうな」
マスク越しに笑われ、羞恥に見舞われる。
キッドに虐められ悲鳴にも似た喘ぎ声を出していたのをキラーは聞いていた。
キラー自身、アマンダの口に指をねじ込んだり、両腕を拘束したりといつもの大人の余裕があまり見られず海賊らしい荒々しさが感じられた。
また、ほんの少しだけだが、キッドと同様彼もアマンダを追い詰めるのを愉しんでいる様子が伺えられ、しかし行為が終わると今のように丁寧に扱ってくれる。声色も落ち着いて、そのギャップにまた心臓が脈を打った。
部屋に着くと、やはりベッドまで運んでくれて、アマンダを布団に沈めた後、丁寧に掛け布団まで掛けてくれる。
「夜に無理をさせて済まなかった。ゆっくり休め」
そう言って部屋を去るキラー。
扉が閉まる音が聞こえたと同時に廊下の灯りが消え、部屋が真っ暗になる。
同時に先程の行為を思い出し顔が真っ赤になるアマンダ。
つい先刻まで、私はキッドさんの部屋に行って彼に…
顔を両手で包んでも頭に浮かぶあの甘い光景が離れない。
むしろ視界が真っ暗になり更に鮮明に描かれる。
(しかも私、最後に気持ちいいって……!)
完全に理性が吹っ飛んだ状態でつい本音が出てしまった。
あそこまで乱れる程激しく求められたのは初めてだった。
鳴いても鳴いても止まない快感の嵐。
しかし、アマンダを襲っていたのは快感だけではなかった。
それは恐怖
以前船にいた船員に強姦未遂で襲われた時、怖くて仕方がなかった。抵抗しても海を渡る海賊との力の差は歴然としていて自分がどれだけ平和な街で蝶よ花よと育てられていたのかがわかった。
抗う意思すら削がれる程の差。
そんな輩がこの先ごまんといる事を身体で知り、自分がこれからいくらでも見るであろう広い世界の恐ろしさを体感した。
その恐ろしい世界が迫ってきたのが、今日の夜だ。
恐れていた現実が自分に襲いかかってきたあの出来事。
理性の効かない身体で全力を振り絞って抵抗しても彼らは片手のみで簡単にアマンダの抵抗を無にした。
元々男女の力に多少の差はあれど、年齢の近い者なら嫌がって抵抗すれば男といえど振りほどくことが出来た。なので、決して自分が弱いのではない、女性として平均的な力はあった。
しかし、それを凌駕する程の力を持つ者がこの船には沢山いる。
だから、キッドに自分を守ってほしいと懇願したのだ。そしてキッドからはローに守ってほしいと彼を頼ったのだ。
なのに
(なんてこと……私、キッドさんに……)
彼の猛獣のような瞳に捕らわれ、妖しい雰囲気にのまれいとも簡単に身体中を弄られた。
危険な香りを放つあの男の腕の中に入って官能の声を上げていたのだ。
彼の赤い世界に、溶け込みたかった
以前自分を襲ってきた男と何が違うのだろう。
何故こんなにも昂ぶるのだろう。
(まだ、ドキドキが止まらない……)
私の身体は、一体誰のものなのだろう
甘く切ない胸の締め付けに、キラーからゆっくり休めと言われたにもかかわらず、眠りについたのは夜が明けた後だった。
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