-
涙。
-
side エース。
ルフィ達と別れた俺達は
ストライカーまで戻ってきた。
ユカコは俺が逃げないようにと
ずっと服の裾を掴んでいる。
俺だって、本当はずっと一緒にいてぇし、
早く全部俺のもんにしてぇ。
けど、俺にはやらなきゃいけねぇ事がある。
ティーチを見つけ出し、ケジメをつける。
もちろんティーチは俺に刃向かって来るだろう。
それにコイツを巻き込むわけにはいかなかった。
コイツは能力者としてはまだまだだ。
確かに、あの砂漠での火拳もどきの水拳は
すごかったし、あの数時間でアレが出来るという
伸び代もある。
だが、俺はティーチに刺されて1週間目覚めなかった
ユカコがどうしても頭に残っていた。
隣で笑うこいつが無性に愛おしい。
「ユカコ、好きだ。」
暫く会えなくなる。
俺は深くユカコに口付ける。
くぐもった声を漏らすユカコに
思わず手を出しそうになるが、それを理性で押さえつけた。
もう、お別れの時間だ。
連れていけないと、告げる俺に抗議しようとした
ユカコの呂律は既に回っていない。
しかし、呂律が回らないながらにも
必死で俺に抗議するこいつがたまらなく愛おしい。
本当はすぐにでも抱きしめて、
連れていきてぇ。
ずっと隣にいてほしい。
でも、俺のエゴで連れて行って、
もし、コイツが命を落とすようなことになったら
俺は耐えられねぇ。
親父にも、兄弟にも、合わせる顔が無くなる。
思わず、少し泣きそうになる。
女にここまでの感情を抱いたのは初めてだった。
こんなに、大事にしたいと思った。
だからこそ、コイツには笑顔でいてほしい。
「ユカコ、モビーに帰れ。」
それを最後にユカコは気を失った。
「....ごめんな。」
俺は立ち上がって、ストライカーまで歩こうとする。
しかし何か違和感をかんじ、下をみる。
「.....っ!」
俺は裾を掴んでいる、小さい手をそっと外す。
「意識ねぇはずなのに、渋てぇな....お前は、」
ユカコの手をぎゅっと握り、
その手の甲に1度だけキスをすると
今度こそ俺はストライカーに乗って、
海を進んでいった。
ユカコの手の甲には砂漠には似つかわしくない
一滴の水が光り輝いていた。
....To be continue.