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下駄をポイッと脱ぎ、ソファにだらりと座り込んだ。
「はぁ〜〜…」
胃のあたりがモヤモヤする。腹をボリボリと掻くようにさするとソファに沈み込むように横たわった。
「…愛してる…って臭い事言ったらアイツはどんな顔するんだろうな」
しばらく天井をボーッと眺めていると眠気から意識を手放した。
***
「…ちょっと起きて!!風邪引くから!!」
ふと目を覚ますと目の前になまえが居た。
外で嗅いだ金木犀の匂い。心地がいい。
「もー、昨日も呑んでたの!?だからソファで寝てたんでしょ〜!もー!!」
牛のように鳴いてるなまえが寝室から薄っぺらい掛け布団を持ってきてかけた。
「朝ごはん作るから!銀ちゃんが、今日は神楽ちゃんも新八くんも居ないから掃除手伝えって行ってきたのにこの有様…も〜」
「もーもー、うっせェよ。牛か」
掛け布団をわざと床に蹴落とす銀時を見ると、再びなまえが掛け布団を手に取り呆れたように掛けようとした。なんとまぁ、子供の遊びに付き合ってやるような優しい女なんだろうと胸の当たりが暖かくなった気がした。
「あ、ちょ、あぶなっ!」
そんな事を思っていると脳みそから信号が腕に伝わり指先に指令を出す。なまえの腕を掴み引き寄せ上に寝かせた。
「ちょっと危ないじゃん」
「愛してる」
「へあ!?」
色気もない声で変な反応をするなまえを見るとなんだかイラッとして唇を唇で塞いだ。
「きゅ、急に変なこと言わないでよ…槍でも降るのかな…」
「…やっぱ可愛くねぇ女だよ」
すると再び啄むように口付けをしたがなまえがグイッと銀時の胸を押し退けた。
「あ、あぁ、、わ、私だって愛してる…よ…」
顔を真っ赤にしながら言うなまえを見てたら胸にあるモヤモヤがどこかに消えていた。
あぁ、俺はこれが聞きたかったんだ。
なまえをひょいと持ち上げると「怖い!」とギャーギャー騒いでる声に一括「うるせぇ」と言い、薄っぺらい掛け布団を片手に取ると寝室に消えた。