-
肝はすわってるんで。
-
公開処刑。
私はパパの口から発せられた言葉に
膝をつく。
兄弟たちはそれを心配そうに見ている。
「....大丈夫か?」
サッチが優しく私の肩に手をついてそう聞く。
正直全然大丈夫じゃない。
むしろ、私の頭の中は焦りでこんがらかっている。
エースが原作のように死んでしまうかもしれない。
それを目の前で、見てしまうかもしれない。
もし、そうなった時、私は耐えられるのか。
そう考えて視界が涙で歪む。
マイならこんなときどうしていただろうか。
ふと、マイを思い浮かべる。
_____アンタってさぁ。______________よね。
あぁ。やっぱり、持つべきものは
酒豪で、ツンデレで、口が悪くて、サンジにメロメロな悪友ね....。
私は勢いよく顔を上げて、パパを見据える。
『....親父。頼みがあるの。』
いつもはパパと呼ぶ私。
その変化に周りにいた隊長格の雰囲気が変わる。
『...私もエースのことを助けにいく。』
親父と呼ばれたことで、だいたい察しがついていたのだろう。
真剣な眼差しで私の目を見つめる。
私もその目を見つめ返した。
シン...と静まりかえる。
私は一瞬も逸らすことなく見つめ返した。
『エースはこの命に変えても、私が守り抜く。』
その言葉にパパの目は見開かれる。
しかし、すぐ戻ると少し優しさを帯びた視線をよこした。
「....わかったァ、それだけの大口叩くんだ、できる限り、やってみろ。」
「お、親父!!本気かよぃ!!!」
慌てて止めに入るマルコ。
『マルコ、あと一週間。私に稽古をつけてください。』
マルコに向かって頭を下げる。
「バカかおめぇは!今から向かうところがどこか分かってんのかよい!?海軍本部、敵の本拠地だよぃ!!」
『....わかってる。』
「今のお前じゃ、死に行くようなもんだよぃ!」
『...だから、稽古つけて欲しいの。』
「今から稽古つけたって、目に見えてるよい。」
そういって、マルコは私の両肩をもって揺さぶる。
マルコが心配なのも分かる。
私は対人格闘技もまともにできないし、
能力者としてもまだまだだ。
でも、それでも。
『....後悔したくないの。』
マルコの瞳をじっと見つめる。
「....死ぬかもしれねぇよぃ。」
『それでも、エースを助けたい。』
「.....」
『マルコ、私たち、兄弟でしょ?仲間はずれなんて、ずるいわ。』
そう言うと、目を見開くマルコ。
ハァ、と大きくため息をつく。
それをみてパパはいつものように笑った。
「...まったく、我儘な妹だぃ。」
腰に手をついて、私を見るマルコの顔も呆れたように笑っていた。
『ありがとう。それじゃあ、早速!』
「俺は、あまくねぇよぃ?」
その言葉に自信満々に返す。
「大丈夫。肝は昔からすわってるんで。」
ふと、マイの顔を思い出す。
よくマイにも言われてたからね。
____アンタってさぁ。本当、肝据わってるよね。
私は、マルコの後ろに続いて部屋をでる。
「あ、そうだ。」
その声に前を歩いていたマルコが振り返る。
『水銃。』
振り返りざまのマルコの顔に水銃で水をかける。
能力者であるマルコはそれで床にめり込む。
『さっき、バカって言った仕返しね?』
「....お前、いつの間に....。」
マルコを追い越して、甲板からマルコを見下ろし
海賊らしい、ニヤリとした笑みを見せてみる。
「上等だよぃ。」
それにマルコもニヤリと笑い返した。
さてと、いっちょやったりますか!
待ってて、エース。
___To be continue.